2024年07月18日
2007年6月19日、3名の死者を出した「渋谷温泉施設爆発事故」に巻き込まれ脊髄を損傷、半身不随になった池田君江さん。突如として自由を奪われるも、現在は「心のバリアフリー」を広げたいとの一心で情報サイトの運営や講演活動に尽力されている池田さんに、ご活動に懸ける思いを伺いました。
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優しいお店を広めたい
──池田さんは、勤務先の事故で車椅子生活になったご体験を元に、バリアフリー情報の発信をなさっているそうですね。
〈池田〉
2013年にNPO法人ココロのバリアフリー計画を立ち上げて、「ココロのバリアフリー応援店検索サイト」を運営しています。サイトでは飲食、美容、ショッピング、スクールなど、登録いただいた約3,000の店舗や施設の情報を発信しているんです。
自分が車椅子で外に出て初めて痛感したんですけど、日本ってバリアフリーの施設はだいぶ整ってきましたけど、気持ちの問題がまだ十分整っていないと思うんです。私も実際、バリアフリーを謳っているお店なのに入店拒否されたりして、引きこもりがちになった時期がありました。
でも、ある飲食店との出逢いで、バリアフリー設備の有無は関係なく、訪れる人への優しい気持ちさえあればそこが居心地のよい場所になること、心のバリアフリーが大切だと気づいて、そういう優しいお店を広めたいと。その思いだけで始めた活動なんです。
──車椅子でも安心して入れるお店の情報を提供したいと。
〈池田〉
私が車椅子生活になった17年前は、「そんなの知ってるわ」っていうような大まかな情報しかありませんでした。「あそこのお店がおいしいよ」と言われても、本当に車椅子で行けるかどうか判断できなかったんです。
「トイレが広いですよ」ではなく「トイレの入り口は何センチですよ」とか、「入り口の階段は何段ですよ」とか、そういう細かい情報があれば、行ける行けないを自分で判断できる。そう考えて、クラウドファンディングで支援を募って情報提供を始めました。
──セミナーや講演でも積極的に情報発信なさっているようですね。
〈池田〉
最初は飲食店がメインだったんですけど、最近は一般企業や国家公務員新人研修など様々なご依頼をいただいています。パシフィコ横浜で5,000人の前でお話ししたこともあるんですよ。あんな大勢の前で話したことってなかったから、車椅子でなかったら緊張して倒れていたでしょうね(笑)。
講演と一緒に車椅子体験会も行っています。実際に車椅子に乗ってみると、ちょっと段差があるだけでこんなに大変なんだとか、こんな僅かなサポートでも助かるんだと気づいていただけて、外で車椅子の人を見た時に声をかけるハードルが下がるんです。
小学校でお話しすると、皆「脚痛いの? 大丈夫なの?」って優しい声をかけてくれます。困っている人に声をかけ合えるような大人になってくれたらいいなと思って、子供たちにお話しする機会は特に大事にしているんです。
(本記事は月刊『致知』2024年7月号 連載「第一線で活躍する女性」より一部抜粋・編集したものです)
~本記事の内容~
▼一生寝たきりかよくて車椅子でしょう
▼できないことなんてないし壁があったら壊してあげる
▼車椅子になってよかったね
本記事では全3ページにわたって、壮絶な池田さんの半生をお話しいただきました。幾多の艱難辛苦を乗り換えてきた池田さんが語る、絶望に屈しない秘訣、自分らしい人生を生きるヒントとは――。全文は本誌をご覧ください!【詳細・購読は下記バナーをクリック↓】
◇ 池田君江(いけだ・きみえ)
昭和50年大阪府生まれ。大学卒業後に上京。平成19年勤務先の温泉施設で爆発事故に遭い、車椅子生活となる。25年NPO法人ココロのバリアフリー計画を設立し、理事長に就任。自身の体験に基づき、バリアフリー情報の提供や、講演活動などを行っている。
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