仕事と人生の方程式、ここにあり!稲盛語録の決定版『稲盛和夫一日一言』

京セラ、KDDI、JALという3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏。その稲盛氏による待望の語録集が、一日一言(いちげん)として誕生しました。その膨大な著作のみならず、市販本には収録されていない、講話やスピーチなども渉猟し、選び抜いた366の金言。企画構想から約10年の歳月を経て誕生した渾身の一書です。「本書は私から読者諸兄へのエネルギー転移の書である」と、稲盛氏は、本書のまえがきに記されています。さまざまな試練や困難に直面する事業経営の中から、身を振り絞るようにして発せられた葉は、現下の困難を生きる人々にとっての、またとない道標となることでしょう。本書の中から、5つの葉をお届けします。

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【1月10日】強烈な願望を持つ

願望を成就につなげるためには、並に思ったのではダメだ。生半可なレベルではなく、強烈な願望として、寝ても覚めても四六時中そのことを思い続け、考え抜く。頭のてっぺんからつま先まで全身をその思いでいっぱいにして、切れば血の代わりに「思い」が流れる。それほどまでにひたむきに、強く筋に思うこと。そのことが、物事を成就させる原動力となる。

【1月16日】 自燃性の人

物には、他からエネルギーを受けて燃えるものと、それでも燃えないものと、そして自分自身で燃えるものとがあります。つまり、火を近づけると燃え上がる可燃性のもの、火を近づけても燃えない不燃性のもの、自分で勝手に燃え上がる自燃性のものと、物質は三つに分かれますが、人間も同様です。物事を成そうとするには、自ら燃える者でなければなりません。

【5月3日】人間として正しいこと

現在の社会は、不正が平然と行われてい たり、利己的で勝手な行動をとる人がいた りと、決して理想的なものではないかもし れません。しかし、世の中がどうであろう と、私は「人間として何が正しいか」を自 らに問い、誰から見ても正しいことを、つ まり、人間として普遍的に正しいことを追 求し、理想を追い続けようと決めたのです。

【5月30日】仕事をする人の完成

ラテン語に、「仕事の完成よりも、仕事をする人の完成」という言葉があるそうですが、その人格の完成もまた仕事を通じてなされるものです。いわば、哲学は懸命の汗から生じ、心は日々の労働の中で練磨されるのです。

【6月12日】試練は幸福をもたらす

試練を、絶好の成長の機会としてとらえることができる人、さらには、人生とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場であると考えられる人──。そういう人こそが、限りある人生を、豊かで実り多いものとし、周囲にも素晴らしい幸福をもたらすことができるのです。


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◇稲盛和夫(いなもり・かずお)
昭和7 年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34 年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9 年より名誉会長。昭和59 年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長
に就任、平成13 年より最高顧問。22 年には日本航空会長に就任し、27 年より名誉顧問。昭和59 年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を
顕彰している。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』、五木寛之氏との共著に『致知新書 何のために生きるのか』(いずれも致知出版社)など多数。

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