2026年11月02日
栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。
本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。
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自分で考え、自分で決め、自分で動く
若い頃、私は夢を叶える場所は遠くにあると思っていました。東京、芸能界、アメリカ。そこへ行けば、面白い人生が待っている。父と母が宇都宮で営む小さなカメラ店より、もっと刺激的で華やかな世界に憧れていたのです。
もちろん、父は尊敬していました。問題が起きれば、自分で考え、自分が率先して動く。格好よかった。でも、父のような人生は送りたくありませんでした。毎日毎日、店に立って働く。自分は違う世界で生きてみたかったのです。
ところが、今年10月で創業62周年。私も家業で40年以上働いてきました。気づけば父と同じように、毎日商売のことを考えています。人生とは面白いものです。ただし、父と同じ人生になったわけではありません。
父は威厳を保つ人。母はざっくばらんで、誰とでもすぐ仲良くなる人でした。父が商売の方向性を決め、母がその方針に従いながら、2人とも自分で売って稼ぐ。店舗兼自宅で育った私は、その姿を見ていました。
そんな私が中学1年の夏、進路指導の先生に「なぜ学校の勉強をするのですか」と尋ねると、「勉強しない奴なんて見たことがない」と笑うのです。「そんな奴はいない? それなら俺がやってやろう」。変なところに火がついて、もう学校の勉強はしないと決めてしまいました(笑)。ところが、強がっても将来への不安は消えない。高校時代までのあの頃が、人生で一番怖い時期でした。
卒業が近づくと、父は写真関連の大学への推薦を高校にお願いしに行きました。すると先生は、父と私の目の前で「お前は我が校の恥だから」と言います。それはそうです。勉強していないのだから。父と顔を見合わせ、苦笑いしました。
それでも、父は「東京の写真専門学校へ行け」と自ら推薦状を書いてくれました。しかし、東京でも遊んでばかり。父に家業を手伝ってほしいと言われ、半年ほどで宇都宮へ戻りました。
20歳の時には、ある大会でグランドチャンピオンに選ばれ、大手芸能プロダクションの会長から直接スカウトされたこともあります。芸能界には進みませんでした。ただ、「カメラ業界なら自分は勝てる」と思いました。「この業界で成功してやる」。自分の勝負する場所が決まったのです。
日本一を目指す。そのために、まず地域一番になる。「勝ち易きに勝つ」「勝てる市場に特化する」。失敗を重ね、お客さんから学び、自分なりの売り方や経営の考え方をつくってきました。店は父から受け継ぎました。でも、誰に何を売り、どんな店にするか。その判断まで父任せにはできません。自分で考え、自分で決め、自分で動く。その繰り返しでした。
その経験を伝えるうちに、全国から講演や経営指導に呼ばれるようになりました。現場で学んだことを論理的に体系化し、12作のビジネス本を出版。テレビやラジオの番組を持ち、いまはユーチューブでも発信しています。
タレントにはなりませんでしたが、全国のステージで自分の言葉を届けています。好きだったアメリカへは流通視察ツアーを企画し、お客様や仲間と渡米しました。洋服好きは相変わらずで、毎日好きな服で仕事をし、キャップがトレードマークにまでなりました。考えてみれば、好きなことは結構やっているのです。
家業を続ける中で仕事が広がり、憧れていた世界にも繋がっていきました。父の店に戻った頃は、こんな展開になるとは思ってもいませんでした。父の夢は店を大きくすること。母の夢は学校の先生になることでした。
私は商売をしながら、大学や全国の経営者に経営を教えています。自分の人生を歩いてきたら、父と母の夢まで重なっていました。家業を継いだからといって、親と同じ人生を送る必要はありません。受け継いだ仕事に、自分の考えや好きなことを加えていけばいい。そこから何をつくるかは、自分次第です。
父と同じように、毎日毎日働いてきました。でも、その中でつくってきたのは、私自身の人生だったのです。
◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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