SNS時代だからこそ、心に留めておきたい「童子教」の言葉(『60歳からの実語教/童子教』)

鎌倉・室町期に成立し、江戸時代には寺子屋の教科書として使われた『実語教』『童子教』。学ぶことの意義や礼儀作法、人との付き合い方など人間が生きる上での大切な知恵が簡潔な言葉で書かれてあり、日本人の間で長く読み継がれてきました。本書は、人生百年時代となったいま、還暦を迎えた人たちに両書を読み直し、豊かな後半生を送ってほしいとの思いから生まれました。還暦から学び直す、またとない人生の教科書です。本書の中から、昨今のSNS時代に戒めたい「童子教」の言葉をご紹介します。

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SNS時代に改めて考えたい「口は禍のもと」

人の耳は壁に付く

密かにして讒言すること勿れ

人の目は天に懸かる

隠して犯し用うること勿れ

誰かが壁に耳をつけて聞いているかもしれないから、こっそり人の悪口をいってはいけません。

誰かが上から見ているかもしれないから、隠れて悪事を働いてはいけません。

【解説】

ここでは「口が災いのもと」 「天網恢恢疎 そにして漏らさず」ということをいっています。

「人の耳は壁に付く」というのは、まさに「壁に耳あり障子に目あり」ということでしょう。

昨今は、ある内輪の席で話した言葉がどこかから漏れて、SNSを通じてあっという間に広まってしまうということがあります。

これは名のある人に限りません。友達同士でもそういうことがあるでしょう。

だから、 「密かにして讒言すること勿れ」とあるように、隠れたところで他人の悪口をいってはいけないということなです。

私はLINEをやっていません。

そういうと、 「今時LINEをやっていないのですか?」と若い人たちから驚かれます。

どうしてやらないかというと、LINEのグループに入れば入るほど多くの情報が入ってきて、その結果、集中が乱されると思うからです。

それに返信するために、集中して取り組んでいる仕事を中断しなくてはならないケースも出てくるでしょうし、その回数が多ければ多いほど厄介なことが増えてくるように思うのです。

今の若い人たちはLINEのグループで大勢の人と人間関係をやりくりしていますが、これはすごいことだと思います。

車にたとえるならば、混雑した道を事故なくハイスピードで走れる技術を持っているようなものです。

私自身は普段が忙しいので、これにLINEまで加わったらさすがに収拾困難になってしまうと思います。

以前、 『ネット断ち』という本を出したことがあります。

完全にインターネットを断ちましょうというのではなくて、ある決まった時間を決めてネットを断ちましょうという趣旨の本です。

そのようにしないと、どんどん自分の時間が奪われていきます。

現代はインターネットやSNSの発達で、どこでも誰かが自分のことを見ているという恐ろしい時代になったと感じています。

この項の解説の冒頭に挙げた「天網恢恢疎にして漏らさず」は『老子』にある言葉です。

天の網は粗いように見えても悪いことはしっかり見ているという意味ですが、今はインターネットが天の網のようになっていて、良いことであれ悪いことであれ誰かがやっていることを見ている人がそれを暴露するような行為も起こっています。

これについては賛否両論あるでしょう。

隠されている不正を明らかにするというような目的ならばいいのでしょうが、芸能人のプライベートなどは放っておいてあげればいいのにと思わないでもありません。しかし、今はそういう時代なのだということは、私たちみんなが心しておくべきでしょう。

自分は関係ないとしても、どのような形で巻き込まれるかわかりません。

「天網恢恢疎にして漏らさず」 「壁に耳あり障子に目あり」

といった言葉について、改めて考えなくてはならないのがネット社会です。

本記事の内容は、『60歳からの実語教/童子教』(齋藤孝・著)』(藤尾秀昭・監)より抜粋しています。
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◇齋藤 孝(さいとう・たかし)昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。著書に『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『子どもと声に出して読みたい「童子教」』『齋藤孝のこくご教科書 小学一年生』『国語の力がグングン伸びる1分間速音読ドリル』『心を軽やかにする小林一茶名句百選』(いずれも致知出版社)など多数。

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