2024年07月28日
『致知』2023年9月号に登場した、公立・私立大学元非常勤講師の夏目研一氏の最新刊『大学生に衝撃と感動を与えた「カントの道徳」講義録』。「道徳」に対して疑問を持っていた大学生たちが涙するほど、その価値観を一変させたカントの道徳論を、柔らかい口調で易しく解説。「なぜ噓をついてはいけないのか?」「なぜ人の命を奪ってはいけないのか?」といった大学生からの率直な疑問に対し、カント道徳が説く新たな考え方を用いて真正面から答えを導き出します。 ◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
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大学生が涙した、「カント道徳」講義
「今までに出会ったことのない本質をつく道徳論に出会い、衝撃や腑に落ちる感覚を何度も味わいながら道徳教育を学ぶことができた」
これは、私の授業を受講した大学生のコメントです。
私は50歳の時に志を立て、大学院に進んで文学・哲学を研究し、61歳から非常勤講師として大学の教壇に立ちました。
そして教職を志す学生が多数在籍する大学で、「道徳教育の方法」をテーマに、カントの提唱した道徳を講じたところ、学生たちは大きな衝撃と感動をもって受け止めてくれたのです。
カントは、近代哲学の祖と謳われ、現代の思想・哲学の元を辿ればすべてカントに行き着くといっても過言ではないほどの巨人です。
しかし、カント道徳に関する既存の研究論文の大半はその思想を頭だけで解釈したものであり、研究者自身の実人生に落とし込んで再現したものではないため、肝心な部分が十分伝わっていないことを残念に思っていました。
将来教育の現場に立つ学生たちに教えるからには、その講義内容は極力具体的で実践的でなくてはならない。
私は試行錯誤を重ねながら具体例を数多く挙げて講義することを心がけ、学生にも、首から上だけで読まず自分の体験に落とし込んで味わうよう促しました。
毎年前期・後期それぞれ15回だけの授業。至難の業でした。
授業の数回目までは学生たちからの強い疑いや反発が頻出するのですが、疑問・反論があれば大いにツッコミを入れてほしいと受け入れ、そうやって寄せられたコメントを必ず丁寧にフィードバックして学生全体で共有する。
そうした講義を重ねていくうちに、学生たちの受講態度は徐々に変わり、夢中で耳を傾けてくれるようになっていくのです。
「この講義や新たな道徳論、先生との出会いは、私にとって教員を目指す上でもこれから生きていく上でも、新しい世界を教えてくれた分岐点となるものであり、本当に出会えてよかったと思っている」
「最後の15回目の資料を読んでいて、私はなぜか涙してしまいました。こんなに自分自身の内部に訴えかけてくる授業を受けることができた喜びと、自分が熱意をもって授業に参加してきたからこそ、終わることへの寂しさが募ったのだと思います」
教師冥利に尽きる学生たちの声に、私はカント道徳の偉大さを改めて実感すると共に、彼らを通じて時代が拓けていく手応えをハッキリと感じたのです。
20年に及ぶカント研究の集大成
ご紹介したのは、『致知』2023年9月号に掲載され、大きな反響を呼んだ夏目研一氏の記事の一部です。
まもなく発売開始となる最新刊『大学生に衝撃と感動を与えた「カントの道徳」講義録』では、「道徳」に対して疑問を持っていた大学生たちが涙するほど、その価値観を一変させたカントの道徳論を、柔らかい口調で易しく解説。
「なぜ噓をついてはいけないのか?」
「なぜ人の命を奪ってはいけないのか?」
といった大学生からの率直な疑問に対し、カント道徳が説く新たな考え方を用いて真正面から答えを導き出します。
その結果、学生たちは、上記のような問いに対し、自身の中に明確な答えを持つことができるようになったといいます。
本書の特徴は、カント道徳を机上の空論に終わらせず、自らの実践や人間学の学びなどの実体験を通して解説がなされている点。
稲盛和夫氏や大谷翔平選手の具体的事例も交えながら、カントの教えをより深く、分かりやすく紐解きます。
本書を読むことで、人生で出会う様々な問題に対する明確な判断の軸ができることでしょう。
約370頁、20年に及ぶカント研究の集大成とも言える渾身の1冊。
哲学に初めて触れる人のみならず、西洋哲学に精通する人にもおすすめです。
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昭和28年生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科博士課程満期終了退学。公立・私立大学の元非常勤講師。カント道徳を基礎にした道徳教育を長年提案してきた。著書に『危険な教育改革』(鳥影社)がある。