困り事は宝物——有機こんにゃくの国内市場で約6割のシェアを誇る「グリンリーフ」の成功の要諦

国内の有機こんにゃく市場で約6割のシェアを誇るグリンリーフや、全国9府県で70名の生産農家と約40品目の野菜を供給する野菜くらぶをはじめとする農業生産法人を率いる澤浦彰治氏。62年前に家族経営から始まった本グループが、現在売上高57億円を超える規模にまで成長を続けてきた要諦を語っていただきました。
(本記事は『致知』2025年7月号 特集「一念の微」より一部を抜粋・編集したものです)

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「問題の数だけ未来がある」

──目覚ましい発展を遂げられていますね。

<澤浦>
農業の歴史を見てみると、明治維新の地租改正や戦後の農地改革といったように、約80年置きに大きな転換を繰り返していて、まさにいまが転換期です。その中で我が社がお客さんに対してどういう価値を届けていくか、お客さんに喜ばれる商品をいかにつくっていくか。ここが本当に重要だとひしひしと感じています。

最近、特に力を入れているのは食材とレシピをセットにして短時間で簡単に調理できるミールキットですね。

「野菜と鶏肉のカシューナッツ炒め」「彩り野菜と国産豚の黒酢酢豚」など約80品目を取り揃えています。ミールキットに関して当社は後発でしたから、そこに入ろうとするとどうしても潰し合い、価格競争になる。それが嫌だったので、お客さんの困り事にアプローチしようと。

私はよく「困り事は宝物」「問題の数だけ未来がある」って社員に言っているんですけど、耳を澄ましてお客さんの話を聞くと、消費期限を長くしてほしいという潜在的なニーズがあることに気づいたんです。

昨年(2024年)、多額の投資をして高圧殺菌装置を搭載した専用工場を新設し、これまで2~3日しかもたなかった消費期限を5日間に延ばすことができました。

──それは画期的です。

<澤浦>
添加物を使わずに消費期限を延ばすなんて誰もやったことがないから、普通は「それは難しいよ」って思うんですけど、「やりもしないでできない理由を言うな」というのが私の口癖なんですね。どうやったらできるかを考えて、野菜の洗い方や切り方、素材そのものの改良など2年以上も試行錯誤を重ねて実現したんです。

振り返るとこれまでもいろいろな問題がありましたけど、今日までこうして仕事を続けることができたのは、ひと言で表現すれば、諦めなかったからだと思います。

こうやればよくなるという執念で挑戦し、乗り越えてきた。その連続です。だから、過去に直面した逆境も過ぎてしまえば大したことはなく、常にいまが一番大変だと捉えています。


本記事の内容 ~全5ページ(約7,000字)~
◇家族経営から年商50億円超へ
◇困り事は宝物 できる方法を考える
◇25歳で訪れた一大転機
◇成長の鍵は人との出逢い
◇理念経営を実現するための工夫
◇仕事と人生は一体である

〈編集後記〉
取材はゴールデンウイークの狭間、5月2日(金)に行われました。あいにくの大雨でしたが、東京・練馬から車で約1時間半、群馬県昭和村赤城高原にあるグリンリーフ本社へ伺うと、澤浦さんは笑顔で歓待してくださいました。昨年11月に完成した3階建ての新社屋・工場を丁寧に案内していただきましたが、エントランスには社員共用の本棚があり、そこには『致知』や弊社書籍も多数並んでいました。20年以上にわたって『致知』をご愛読くださっている澤浦さんとはかねて親交があり、その素晴らしい取り組みに注目し、いつかご登場いただきたいと思っていただけに、今回はとても貴重な体験でした。2年前に60周年を迎え、農業経営に半生を捧げてきた澤浦さんの、心を揺さぶられる数々の金言に出逢えます。

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◇澤浦彰治(さわうら・しょうじ)
昭和39年群馬県生まれ。利根農林高等学校を卒業後、群馬県畜産試験場の研修を経て、家業の農業・養豚に従事。こんにゃく市場の暴落によって破産状態に直面する中でこんにゃくの製品加工を始める。平成4年仲間と3人で「野菜くらぶ」を立ち上げ、有機野菜の生産を本格的に開始。6年家業だった沢浦農園を法人化し、グリンリーフ設立。第47回農林水産祭の蚕糸・地域特産部門で天皇杯、第13回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で審査委員会特別賞を受賞。著書に『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール』(ダイヤモンド社)など。

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