2025年10月29日

2011年、主将として臨んだW杯ドイツ大会でなでしこジャパンを初の世界一へと導き、得点王とMVPに輝いた澤 穂希さん。2012年のロンドン五輪では銀メダルを獲得。2015年12月に現役引退、1年1か月後に第一子を出産し、仕事の傍ら子育てに奮闘しています。そんな澤さんが、自らの経験を通して我が子に伝えたい言葉とは。お相手は、2012年のロンドン五輪でバレーボール全日本女子代表(火の鳥NIPPON)を主将として牽引し、28年ぶりとなる悲願の銅メダル獲得に貢献した荒木絵里香さんです。
(本記事は、致知別冊「母」(VOL.1)「母という人生を生きて」より一部を抜粋・編集したものです)
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経験を通して娘に伝えたいこと
〈澤〉
先ほど、「チャンスは何度もない」という話をしましたが、これはもともと母に教わったことなんです。小さい頃から常に言われていて、一番印象的だったのが「チャンスの波に乗りなさい」という言葉でした。
このひと言が私の人生を変えたといってもいいくらい、どれが正解か不正解かは分かりませんが、自分にとってこれはチャンスだと思う時には、とにかく何でも挑戦するようになりました。結果としてうまくいかなくても、挑戦することに意味があって、「あの時やっておけばよかった」って後悔するよりは「失敗はしたけど、あの時やってよかった」って思える選択をしようと心掛けてきました。
〈荒木〉
現役を続けながら子育てをしていると、迷ったり不安になったりすることもあります。その時よく母に「やれるところまでやりなさい」「いまあなたは挑戦できるチャンスを与えられているんだから頑張りなさい」って言われるんですね。
やっぱり現役生活に限らず何事でもいつかできなくなる時って必ず来るわけなので、いま挑戦できる立場にある、チャンスが与えられているということは非常に幸せだと思います。
〈澤〉
私は12歳でベレーザというチームに入団しましたが、その当時は世界一になれるなんて全く思ってもいなかったですし、そこから20年かけてずっと努力し続けた結果、2011年のワールドカップでアメリカを破り、世界一という夢を叶えることができました。
だから、ちょっとやって結果が出なかったからやめるのではなく、自分がこれだって決めたことは最後まで諦めずにやり切る。練習でできないことは本番でも絶対にできないから、手を抜かずに準備する。そういう実際に自分が経験して感じている大切なことを娘には伝えたいです。
もしかしたら親の影響で娘もサッカーをやるかもしれませんが、嫌いであれば無理やりやらせる考えは全くなく、本人がやりたいって言えばやればいいと思います。そこは本人の気持ち次第だと思っています。
◇澤穂希(さわ・ほまれ)
1978年東京都生まれ。15歳で日本代表に初招集される。ワールドカップ6大会連続出場。2011年ワールドカップドイツ大会で、キャプテンを務めチームの初優勝に貢献し、大会MVP と得点王に輝く。同年度の「FIFA 女子年間最優秀選手」を受賞。4度目の出場となったロンドン五輪で銀メダルを獲得。日本代表での通算205 試合出場と83得点は、男女合わせて歴代トップ。2015年8月に結婚し、同年12月に現役を引退、2017年1月第一子女児を出産。
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