97歳の俳人・伊丹三樹彦さん

かつて「異端の三樹彦」と呼ばれながらも、
一途に自分の信じる道を歩み続けた俳人・伊丹三樹彦さん。

97歳のいまもお元気な伊丹さんが語る
80年以上にわたる俳人人生とは──


伊丹 三樹彦(俳人)
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※『致知』2017年12月号
※連載「生涯現役」P96

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──伊丹さんは俳句一筋の人生を歩んでこられ、
  今年で97歳になられたそうですね。

13歳からだから、もう80年以上俳句をやってきました。

役者馬鹿っていう言葉があるけど、私の場合は「俳人馬鹿」(笑)。
俳句以外は何にも知らない。

いまは一人暮らしで、ヘルパーさんが毎日来て
日常のことをやってくれているんだけど、怒られてばっかりや。

この前も部屋のスリッパでベランダに出たら、裏が汚れちゃってね。

洗濯物を増やさないでくれと怒られた(笑)。




──少し前に入院されたと伺っていますが、もう大丈夫ですか?

そうそう、肺炎でね。

医者からは最低でも三週間は臥せてもらうと
言われましたけど、二週間で退院できた。

「あんたは底力があるね」って医者に驚かれたけど、
私は病気を7、8回はしてますよ。

一番は脳梗塞、それから黄疸、赤痢、ヘルペス、それに鬱病まで。

──それらの病気をすべて乗り越えてこられたわけですね。

ええ。八病不屈でしぶとく生きていますねん(笑)。

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・『致知』のバックナッバー勢揃い
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──どういったきっかけで俳句を始められたのでしょうか。

きっかけは車内俳句やね。

──車内俳句、ですか。

そう。私は小学校卒業後は、神戸一中(旧制)に
行きたかったんだけど親が許してくれなくてね。

「おまえは実用人間になれ」という言葉に従って、
兵庫県立工業学校(現・県立兵庫工業高校)の建築科に入ったんですよ。

家から学校までは三木駅から播州鉄道で加古川駅に出て、
そこから山陽本線に乗り換えて兵庫駅まで行く。

当時はまだ電車はないから、蒸気機関車でした。

汽車ぽっぽに乗って、加古川、明石、舞子、須磨と、
窓から見える景色はどこもええとこばっかりでね。

明石海峡には帆掛け船が浮かんでいた時代ですよ。

もう自然と詠いたくなるやん(笑)。

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