2024年12月02日
コカ・コーラ社の営業職としてセールス日本一を達成。ボトラー社から日本コカ・コーラ社への初の出向者となった山岡彰彦氏。入社当時は辛酸を舐める日々だったという氏は、いかにして日本一の頂へと上り詰めたのでしょうか。山坂を乗り越えてきた足跡を振り返っていただき、仕事に打ち込む中で掴んだ営業の極意について語っていただきました。
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いままでの延長線上で考えない
——営業畑を歩む中で特に大きな転機となった出来事はありますか。
〈山岡〉
それは間違いなく1992年、入社12年目に命じられたフードサービス部門への異動です。
コカ・コーラ社が扱う製品には、瓶や缶、ペットボトルで販売されるものと、店頭の機械で原液を希釈して提供する飲料の2種類があります。当時は前者が売り上げの9割を占める一方、フードサービス部門が担う後者は1割程度。前者の営業で人並み以上の成果を挙げていたのに、なぜ私なのだろうかと釈然としない気持ちでした。
そこで任された仕事はディスペンサー(ファミレスやカラオケに設置されている飲料機材)を置いてくれるお店の新規開拓です。街で見かけた飲食店やオフィスに片っ端から電話を掛け、飛び込みで訪問しましたが、けんもほろろに断られ続けました。
——大きな挫折を経験された。
〈山岡〉
自販機の営業とはビジネスの構造から全然違うため、長年培ってきたノウハウがほとんど使えません。ゼロからのスタートで、一番辛い時期でしたね。
そんな折、地区のトップを務める小林部長からこう諭されました。
「我われの製品がほしい、あったら便利になる場所を探す。営業は、まず相手の都合から考えるということ。新規開拓は、いままでの延長線上で考えないということだ」
悩みが尽きなかった私にとって、それはまさに事態打開の糸口となる訓戒でした。
—―ああ、いままでの延長線上で考えない。
〈山岡〉
ただ、その場では明確な答えは見つかりませんでした。私たちの製品を心から求めているところってどこだろう。自問自答を繰り返していたある日のこと、ルート営業時代の同僚に誘われ、大型家具店に伺う機会がありました。
そこで担当者に案内されたのが、喫茶店のようにテーブルが置かれた広いスペースでした。「どの家具にするか、お客様がゆっくり話し合える場として設けました」。この話を聞いた時、ふと小林部長の言葉が脳裏を過ったんです。
ここをお客様が自由に飲料を楽しめるスペースにすれば、ゆっくり品定めできる家具店として、差別化できないだろうか。何より、お客様が喜んでくれるに違いない。急ごしらえですが店長に掛け合ったところ、「お客さんが喜ぶならやってみよう」と機材を置いてもらえることになりました。
——相手の都合から考えることで、新たな顧客を開拓された。
〈山岡〉
いまでこそカーディーラーなどではドリンク機材が当たり前のように配置されていますが、当時は珍しかったんです。この出来事を機に市場の捉え方が変わり、その後も葬祭会館をはじめ、従来の枠を超えた顧客を取り入れることができました。
これまでの延長線上で物事を考えない。これはあらゆる仕事に通ずる不変の考え方だと思います。
(本記事は月刊『致知』2024年12月号 特集「生き方のヒント」より一部抜粋・編集したものです)
~本記事の内容~
◇営業の現場で培った学びを次の世代へ
◇「継続して勉強し、知識を蓄える人間が最後に勝つ」
◇行動は言葉よりも雄弁 〝敬店愛品〟の思いこそが営業
◇かくしてセールス日本一を成し遂げた
◇人のために尽くした行為は必ず自分に返ってくる
本記事では全5ページにわたって、セールス日本一を達成した山岡さんの体験談をお話しいただきました。どん底から這い上がってきた山岡さんの足跡には、あらゆる仕事に通ずる成功のヒントが詰まっています。【詳細・購読は下記バナーをクリック↓】
◇ 山岡彰彦(やまおか・あきひこ)
昭和32年生まれ、高知県出身。55年大学卒業後、四国コカ・コーラボトリング社に入社。平成7年日本コカ・コーラ社主催の全国セールスフォースコンテストで第一位を獲得後、ボトラー社から初の日本コカ・コーラ社への出向者となる。同社の教育機関で営業担当の教育に携わり、グループ企業の経営企画室長を務める。現在は複数の大学での講義、多数の日系・外資系企業で研修を行っている。著書に『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(講談社+α新書)がある。
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