2026年10月05日
栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。
本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。
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点と点が繋がって「線」になり、やがて大きな「面」になる
10月7日は、父・勝男の命日です。2023年10月7日に亡くなってから、今年で3年になります。
その親父から、私は子供の頃よく「勝人、お前は大器晩成だ」と言われてきました。当時の私は、その意味など深く考えたこともありませんでした。「大器晩成とは、遅咲きの人間なんだ」くらいに思っていました。しかし親父が亡くなり、私自身も61歳になったいま、ようやくあの言葉の意味が分かってきた気がします。
振り返ってみると、私は一つのことだけをやってきた人間ではありません。18歳で父の家業を手伝い始め、23歳で店長になってからは、接客を極めようとしてPOPを研究。そこからチラシへ、売場づくりへ、店舗設計へと広がりました。さらにマーケティング、マーチャンダイジングを学び、部下を持てば人材育成、幹部育成へと広がっていきました。
26年前からは会社経営と商業経営コンサルタントという二足の草鞋を履き始め、講演、セミナー、個別支援へと活動が広がり、ビジネス書も12作出版しました。出版ファシリテーターとして30名以上の新人著者のデビューにも関わり、勝人塾を主宰。「地方創生は商業から」と商業経営者を育成し、アメリカ流通視察ツアーも続けてきました。地元栃木ではラジオやテレビのレギュラー番組3本を10年持ち続け、YouTubeでも発信。中国ではキヤノンのショールームの顧問を務め、東南アジアやインドにも現場指導に足を運びました。
こうやって並べると、「いったい何がしたいんだ?」「何をやっているんだ?」と思われるかもしれません。しかし、私の中では全部繋がっているのです。
接客を知らなければPOPはつくれません。POPを知ればチラシへ広がる。チラシだけでは店は変わらないから売場を学ぶ。売場だけでは経営は変わらないから、マーケティングやマーチャンダイジングを学ぶ。そして、どんなに優れた戦略をつくっても、それを実行する人を育てなければ組織は変わらない。
さらに、自分がやってきたことを単なる「経験」で終わらせず、研究し、検証して「経験値」に変え、誰にでも応用できる「経験則」にまで高める。だから、セミナーも講演もできる。コンサルティングもできる。本も書ける。ラジオ、テレビ、YouTubeは「伝える力」を鍛えてくれました。アメリカ、中国、インドを見ることで、商売を見る視野も広がりました。
そして61歳になったいま、MG(マネジメントゲーム)を学び、これまでの経験を「経営数字」という視点から、もう一度繋ぎ直しています。同時に、改めて部下と向き合う中で、自分自身の人材育成の不甲斐なさにも気づかされています。
若い頃は、それぞれがバラバラの「点」でした。一つの道だけを歩んできた人と比べれば、ずいぶん遠回りに見えたかもしれません。しかし30年、40年と点を打ち続けてきたら、60代になって、その点と点が一気に繋がり始めたのです。
接客、販促、売場、商品、人材育成、経営、コンサルティング、出版、メディア、海外視察、MG。点と点が繋がって「線」になり、線と線が繋がって大きな「面」になる。そして、その面全体が「佐藤勝人」という一つの仕事になってきたというわけです。
そこで、やっとわかりました。親父が言っていた「大器晩成」とは、単に「遅れて花が咲く」という意味ではなかったのかもしれません。いろいろな世界に飛び込み、たくさんの点を打つ。その一つひとつを中途半端な経験で終わらせず、研究し、検証し、経験則にまで高めていく。点が線になり、線が面になるには時間がかかる。だから「晩成」なのだと。
もちろん、子供の頃から気の多い私に向かって親父がそこまで考えて言っていたのかは、いまとなっては分かりません。聞いてみたいと思っても、もう聞くことはできません。でも、親父が他界して3年。私はまだ完成したとは思っていません。まだ点を打つ。まだ学ぶ。まだ経験する。まだ自分を変えていく。
親父が生きていたら、いまの私を見て何と言うでしょうか。「勝人、まだまだだな」。きっと、そう笑っているような気がします。10月7日、親父の命日を前にして、 子供の頃から何度も聞かされた言葉をもう一度思い出しています。
「勝人、お前は大器晩成だ」
親父が残したその言葉の意味に、61歳になって、ようやく私の人生が追いついてきた気がしています。合掌
◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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