4万6000ページの資料が語る二宮金次郎の実像


その生涯に600余村の復興に尽力した
二宮金次郎は大変な筆まめでもあり、
4万6000頁
に及ぶ全集が残されています

それだけの分量があるだけに、
すべてを紐解く人はそうはいないそうですが、
二宮総本家当主二宮康裕さんは、
35年間
その膨大な文献と格闘してこられました

金次郎の遺した日記や書簡、
仕法書から見えてくる金次郎像とは――




―――――――――――――――――――


「4万6000ページの資料が
   語る二宮金次郎の実像」
                  
        二宮康裕(二宮総本家当主)
         

 

        
『致知』2015年11月号

         特集「遠慮」より

―――――――――――――――――――


 

若い頃から先人の智恵や書物に
親しんできた金次郎は、
常に長期的な視野に立って
物事を考える人でした。
つまり、遠きを慮ることのできる人物でした。
それを表す事例はそれこそ
枚挙に遑(いとま)がありませんが、
ここでは二つの事例をご紹介しましょう。
一つは実家が没落した後、
母親の実家に引き取られていた弟から
金次郎に寄せられた手紙に始まります。
時に金次郎22歳、弟は19歳でした。
その手紙の内容というのは、
給料を一文ももらえないため、生活費はなく、
着る物もないから助けてほしい、
という窮状を訴えるものでした。
さて、金次郎は弟に何と返事をしたのでしょうか。
彼は冒頭に、おまえの気持ちは
分かると前置きをしてから、

「恩義を報い候ほか、
 生涯他念これあるまじく候」
と筆を進め、どんな扱いを受けようとも、
ここまで育ててくれた恩は決して
忘れてはいけないと弟を戒めるのです。
ただし、この手紙にはまだ続きがあります。
もし、どうしてもお金が必要なのであれば、
資金として2分(10万円相当)を貸すので、
それで山林を買うよう指示しています。
山で伐採した薪を商人に売れば、
お金を儲けることができる
というのが金次郎の助言でした。
単に目の前の窮状を救うのではなく、
弟の自立を促そうとする、
そこに金次郎の遠慮を見ることができるのです。
もう一つの例として挙げたいのが、
先祖供養のエピソードです。
※研究の基本を原点回帰とした
 二宮さんによる金次郎研究は、
 新しい視点もたくさん詰まっています。
 「遠慮の人 二宮金次郎」の続きは、
 最新号P34をご覧ください。


  最新号のテーマは
   「遠慮ー―遠きを慮る」
   

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