2024年05月12日
母と子の幸せな人生のために、いつの時代にも変わらない人間学のエッセンスを届けたい――。そんな想いから2019年に誕生した『致知別冊「母」』。子育て世代の女性を中心に多くの反響をいただき、これまでに累計5万部を突破する大人気シリーズとなっています。昨年刊行された『致知別冊「母」2023』より、元テニスプレーヤーの杉山愛さんと、元バレーボール日本代表の竹下佳江さんが語る、「子育てで大切にしていること」をご紹介します。 ◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
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子育てで大切にしていること
<竹下>
愛さんは子育てで大切にされていることはありますか?
<杉山>
私たち夫婦は、長男が生まれる前に子育てで何を大事にするか話し合い、2つのことを決めました。
1つは親として子育てに「芯を持つ」こと。
普段から子どもと真剣に向き合っていないと、彼らが発する小さな変化やSOSに気づけない。
だから小さなことも「まぁいいや」って流さずに必ず話し合うよう心掛けています。
もう1つは親の主観で彼らに「リミットを設けない」こと。
我が子のことになるとついついこんなもんかなって勝手に限界を決めてしまいがちですが、子どもの可能性は私たちの想像する以上に無限大だということを忘れないよう気をつけています。
長男にはいろいろなスポーツを体験し、その中で好きになれるものが見つかればいいな、という想いであまり期待をせずにテニスをやらせていたんですが、最近自分から練習にのめり込むようになり、選手コースに行きたいって言い出したんです。
それも「あなたはまだいいわよ」って否定するのではなく、彼の意思を尊重してフルサポートしてあげたいと思っています。
自分のスケジュールがハードになっても、彼の持つ可能性を広げてあげたい。
そういう意味で、私がどう思っているかというアイメッセージは伝えながらも、周りと「比べない」、彼自身の良さに注目して言葉を掛けるように心がけています。
それから、叱かる時と同じくらい、褒める時のボルテージも高くあるように意識していますね。
厳しく叱る時も感情で怒るのではなく「なぜ駄目なのか」というWHYの部分をしっかり説明することで子どもたちも分かってくれると思います。
子ども相手だからとごまかしてはいけないというか。
大人だから偉いわけでも、何もかも知っているわけでもないですから、間違っていたら素直に「ごめん」と謝って、あまり気負わずに等身大の自分で頑張っているところを見てもらえたらいいかなと思っています。
<竹下>
愛さんのお話を聴いていたら自分が恥ずかしく思えてきます(笑)。
でも、私も同じように、子どもたちを「比べない」っていうことは特に意識してきました。
うちは2歳違いの兄弟なので競争することも多いんですが、周りのお友達とはもちろん、兄弟の間でも「お兄ちゃんはこうだった、弟はこうだった」と比べないようにしています。
特に長男は優しさゆえに人の顔色をうかがったり、我慢しがちなところがあるので、自分の想いをちゃんと吐き出せるように声がけすることも心掛けていますね。
私がこれまで戦ってきたバレーの世界はある意味トップダウンで、気を抜くと子育てでもついそうなってしまうので、一人ひとりの子ときちんと目線を合わせて対話するのが大切なのかなと。
それから、夫婦のあり方として子どもの前でどちらかが、どちらかを悪く言うことがないように気をつけています。
我が家では子どもたちにとってパパが絶対的な存在であってほしいので、私はそのための役割に徹してバランスを取っています。
小さなことでも溜め込まない
<杉山>
親のスタンスとして共同体でいるって大事ですよね。
子どもへの叱り方1つにしても、夫婦で言っていることが違うと子どもも迷ってしまいますし。
私たちもそこは気をつけていて、その場では違うと思ったこともぐっとこらえて、夫婦間で話し合う時間を設けるようにしているんです。
夫がよく言うんですが、普段あまり子育てに関わらないお父さんが、お母さんが子どもを叱っている時に〝逃げ道〟をつくってしまうことってあると思うんです。
<竹下>
あぁ、ありますよね。「お母さん怖いね」とか言って。
<杉山>
ありがちですよね。
でもそれをするとお母さんと子どもの信頼関係が崩れちゃう。日々子どもと築いてきた関係を壊さず、お父さんには日々頑張っているお母さんの味方でいてほしいと思います。
私たち夫婦は、仕事の現場でも常に一緒なので、話す時間が確保されているところは他のご夫婦と違うところかもしれません。
とにかく夫婦間の関係性がよくないと、子どもたちにとってもよくないと思うので、お互い小さなことでも溜め込まないようにしていますね。
普段のコミュニケーションの中で、マイナスなこともプラスなことも気づいたら言葉にするようにしています。
そういう姿を見ているからか、息子も何事にもよく気がつく子に育ってくれています。
テニスプレイヤーとして活躍し、現在は日本代表監督を務める杉山愛さん。一方、姫路ヴィクトリーナ・エグゼクティブアドバイザーの竹下佳江さんは、バレーボール女子日本代表主将として2012年ロンドン五輪で日本を銅メダルに導いた〝世界最小最強セッター〟として注目を集めました。世界で活躍してきたお2人は、現在それぞれ2人の子どもを育てる母として、日々子育てに向き合っているといいます。母としての想い、子どもたちに伝えておきたいことなど語り合っていただきました。
◉『致知別冊「母」2023』「母と子の幸せな人生のために」◉
対談〝「母という人生を生きて」“
杉山愛(元テニスプレイヤー)×竹下佳江(元日本女子バレーボール代表)
↓ 記事のラインナップはこちら!
◆アテネ五輪での出逢いから十九年
◆子育てと監督業の両立を経験して
◆息子が授けてくれたもの
◆子育てで大切にしていること
◆選手時代の経験を通して子どもたちに伝えたいこと
◆二十二歳で世間から浴びせられたバッシング
◆人として当たり前のことができるかどうか
◆両親から教わったこと
◆子どもと共に成長する〝共育〟
◆母として子どもたちに何を残すか
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◇杉山愛(すぎやま・あい)
昭和50年神奈川県生まれ。7歳で本格的にテニスを始め、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位に。17歳でプロに転向すると、平成21年に引退するまでの17年間プロツアーを転戦。WTAツアー最高世界ランキングはシングルス8位、ダブルス1位。オリンピックにも4回出場。令和5年よりテニス女子国別対抗戦、ビリー・ジーン・キング杯の日本代表監督を務める。著書に『勝負をこえた生き方』(トランスワールドジャパン)がある。
◇竹下佳江(たけした・よしえ) ◎各界一流プロフェッショナルの珠玉の体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。あなたの人間力を高める、学び続ける習慣をお届けします。 たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら。 ≪「あなたの人間力を高める人間力メルマガ」の登録はこちら≫
昭和53年福岡県生まれ。元日本女子バレーボール代表。高校卒業後実業団に入り、18歳で日本代表デビュー。シドニー五輪出場を逃し一度は引退するも、復帰後、主将として五輪3大会出場を果たす。平成24年ロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献。平成25年に現役を引退。結婚・出産を経て、バレーボールクラブチーム「ヴィクトリーナ姫路」の監督に就任し、V2リーグ参戦初年度に優勝。チームをV1リーグ昇格に導く。
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