SBIホールディングスCEO・北尾吉孝が語る、「仕事に悩んだ時の3つの対処法」

SBIグループ創業者・北尾吉孝氏の代表的著書『何のために働くのか』。
2007年の刊行以来、15万人の仕事観を変えてきた本書は、仕事をしている人、これから仕事をする人すべてに送る、出色の仕事論が凝縮されております。本書の中から、北尾氏が考える、仕事で悩んだ時の3つの対処法についてご紹介します。

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仕事に悩んだときの3つの対処法

楽しんで仕事をするというのは、自分を成長させるために非常に重要な要素だと思います。私自身はまだ楽しむという境地にまではたどり着いていませんが、仕事を好むというところまでは来ているように思います。

しかし実際は、仕事を楽しむどころか、好むところまで行くのもなかなか簡単ではないようです。それを実証するかのように、私のもとには「今の仕事に打ち込めない」という悩める若者たちが、しばしば「北尾さん、相談があります」とやってきます。

彼らの話を聞いて、私はいつもこう言っています。

「あなた、寝食を忘れるぐらい仕事に打ち込んでる?もしそれでもなおかつ今の仕事が嫌だったら、方法は3つしかないよ」

そして、次の3つの方法を教えます。

1つ目は、その仕事を辞めて、自分が打ち込めると思う仕事を新たに探すこと。
「あなたが本当にそう決断するなら私は止めないよ」と言っています。

2つ目は、道楽の世界を持つこと。趣味の世界でもなんでもかまわないから、仕事とは違うことをやってみる。
趣味に打ち込んでいると、そこでいろいろな人とご縁ができます。たとえば、何かを蒐集する趣味を持つとすると、そこに必ず同好の士が集まる世界が存在します。

そういう世界にふれることによって、良き縁が次から次へと結びついて、想像もしなかった展開になる場合があります。そこから新しい世界が開けてくるケースもあります。それが今の仕事に結びつくのか、あるいは全く別の人生につながっていくのかは別にして、目先の悩みが消えてしまうこともあるのです。

3つ目は、考え方を変えてみること。これについては、私はよく元首相の吉田茂さんの逸話を例に出して話しています。

それは吉田茂さんが青雲の志を抱いて外交官になったばかりのころの話です。吉田さんが最初に命じられた仕事はテレックスの伝達係だったそうです。テレックスが届いたら、それを大臣のところに持って行くわけです。それが吉田さんには不満だったのです。

「最高学府を出て高文試験に通って外務省に入ったのに、なんでこんなつまらない仕事をやらなければいけないんだ」

そして、義父にあたる牧野伸顕公に手紙を書いて、その思いを切々と綴りました。すると牧野公から返事が戻ってきました。吉田さんがその手紙を読むと、こんなことが書いてありました。

「君はなんと馬鹿なことを言っているんだ。大臣よりも先に国家の重要な情報を見ることができるのだよ。それを見て、君はどう判断するのか、大臣はどう判断しているのか、その判断の結果はどうなっているのか。君はまたとない勉強のチャンスを得ているじゃないか。こんなありがたいことはないよ」

手紙を読んでいるうちに、吉田さんは自分が間違っていたことに気づき、つまらないと思える仕事でも一所懸命に取り組むように変わっていったのです。

このように、心の置きどころを変えてみると、視野が開けて仕事への考え方や取り組みが変わる場合があります。悩んでいるときは、どうしても視野が狭くなりがちです。そういうときに自分の仕事を客観的に眺めてみると、気分が変わって、やる気が湧いてくるものなのです。

本記事の内容は、『何のために働くのか』(北尾吉孝・著)より抜粋しています。
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◉北尾吉孝さんの『致知』へのメッセージ◉

『致知』は私の愛読雑誌となっている。この雑誌を読み始めて、ある種の安心感(ほっとしたような気持ち)を得た。何故そのような気持ちを得たかというと、世の中には「人生いかに生きるべきか?」という問いの答えを探し続け、自己の修養に努めている方々が多くおられる、ということを知ったからである。

また、そうした方々から本誌を通じて教えられたり、勇気づけられたりすることがよくある。こういう方々を「道友」と勝手に呼ばせて頂いている。中江藤樹先生が、「天下得がたきは同志なり」という言葉を残しているが、私は『致知』を通じて道を同じくする「道友」にめぐり合うという幸運に恵まれた。

我々は君子を目指し、一生修養し続けなければいけない。私利私欲で汚れてしまう明徳を明らかにしなければいけない。そして、その修養の一番の助けにるのが、私はこの『致知』であると思う。

創刊四十五周年を心よりお祝い申し上げるとともに、一層の飛躍を期待したい。

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◇北尾吉孝(きたお・よしたか)
昭和26年兵庫県生まれ。49年慶應義塾大学経済学部卒業。同年野村證券入社。53年英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村企業情報取締役、野村證券事業法人三部長など歴任。平成7年孫正義氏の招聘によりソフトバンク入社、常務取締役に就任。現在SBIホールディングス代表取締役社長。著書に何のために働くのか』『修身のすすめ(共に致知出版社)など多数。

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