2025年01月28日
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脳神経解剖学の世界的権威であり、第16代京都大学総長を務められた平澤興先生。人間に秘められた大いなる力と可能性を生涯にわたり探究し続けました。滋味あふれる人間学の大家が、運について語った一節をご紹介します。(本文の内容は掲載当時のものです)
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運というもの
〈平澤〉
私の恩師は、私の表面に出ている、要領の悪さとか、不器用さとかそういうものではなくて、その後ろにある、私の情熱と真面目さというものを読んでくれましたから。
これは有り難いことですよ。これは運ですよ。もっとも、先生を選んだのは私が選んだんだが。
——運というのは?
〈平澤〉
運というのはなかなか、ひと言ではね。運には説明のできる運もありますよ。だけど、説明のできない運もありますね。
しかし、本当によく目の見える人には意地悪をされても、それが意地悪に映らないということがありますね。
それはね、意地悪をされて、それが意地悪に映るだけでは、成長はできないんだな。意地悪をされたときにも、 それでもなおかつ、これもまた人生の修養かと思えるような思い方があればね、運が悪いってことはないわね。
それを、さらに一般的にいえばね、
不幸とか、失敗とか、そういうもので腐っておるようなことだけでは、その人はやっぱり、本物になる資格はないんじゃないか。
不幸でも失敗でも、その裏までも読んでね、なお感謝が、できるだけの深さとゆとりを持たなければならない。
そういう人なら、どういう場合でもやっぱり、有り難いからね。
(本記事は月刊『致知』1985年12月号 特集「隠れた人」より一部を抜粋・編集したものです)
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◇平澤興(ひらさわ・こう)
明治33年新潟県生まれ。京都帝国大学医学部を経て、大正13年京都帝国大学医学部解剖学教室助手。翌年同学部助教授。15年新潟医科大学助教授。昭和3年からスイス・ドイツ等に留学後、5年同大学教授。翌年、日本人腕神経叢の研究により医学博士号を取得。21年京都帝国大学教授。32年から京都大学総長を2期6年間務める。38年同大学名誉教授。その後、京都市民病院院長、京都芸術短期大学学長などを歴任。45年勲一等瑞宝章受章。平成元年6月17日、心不全のため京都市内で没。