人気マナー講師・井垣利英が語る「受講生の9割が思わず涙する年中行事の話」

 

堅苦しい、面倒臭そう……と思われがちな年中行事。ひな祭りには七段飾りを、鯉のぼりは大空を泳ぐ大きなものを。そう考えているうち、何もせず過ごしてしまう人がほとんどではないでしょうか。このたび、発売された新刊『開運 #年中行事はじめました』(井垣利英・著)は、日本人に馴染みが深いはずの年中行事をもっと気軽に楽しみ、幸せに過ごすためのヒントが満載の一冊。中でも、受講生の9割が涙してしまうという、ひなまつりのお話をご紹介いたします。

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年中行事を学ぶと身につく7つの力(効果)

わたしは人材教育家・マナー講師として、これまで約20年間で、3,000人以上の受講生にアドバイスしています。現在も「自分磨き&マナー」のスクールを開講し、社員研修や講演会を年100回ほど行っています。

そんなわたしが年中行事に深くかかわるようになったのは、仕事というよりも、個人的な興味があってのことです。年中行事のかざりつけを学ぶ勉強会に通ったり。着物や西陣織、老舗旅館や酒造など、多くの伝統文化の仕事人さんたちとご縁ができたり。さらに文様や歴史の文献などで勉強を重ねてきました。

そして、会席料理をいただきながらマナーを学ぶ講座で、その月ごとの年中行事に関することをほんの少しずつお話しするようになりました。すると皆さんが「もっと知りたい」「もっと教えてほしい」と目を輝かせながら聞いてくださったのです。

わたしの実家は、幼少期から毎月、年中行事をていねいに行っていたので、どこもそうかなと思っていました。でも、年中行事に関心のないご家庭も多いことを知りました。そこで平成30年から、マナーと同時に年中行事をじっくり学べる講座をはじめました。

そのクラスで、受講生の皆さんの毎月の成長ぶりを見、感想を聞き、そしてわたし自身の実感を通して、年中行事には次のような七つの力(効果)があると感じるようになりました。

1.笑顔が増える

年中行事では、一年を通して縁起かつぎが色々あります。思わずクスッと笑えるような語呂合わせも多く、昔の人の知恵や遊び心にふれるたび、心がポッと温かくなります。

たとえば日本の主食は、昔からお米です。その大切な収穫物に人が手をかけて、山型に結んだものが「おむすび」。昔から山は神格化されていて、山を御神体とする神社もあります。そんな山にあやかって、神さまとご縁を結ぶために、山型にしたといわれています。いつも食べているおむすびも縁起もの!思わず「へーっ」と笑顔になりませんか?  また、年中行事を通して周りの人と会話をするチャンスも増え、新しい出会いもあり、そのたびに笑顔が増えていくのです。

2.感性が磨かれる

「年中行事を学ぶことによって、見える景色が変わってきた」「街の景色が輝いて見えるようになった」と受講生の皆さんはよくいいます。体を包む空気の微妙な変化や、道に咲く花、農作物の育つようす。

また鳥の姿や虫の音などに季節の移ろいを感じたり。縁起ものや和菓子など、年中行事にまつわる職人さんたちの手仕事のすばらしさに気づいたり。今まで見過ごしていた、さまざまな変化に目がとまり、ありふれた日常生活の中にある小さな幸せにも気づけるようになります。

3.センスが良くなる

年中行事のかざりつけのヒントを求めて雑誌のページをめくったり、街のディスプレイを観察するようになります。自分のかざりつけをネットにアップして人に見てもらい、褒められたりするうちに、みるみるセンスが磨かれます。贈りものや手土産にもセンスの良さが光るようになります。

※実際に担当編集者が井垣先生に贈った手土産はこちら↓

4.行動力が高まる

今まで行かなかった和菓子店、伝統工芸品店、神社やお寺などへ足を運んだり。お祭りや盆踊り、地域のイベントに参加したり。年中行事を知ることで、「実際に見てみたい」「体験したい」という好奇心がわき、行動力が高まります。

5.自分のことが好きになる

年中行事のかざりつけをしたり、行事にあわせて和菓子を選んだり、四季の移ろいを感じられる自分がステキに思えるようになります。自己満足ですが、自分に満足できるのは幸せなこと。自分が幸せになれば、その幸せは人にもお福分けされ、周りの人も幸せになれるのです。

6.感謝する心が芽ばえる

生まれた土地への感謝、家族やご先祖さまへの感謝、食べ物への感謝……。大昔から脈々と命をつないでくれたご先祖さまたちと、自分とのつながりを感じられるようになります。自分がいかに恵まれているかに気づき、感謝できるようになってきます。

7.運がよくなる

年中行事は毎月、悪い気を祓い、幸せになるために、色々な行動をします。ご先祖さまが常に守ってくれていることを感じられるようになり、不安な気持ちが消え、幸せがあふれ出て、笑顔が増えます。その結果、運がよくなってくるのです。

さて、ここまでお話してきた年中行事の七つの力(効果)は、実際に自分で行動してみないと感じられないもの。この本を読んで「いいな」「やってみよう」と思ったら、まずは一つでいいから、行動してみてくださいね。年中行事は、ありふれた毎日の生活がキラキラ輝き出す、不思議な力があるから。

