〝グローバリズム〟の危険性と日本人が取り戻すべき心の交流〈荒谷卓×ジェイソン・モーガン〉

陸上自衛隊初の特殊部隊の創設に携わり、退官後には三重県熊野の地に国際共生創成協会「熊野飛鳥むすびの里」を設立、日本精神の継承、真の日本人の育成に情熱を注いでいる荒谷卓氏。日本の伝統文化や歴史、精神性に関する鋭い研究・評論活動を展開する麗澤大学准教授のジェイソン・モーガン氏。日本人としての覚醒を促す対談の中で、お二人は昨今日本を侵食している「グローバリズム」の危険性について警鐘を鳴らしています。日本が直面する危機的状況を交えてお二人が語り合う、いまこそ取り戻すべき日本人の生き方、そして日本復活への道筋とは――。
(本記事は月刊『致知』2025年7月号「一念の微」より一部抜粋・編集したものです)

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日本を侵食するグローバリズムに対抗せよ

〈荒谷〉
日本を守るために、もう一つ私たちが知っておかなくてはならないのは、主に欧米の一部エリートが主張し、推進しているグローバリズムの危険性です。これは個人の自由・平等・人権、経済、金融の自由化など、共通のルールのもとに国境を越えて世界を一つにしていこうという思想です。

一見、世界が一つになるのはよいことのように思われるかもしれません。しかし、彼らが主張するグローバル化とは、それぞれの国の独自の伝統文化や信仰に基づく生き方を否定して、〝グローバル・スタンダード〟に統一しようということです。

自由・平等・人権といった美辞麗句は方便に過ぎません。その最終目的は、一部エリートたちの都合のいいルールを押しつけて、人々を効率よく管理することだと思います。

〈モーガン〉
グローバリズムの危険性については、全く同感です。日本人はグローバリズムの本質に早く気づかなくてはなりません。

〈荒谷〉
日本では国際標準、欧米の価値観に合わせなければいけないと、左翼のみならず保守と称されるリーダーや知識人までがグローバリゼーションを歓迎してきました。

結果、日本人の伝統的な価値観や共同体の破壊がどんどん進んでいるのが現状ですよ。だから私は日本を守るためにも、グローバリズムとは徹底して戦います。

〈モーガン〉
〝グローバル・スタンダート〟なるものを押しつけ、それぞれの国の文化や伝統を消し去っていくグローバリズムは、まさに全体主義そのものです。

私はグローバリズムとは反対に、それぞれ文化的背景があるからこそ、お互いに深く理解し合うことができると思っているんです。私が生まれ育ったアメリカ南部のルイジアナ州の田舎には、いろんな人種の人が住んでいましたけれども、お互いの文化に興味を持ち、リスペクトし合っていました。

また、日本にホームステイした時のことも忘れられません。受け入れてくださった岐阜県のご家庭のお母さんが、最初から私を自分の息子のように温かく受け入れてくれたんです。そして当時の私の日本語能力はほぼゼロでしたが、お母さんの言っていることは不思議と100%理解できたんですね。

それはお母さんが他人を慮る「日本の心」を持っていたからで、私もまたアメリカ南部の田舎で育ったという文化的背景を持っていたからこそできたのだと思います。まさに理想とする人間同士の心の交流がそこにはありました。

〈荒谷〉
素晴らしい体験ですね。

〈モーガン〉
そのように異なる歴史や文化を持っていることが、むしろお互いの壁を超えていく力、理解し合っていく力になるんです。だから私も荒谷さんと同じくグローバリズムには断固反対です。


本記事の内容 
◇熊野には日本人の生き方の原点がある
◇見えない力に導かれ、熊野の地へ
◇「農・武・学」を通じて真の日本人を育成する
◇日本を訪れる人々が求めているもの
◇日本の「形」を消し去ったアメリカの占領政策
◇日本を侵食するグローバリズムに対抗せよ
◇日本が置かれている現実に気づくことから始まる
◇手を合わせる心が日本復活への礎となる

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◇荒谷 卓(あらや・たかし)
昭和34年秋田県生まれ。東京理科大学卒業後、57年陸上自衛隊に入隊。陸上幕僚監部防衛部、防衛庁防衛政策局戦略研究室勤務の後、米国特殊作戦学校への留学を経て、帰国後に特殊作戦群初代群長となる。研究本部研究室長を最後に、平成20年退官。一等陸佐。21年明治神宮武道場「至誠館」館長に就任。30年国際共生創成協会「熊野飛鳥むすびの里」創設。農、武、学を通じて日本文化社会の国内外への普及活動に取り組んでいる。令和4年「日本自治集団」創設、代表に就任。著書に『戦う者たちへ』『サムライ精神を復活せよ!』(共に並木書房)『日本の戦闘者―現代のサムライは決してグローバリズムに屈せず』(ワニ・プラス)など。

◇ジェイソン・モーガン
1977年アメリカ合衆国ルイジアナ州生まれ。テネシー大学チャタヌーガ校で歴史学を専攻後、名古屋外国語大学、名古屋大学大学院、中国昆明市の雲南大学に留学。ハワイ大学の大学院で東アジア学、特に中国史を研究。フルブライト研究者として早稲田大学大学院法務研究科で研究。2016年ウィスコンシン大学で博士号を取得。一般社団法人日本戦略研究フォーラム上席研究員を経て、2020年4月より現職。『私はなぜ靖国神社で頭を垂れるのか』(方丈社/公益財団法人アパ日本再興財団主催の第7回アパ日本再興大賞を受賞)『戦後80年の呪縛 日本を支配してきたアメリカの悪の正体』(徳間書店/共著)など著書多数。

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