2025年05月04日
栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。
本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。
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上に立つものは一番失敗している人間であれ
長年同じ職場で働いていると、いつの間にか役職が付いて、気づけば多少なりとも部下を持つ立場になっているものです。そして、多くの上司は部下に厳しく指導しながらも、自分は失敗を怖がる人間に少しずつ成り下がっていくものです。
挑戦しない。決断しない。責任を取らない。それでいて、部下には結果だけを求める。こうした光景は、どこの組織にもある。これはもう指導ではない。ただの〝圧力〟だ。
人は圧力では動かない。動いたように見えても、それは従っているだけで、心は離れている。やがて思考は止まり、挑戦は消え、組織は形だけのものになっていく。
さらに、この状態が続くと「挑戦しない文化」が生まれ、失敗を責められる職場では、人はリスクを取らない。無難にこなすことが評価され、波風を立てないことが正解になる。結果として、誰も前に出なくなる。これが衰退の始まりだ。
では、上に立つ者はどうあるべきか。私は「一番失敗している人間であれ」と考えている。失敗の数は、挑戦の数であり、決断の数であり、責任を背負った量そのものだ。逃げずに前に出ている人間ほど、失敗は増える。
だが、その積み重ねが経験となり、判断の精度を高め、組織を前に進めていく。だからこそ、言葉に重みが出る。自らも傷を負いながら前に出ている人間の言葉は、相手の心に届く。そこには納得があり、信頼がある。
一方で、自分は安全圏にいながら、部下だけを前に出す人間の言葉は軽い。そういう言動や態度に部下は敏感だ。この人は逃げているのか、それとも本気なのか。日々の言動の中で、その本質を見抜いている。
では、厳しさとは何か。それは言葉の強さでも、声の大きさでもない。背負っている覚悟の強さである。自分がやらないことを、部下に求めてはならない。自分が背負わない責任を、押しつけてはならない。その瞬間、どんな正論も空虚になる。
組織は制度や仕組みだけでは動かない。最後は「誰が上に立っているのか」で決まる。上に立つとは、指示を出すことではない。最も難しい局面で前に出ること。最も重い責任を引き受けること。
そして結果が出なければ、すべてを自分で受け止めることだ。その姿を見せ続けることでしか、人はついてこない。
そしてもう一つ重要なのが、「失敗の扱い方」である。失敗を叱る組織は、人を萎縮させる。しかし、怠慢を見逃す組織は、さらに深刻な停滞を生む。
挑戦の結果の失敗は、次に繋がる。だが、やるべきことをやらない怠慢は、何も生まない。だからこそ、上に立つ者は見極めなければならない。何が挑戦で、何が怠慢なのかを。ここを誤れば、組織は止まる。
結論はシンプルだ。部下に言う前に、自分がやる。部下に求める前に、自分が背負う。この当たり前の積み重ねが、やがて組織の文化となり、人材を育てていく。厳しさとは、他人に向けるものではない。まず、自分自身に向けるものだ。それができたとき、初めて言葉は力を持ち、人は動き、組織は前に進み始める。
組織は、トップの覚悟の強さで決まる。逃げるな。前に出ろ。それが、上に立つ者の仕事だから。 I’ll try my best.
◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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