開運料理人・ちこ店長が語る、人生がよくなる「食」との向き合い方

何もやってもうまくいかない高校時代、心も体も疲れ切っていたと語る「御食事ゆにわ」(大阪府枚方市)の店長・ちこさん。辛い日々から抜け出し、心身ともに健康を取り戻すきっかけとなったのは、数千人の人生相談に乗った経歴を持つ「北極老人」が経営する進学塾に入り、一つの「おにぎり」を食べたことでした。そんなちこさんに、北極老人に学んだ食事の大切さ、幸福に生きるためのヒントをお話しいただきました。

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私を変えた「命のごはん」

いまから16年前、高校2年生の私は何をやってもうまくいかない、苦しみの中にいました。将来を考える度にネガティブになり、いつも体調が優れず、顔には吹き出物がたくさんできていました。

そのような辛い日々から抜け出す大きな転機となったのが、兄がお世話になっていた「大学受験塾ミスターステップアップ」(大阪府枚方市)に通い始め、塾長である北極老人と出逢ったことでした。

北極老人は、数千人の受験生を難関大学に合格させてきた方ですが、ただの塾長ではありません。塾長になる前には風水師として数千人の相談に乗ってきたとも言われ、実際、様々な方が人生相談に訪れていました。さらに、北極老人は訪れる方々に料理を振る舞い、塾生たちにも合間を縫ってはおいしいおむすびをつくってくれていました。

入塾後、北極老人のおむすびを食べた時の感動はいまでも忘れられません。口にした途端、砂漠に水が染み渡るような不思議な感覚を覚え、時にはあまりのおいしさに涙が溢れてくることもありました。このおむすびは、まさに私の「命のごはん」となりました。

どうしてこんなにおいしい料理をつくることができるのだろう。私は次第に北極老人がどのような生活をし、何を考えているのか観察するようになり、その中で様々なことを教わっていきました。

「酸化した油は摂らないこと。よい水、塩、お米を摂ること」

「感情を超えなさい。感情を乱すのは自己中心性が原因。それを一つ見つける度に、ニキビは一つ減るよ」

北極老人の教えを実践していくことで、顔の吹き出物は改善。また、北極老人と話をしているだけで、何をすべきかが自然と閃き、将来の不安もなくなっていきました。

北極老人のようなおいしい料理がつくりたい、北極老人のもとで学び続けたいという思いが湧き上がってきた私は、勉強にも真剣に取り組むようになり、短大の栄養科に合格することができたのです。

目の前の人を大事にする

短大卒業を控えた頃、北極老人の門下生の間で、「ただ就職するのではなく、北極老人に与えてもらった教えを人々に伝えていく、本質的な生き方がしたい」という気持ちが高まっていきました。

様々な意見が出た後に決まったのが、北極老人の感動的な料理を多くの方に味わっていただくため、ご飯屋を経営しようということでした。「絶対失敗する」と周囲から散々言われましたが、決めたからにはやるしかありません。

私たちの考えを快く受け入れてくれた北極老人の支援のもと、塾の入った建物の一階を借り、2006年11月1日に「御食事ゆにわ」をオープンしました。その際、北極老人から繰り返し教えられたのは「まかないを大事にしなさい」ということでした。

スタッフや関係者など、何よりまず目の前の人の幸せが大事であり、その人の食べ方が崩れれば働き方が崩れ、人間関係も崩れてしまう。だからそこだけは絶対守りなさいと北極老人は言うのです。

 (中略)

「御食事ゆにわ」がここまで続いてきたのは、やはり、まず自分たちが食べるもの、目の前の人を大事にする、という北極老人の教えを貫いてきたからだと思います。

目の前のスタッフが幸せに生き生きと働けば、家族も、接したお客様も幸せになっていく。その人と人との絆、繋がりの継続こそが、「御食事ゆにわ」を支えてきてくれたのです。

しかし、そのような生き方や精神性は、古来日本人が実践してきたことであり、特別なことではありません。

これからも食を通じて、日本人の高い精神性を守り伝え、一人でも多くの人の幸せに貢献していきたいと願っています。


(本記事は『致知』2018年2月号 連載「致知随想」から一部を抜粋したものです)

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◇ちこ
1985年大阪府生まれ。栄養士。17歳の時に、大学受験塾ミスターステップアップ塾長、北極老人と出会い、“食を変えると人生が変わる”ことを悟得する。2006年、声なき声を聞き、香りなき香りを利く料理、ゆにわ流を伝授される。大阪府枚方市楠葉に、北極老人監修のもと、自然食という枠を超えた、古くて新しい料理店、『ゆにわ』を立ち上げる。現在は、『御食事ゆにわ』店長を務めながら、ゆにわ流ライフスタイルを伝道する。

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