ひなまつりのはじまりは、厄祓いの行事だった

ひなまつりを漢字で書くと「雛祭り」。この「雛」というのは、もともとは「ひいな」と読み、小さい愛らしいものすべてをさす言葉です。ひなまつりは、今では女の子の成長と幸せを願う行事ですが、昔むかしは「流しびな」という、草や葉っぱや紙でつくった人形(ひとがた)を川や海に流す厄祓いの行事でした。

人形というのは紙を切り抜いて人の形にみたてたもの。今でも、六月の「夏越(なごし)の祓え」の儀式で使われています。流しびなは、草や葉っぱや紙の人形で体をなでながら、「わたしの穢れをもらってください」「病気をもらってください」「自分に降りかかるわざわいをもらってください」と思いをたくし、それを川や海に流すものです。

この流しびなの風習は、もともとは男も女も年寄りも子どもも区別なく、三月上旬に行われていました。これがひなまつりの大もとです。

子どもたちの優しさが切ない「ひなの国みせ」

ひな人形やひなまつりには、心温まる美しい話が残っています。昔むかし……、春になり、桃の節句の季節になると、女の子たちはひな人形をもって山に登ったものでした。

春のおだやかな陽ざしのなかで、女の子たちは小高い山に行き、草のうえに着てきた晴れ着の羽織を広げます。そしてひな人形をかざるのです。小さい人形という意味のひな人形です。今のひな人形のように完成されたものではなく、とても素朴なものでした。

丘の上にひな人形をかざって何をするのかというと、ひな人形に四方の春の美しい景色を見せてあげるのです。これは「ひなの国みせ」といい、実際に行われていた風習です。じつはひな人形に、生まれてすぐ、あるいは幼くして死んでしまった弟、妹のことをたくしています。

旧暦では、ひなまつりのころには桃の花やたちばななどが満開です。寒くて暗い冬が終わり、いっせいに花が咲きはじめ、美しい変化をとげる春がやってきました。

「このようすを、弟や妹にも見せてあげたかったな」と思う小さなお姉さんやお兄さんたちの優しい、切ない気持ちが伝わってくるようです。昔は子どもが生まれるのも育つのも、大変な時代でした。だからこそ、亡くなった弟、妹に、生きていればいっしょに楽しめた世界を見せてあげる。そうやって遊んでいたのです。ちょっと泣けてくる話ですね。

ひな人形はもともと立っていた?

今のようなおひなさまの形になった大もとは、江戸時代のはじめに、徳川家康公のお孫さん、東福門院和子さまが娘の幸せを祈ってつくった「座りびな」だといわれます。娘とは、七歳という若さで八五九年ぶりの女性の天皇に即位した明正天皇のことです。

それまでのひな人形は立ちびなが主流でした。ひな壇に座った女雛と男雛の姿は気品があり華やか。座っているので安定感もあり、たちまち人々の人気を集めたのでしょう。それからは、ひな人形といえば座りびな、となっていったようです。

江戸時代のなかごろになると、各地の大名や武士のあいだでは、女の子が生まれて最初の桃の節句(初節句)のお祝いに、ひな人形をかざる習慣が生まれました。やがて初節句だけではなく、毎年かざるようになり、それが一般の人々のあいだにも広まっていったのが、今のひなまつりなのです。

3月①ひな2

ペアのものをひな人形に見立てる

「毎日忙しくてひな人形を出すのは大変」などと、何もしないままで過ぎてしまうのは、残念なことです。そんな大事(おおごと)に考えなくても、たとえばお花やガラスのきれいなボールなどが二色あったら、それを女雛と男雛に見立て、ペアでかざるだけでもいいのです。
正式なひな人形が手元になくても、対になるような可愛らしいものを探しましょう。何をおひなさまに見立てるかは、自分で選べばいいのです。自己満足で、自分が楽しめればそれでOKです。折り紙で男雛と女雛を折ってもいいですし、小さなペアのひな人形が手ごろだったら、買ってきてかざっても楽しいです。

・ひしもちをかざる
・ひなあられを懐紙にのせてかざる
・桃の花をかざる
・盃にお酒を注いで桃の花を浮かべてみる
・ひな人形の図柄の手ぬぐいをかざる

どれか一つでもいいし、色々組み合わせてもいいので、自分流のひな祭りのかざりつけを楽しみましょう。気持ちが華やいで、心にぽっと花が咲いたように幸せになります。そういうワクワクした気持ちのときに、運が開けていくのだと思います。

井垣利英(いがき・としえ)

株式会社シェリロゼ代表取締役、人材教育家、メンタルトレーナー、マナー講師。名古屋生まれ。中央大学法学部卒業。 女性が多く働く全国の企業で、社員研修、講演会を年間100本以上行う。化粧品、ジュエリー、エステティック、介護、幼児教育などに携わる女性のやる気とマナーを向上させ、売上アップにつなげる日本で唯一の専門家。活動は15年以上に及び、これまで、3000人以上の自社スクール受講生の人生を好転させた。テレビ出演、新聞、雑誌の取材は200件以上。『仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則』(致知出版社)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など著書多数。

 

『開運 #年中行事はじめました』』(井垣利英・著)

定価=本体1,540円(税込)

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