2025年02月07日
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日本の経営コンサルタントの草分けであり、船井総合研究所をコンサルティング会社として世界で最初に上場に導いた舩井幸雄さん。経営指導の神様とも呼ばれた船井さんが2030年以降の世界の流れとして予測した「エヴァ」の世界とはどのようなものなのか。2030年が目前に迫るなか、私たちが心得ておくべき生き方とは——。弊誌1996年7月号の内容を抜粋してお届けします。
(本文は掲載当時のものです)
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2030年以降は「エヴァの時代」がやってくる
〈船井〉
世の中、急速に変わっています。
実際には変わっている途上にあるのですが、もう元にはもどれない。そういうところまで、変わってきていると思います。
では、どのように変わっているのか。エゴからエヴァに変わってきている。これが私の考えです。
私の見るところ、世の中が変わりはじめたのは1960年ごろからでした。
それまではどういう時代だったかと言えば、「エゴの時代」でした。それが「エゴ的な時代」に変わってきたのです。「エゴ的な時代」は60年代から80年代終わりごろまででした。いまはそれが終わりかけ、次の時代の兆しが見える端境期にあると言えます。
では、これからはどのように変わっていくのでしょう。
これから2010年ごろまでは「エゴとエヴァのミックスの時代」になると思います。そして、2010年ごろから2030年ごろまでは「エヴァ的な時代」がきます。そしてさらに、2030年以降は「エヴァの時代」になるでしょう。
与え合う喜びに生きる
〈船井〉
世の中で何よりも自分が一番大事と考えるのがエゴです。そのように考える人たちが中心になって社会が成り立ち、営まれる。それが「エゴの時代」です。
(中略)
エヴァとは何か。
エヴァはエゴの対極にあるものです。人間が生きる目的はエゴとは正反対のところにある、とするのがエヴァです。
(中略)
エヴァの時代は本物の時代でもあります。
①安い。
②良心的なもの。
③世の中を良くしても悪くはしない。
これが本物の条件です。こういうものが尊ばれるようになります。
すべてが一体化していくエヴァの時代は、公開の時代でもあります。秘密はエゴの産物にほかなりません。そういうものは徹底的に排除されていくことになります。
すでにエヴァを実践している人もいます。たとえば、岡山にお住まいの発明家、政木和三さんです。 政木さんは数えきれないほどの特許を取っていますが、そのほとんどを無料で公開しているのです。
著作権や特許権などとゴタゴタ言うのではなく、すべての人のものにしていく。そういう「与える」喜び、エヴァの心を自分のものにしている人がすでに出てきているのです。
また、エゴの時代を主導したのはエコノミーでしたが、エヴァの時代はそうではありません。エコロジーの時代になります。共存共栄していくためのエコロジーがエヴァの中心課題になります。
好むと好まざるとにかかわらず、世の中はエヴァに向かって滔々と流れています。その流れに沿うには、私たち一人ひとりは人間性を豊かに向上させることが必要になってきます。
それはつまるところ、感謝する心を知り、その喜びに生きることになるのではないでしょうか。
感謝の心は己を解き放ち、与える喜び、与えられる感動に生きる生き方につながっていきます。
この生き方を自分のものにできない人は、エヴァの時代から脱落するだけです。
多くの人が与え合う喜びに生きるようになっていきます。世の中はその方向に向かい、もはや棹さすことはできないでしょう。この流れをしっかり見据えて、いまの生き方を定めていかなければなりません。
(本記事は月刊『致知』1996年7月号 特集より一部を抜粋・編集したものです)
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◇舩井幸雄(ふない・ゆきお)
昭和8年大阪府生まれ。京都大学農学部卒。産業心理研究所研究員、日本マネジメント協会経営指導部長、理事を経て、 45年日本マーケティングセンター設立。60年船井総合研究所に改称。200数十名の経営専門家を擁するわが国最大の経営コンサルタント会社に育て、顧問先は約4800社にのぼる世界でもトップクラス。著書に『これからの 10年 愉しみの発見』(サンマーク出版)『エゴからエヴァへ』(PHP 研究所)など多数。