〝肯定ではなく変換〟不慮の事故から人生を好転させた「ポジティブスイッチ」の存在【ワントゥーテン社長】

ウェブデザインやネット広告を武器に関西のベンチャー企業の雄として名を上げ、現在は現実空間と仮想世界を融合した新たなコンテンツ、体験づくりで脚光を浴びるワントゥーテン。社長の澤邊芳明氏は18歳で頸椎を損傷、四肢不自由となった喪失感と退屈をビジネスで昇華してきました。氏が提唱する、人生を好転させる考え方「ポジティブスイッチ」の源泉に迫ります。

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障がい者であることを絶対に受け容れない

——澤邊さんのおっしゃる「ポジティブスイッチ」とは何ですか。

<澤邊>
自分がその物事に対してポジティブになれるポイント、それを見つけることです。

何でも受け容れて肯定的に考えよう、というポジティブシンキングとは根本的に違います。誰しも生きていればうまくいかないことがあり、ネガティブな感情、考え方に支配されることがあるでしょう。

ただ、どんなネガティブな状況にも「辛いけど、これなら頑張れる」というようにポジティブに変換できるポイントが必ずあります。

それを発見することが人生を豊かにするんです。

——なるほど。どんなきっかけでこの考えに至られたのでしょう。

<澤邊>

事故で入院している時です。1992年、奈良の高校を卒業した春休みでした。

受験勉強からようやく解放されて、いかに遊び倒そうかと張り切っていたある夜、後輩のバイクの後ろに乗って走っていると交差点で右から強い光を感じて、直後、強い衝撃で吹き飛ばされたんです。10メートル先の地面に叩きつけられました。

少し意識が戻るとうつぶせになっていたので、起き上がろうとしたんですが、体が動かない。また意識が途絶え、運ばれた病院で、1か月後に「中枢神経を損傷しているので、もう一生歩くことはできません」と宣告されたんです。

——受け容れ難い事実を……。

<澤邊>
いや、全く信じていなかったですね。7本ある首の骨の上から4番目を脱臼しただけで、痛みもなく見た目も異常なかったからです。

ところが半年、1年とリハビリを頑張っても全くよくならなくて、そこで初めて絶望に襲われました。ご飯も口に運べない、眉毛が痒くても掻けない、この体でどうやって生きていくんだ……。

自殺しようにも1人では死ねなくて、籠の中の鳥のように病室の窓から外を眺めていました。あの時は退屈で仕方なく、手足の動かない自分に生きる価値があるのかと、数か月ずっと悶々としていました。

でもある日、「待てよ、障がい者であることを受け容れる必要があるのか?」と考えたんです。

医学が進歩して治る日が来るとしたら、いまは治るまでの過程でしかない。自分の体ではなく環境を変えよう。俺は絶対に受け容れない! そう思い立った瞬間、闇が開けた感覚がありました。


本記事は、「エンジニアから経営者へ」「障がい者であることを絶対に受け容れない」「人生は必ず取り返しがつく」など、澤邊様の人生の歩みを紹介するとともに、逆境を肯定するのでなく、あくまでポジティブになれるポイントを見出し豊かに生きる方法を教えていただきました。

◉『致知』2023年8月号 特集「悲愁を越えて」◉
インタビュー〝「どんな逆境にも
ポジティブスイッチは
見つけ出せる
」〟
澤邊芳明(ワントゥーテン社長)

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◆生活も経営も頼むことから始まる
◆障がい者であることを絶対に受け容れない
◆茶封筒に入れられた5万円の重み
◆エンジニアから経営者へ
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◇澤邊芳明(さわべ・よしあき)
昭和48年東京都生まれ、奈良県で育つ。京都工芸繊維大学へ入学直前、18歳でバイク事故に遭う。手足を一切動かせない中、独学でパソコン技術を習得、復学後の平成12年、24歳で1→10〈ワントゥーテン〉デザインを開業。13年大学卒業後、法人化。19年東京オフィス開設。一般社団法人日本ボッチャ協会代表理事も務める。著書に『ポジティブスイッチ』(小学館)がある。

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