2026年05月17日
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漢方薬のパイオニアとして知られるツムラ。国内で圧倒的なシェアを獲得し、確固たる地歩を築いた同社を率いるのが、社長の加藤照和氏です。新卒で入社したツムラで社長にまで上り詰めた加藤氏は、理念を求心力とした経営を掲げ、理念の体系化と社内への浸透に奮闘します。社長就任当時を振り返っていただきながら、その取り組みについて語っていただきました。対談のお相手は日本で初めてソフトクリームのビジネスを立ち上げ、国内では6割ものシェアを占める日世の会長・岡山宏氏です。
(本記事は『致知』2026年5月号対談「組織を伸ばす経営のあり方」より一部を抜粋・編集したものです)
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繰り返し語らなければ理念は浸透しない
<岡山>
加藤さんが社長に就任なさったのはいつでしたか。
<加藤>
2012年です。指名された時は末席の取締役で、しかも1年しか務めていませんでしたから、まさか自分が指名されるとは思っていなくて、本当に青天の霹靂で。前任の社長からは「もう決めたことだから逃げるな」と釘を刺されて、選択の余地はありませんでしたね(笑)。
その代わり自由にやっていいと言われましたので、松下さんの本で学んだ理念に基づく経営をやろうと決意しました。カリスマでもなく、創業家の人間でもない私が何を求心力に経営をするかというと、やはり理念しかないと考えたのです。
松下さんは、文字に書かれた経営理念は氷のようなものだから、これを水に溶かして社員に理解させ、次の代に一滴も漏らさず手渡せるようにまた凍らせること、つまり体系化することが大事だと説かれています。そこで私は、当社の掲げるべき理念を徹底的に考え、「自然と健康を科学する」という経営理念を中心に、当社の理念体系を明示したDNAピラミッドというのをつくったのです。
<岡山>
最初に理念づくりに取り組まれた。
<加藤>
ただ松下さんは、理念だけでは不十分で、もう一つ持たなければならないものは夢だと説いています。私はそれをビジョンと解釈して、「調和のとれた未来を実現する」という長期ビジョンを設定しました。そして10年後にどうあるべきかというイメージを皆で共有し、中期経営計画を通じてこれを実現するためにやるべきことを逆算して取り組んでいます。数字を追うのではなく、こうありたいという姿を皆で力を合わせて追求していく中で、社員の育成にも取り組んでいるのです。
<岡山>
理念を社員の皆さんの間に浸透させるために留意なさっていることはありますか。
<加藤>
これはもう繰り返し言い続けるしかありませんね。100万回でも同じことを言い続けなければ浸透しないと思っています。
理念というのは上っ面だけ聞いても意味がありません。創業者が何を考えてこの事業を始め、どうしてこの理念を定めたのかというところまで掘り下げなければ、そこに込められた真意も伝わりませんし、社員も育ちません。
先ほど少し触れましたが、漢方は1895年に排斥され、そこから81年経った1976年に当社の漢方製剤は健康保険薬として承認されました。つまり81年の間、初代と二代がバトンを繋いで諦めずに尽力したからいまがあるんです。では現代の我々は何をしなければならないのかと、そういうことも踏まえて理念と向き合わなければ意味がありません。ですから、あらゆる機会を捉えて語り続けていますし、毎年理念浸透サーベイというのを実施して理念の浸透具合を数値で測り、これを維持する努力を重ねているんです。
(本記事は『致知』2026年5月号対談「組織を伸ばす経営のあり方」より一部を抜粋・編集したものです)
↓ 対談内容はこちら!
◆お互いの人柄に魅了されて
◆ソフトクリームで6割のシェアを実現
◆取り組むべきは多角化ではなく多柱化
◆子供たちの笑顔が仕事の原点
◆信頼関係を築けばお客様が助けてくれる
◆真剣に向き合ったものに何一つ無駄なものはない
◆リーダーは命懸け
◆当事者意識を持って主体的に仕事をせよ
◆25年かけて取り引きを再開
◆売り上げを3倍にするから社長になりなさい
◆繰り返し語らなければ理念は浸透しない
◆人の成長なくして会社の成長なし
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◇岡山 宏(おかやま・ひろし)
昭和21年和歌山県生まれ。44年関西学院大学法学部卒業後、日世入社。常務取締役、専務取締役、海外事業部管掌などを経て、平成27年代表取締役社長。令和4年代表取締役会長。
◇加藤照和(かとう・てるかず)
昭和38年愛知県生まれ。61年中央大学商学部卒業後、津村順天堂(現・ツムラ)入社。米国法人社長、コーポレート・コミュニケーション室長などを経て、平成24年代表取締役社長に就任。
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