【第6回】佐藤勝人 快刀乱麻を断つ 仕事と人生に役立つ実践的問答 ——「辞める前に、まずは自分を鍛えてみないか?」

栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。

本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。

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「辞めたい」と思った時こそ、自分と向き合うチャンス

「この会社、自分に合っていない気がする」「やりがいが感じられない」「思っていた仕事と違った」──そう感じたことってありませんか? 実はそれ、多くの若手社員が一度は通る悩みです。家業に入った私でさえそうなのだから、誰しも自分の将来に不安を抱えながら働いているものです。そして、「辞めようかな」と考える瞬間もあるでしょう。

ですが、そこで一度立ち止まってほしい。「いま、自分は何のために働いているのだろうか?」「この経験から、自分は何を学ぶべきなのだろうか?」。そう自分自身に問いかけてみるといい。 あれだけの才能を持ったMLB大谷翔平選手ですら、高校時代から「目標達成シート」を使って、明確な将来像を描いてきたといいます。彼が特別なのはこうなりたい自分に向かって、日々自らを磨き続けたという点です。これがまさに「修養」なのです。修養とは自分の人格・考え方・姿勢などを、日々の積み重ねで高めていく生き方であり、ただの自己啓発ではなく、〝生きる姿勢そのもの〟といってもいいでしょう。アイツが、コイツがと人のせいにせず、感謝を忘れず、謙虚に努力を続ける姿勢は、すべてが修養の積み重ねによるものだということです。

それは私たちの仕事も同じです。最初から「やりがい」や「理想的な仕事」が与えられることは、そう多くありません。むしろ、「この仕事に意味はあるのか?」と感じた時にこそ、与えられた仕事の中で自分なりの目的、意味や価値を見つけていく力こそが自信を伸ばすための軸となるのです。

よく「この会社では成長できない」と言う人がいます。しかし、自分から学ぼうとしなければ、どこへいっても成長できません。会社がチャンスをくれない? 上司が教えてくれない? ならば、自分からチャンスをつくって、自ら手を挙げて学びにいけばいいのです。これは決して精神論ではありません。成長する人とは、自己変革させて自らの行動を変えていくこと。環境を変える前に、自分との向き合い方を変えているのです。

もちろん、自身の将来設計を持った目的のある早期退職ならば悪いことではありません。キャリアを積むための転職は立派な選択肢のひとつです。ただし、「逃げ」で辞めてしまうと、いくら環境を変えても、また同じところで同じ壁にぶつかることになります。 「いまの会社で、自分はどこまでやれるのか?」「まだやれることがあるのではないか?」。そう考えてみることが、成長への一歩になるのです。

これは笑い話になりますが、こんな相談を何度も受けたことがあります。「上司がバカだから部下である私はつらい」という話。それに対して、私は「上司が立派ならばキミはいくら頑張っても上司を超えられない。けれども、キミが言うように本当に上司がバカならばさっさと抜きなさい。それをトップは望んでいるはず。それができないのであれば、キミも同じだ」と。いまいる場所で自分を鍛えることが、自分を高めるための「土台づくり」。目の前の仕事に目的を持って生きること。その積み重ねが、自信ややりがいに繋がっていくのです。

「辞めたい」と思った時こそ、自分と向き合うチャンスだよ。 Don’t miss it


◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。 

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