高校サッカー日本一の名将に学ぶ〝勝負所で力を発揮する人の共通項〟【岡山学芸館高校サッカー部・高原良明監督】


今年(2023年)1月、岡山県勢として初の全国制覇を果たした岡山学芸館高校サッカー部。日本一の栄光とは裏腹に、高原良明氏が同校に赴任した当時は、校内に専用の部室もグラウンドもない状態からのスタートだったといいます。高原氏はいかにして同部を日本一へと導く躍進を遂げたのか。駒澤大学陸上競技部総監督・大八木弘明氏とともに、日本一への軌跡、チームづくりの要諦を語っていただきました。

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大事な時に力を発揮する選手の共通項

〈高原〉
岡山学芸館高校が初めてインターハイに出場した2012年、初出場で3回戦まで進めたことに満足していた自分がどこかにいました。

しかし3回戦で0対9と完かん膚ぷなきまでにやられ、指導者として勘違いをしていたことに気づかせていただきました。全国大会で0対9って、相当屈辱的な数字です。そこで全国のトップレベルとの実力差を思い知らされました。

その悔しさをバネに、2015年に2度目のインターハイに出場できた時は、強豪チーム相手に1対3と健闘することができたんです。負けはしましたが自分たちのよさも出せたゲームだったので、全国を目指す上で自信になりました。そして翌年に県内で初めて3冠を取って、そこから全国大会常連校となっていくんです。

いままでの指導を振り返ると、大事な時に力を発揮する選手には共通点があって、やっぱりコツコツ努力している子が不思議と大舞台で点を取ったり活躍したりするんですね。

今回の準決勝も2対3でやられている時、最後に点を入れた岡本という選手は努力する才能を持った人でした。相手にリードを許した4分後、少し浮いてしまっていたボールを冷静に左足でコントロールし直して、スーパーゴールを決めて同点に。この1点が勝敗を分けました。

あのプレーを見た時、毎日の練習後、自主練で何本もシュート練習をしている彼の姿が思い浮かびました。利き足は右ですが、いまでは左足のほうが精度が高いんじゃないかと思うくらい、左足でも力強いシュートが打てます。

全国の舞台、かつ緊迫した状況下でも結果を出せるのはこういう努力を積み重ねている人です。僕は選手によく「コツコツが勝つコツだ」と伝えているんですけど、努力は本当に実を結ぶんだと、つくづく実感させられました。

〈大八木〉
コツコツが勝つコツだと。

〈高原〉
それから、チームは絶対に〝3年力〟だと伝えています。

試合に出ている、出ていないは関係なしに、3年生全員がour teamという意識を持って、チームのために努力できる年はやっぱり強いですね。今年スター選手がいなくても優勝できたのも、チーム一丸となって立ち向かった結果です。

小学校低学年の国語の教科書に『スイミー』という童話が掲載されていますよね。僕はこの話をよく引用しています。小さな魚は1匹では大きな魚に太刀打ちできないけれど、皆が集まって大きく見せたら、どんなに強い相手でも倒していけるんです。


本記事では、駒澤大学陸上競技部で歴代5校目となる大学駅伝3冠を達成した大八木弘明氏、岡山学芸館高校サッカー部で県勢初の全国制覇を果たした高原良明氏に、日本一への軌跡、人生を貫くものを語っていただきました。

◉『致知』2023年6月号 特集「わが人生の詩」◉
対談〝日本一への軌跡の詩〟
大八木弘明(駒澤大学陸上競技部総監督)
高原良明(岡山学芸館高等学校サッカー部監督)

 ↓ 対談内容はこちら!

◆駒澤大学陸上競技部初の3冠達成を振り返って
◆岡山学芸館高校サッカー部 初の全国制覇の舞台裏
◆恩師との出逢いが指導者の道へ進む契機に
◆予選落ちしそうな部を蘇らせたのは〝優勝〟の2文字
◆勝てるチームより応援されるチームへ
◆チームの勝敗はすべて監督の本気度次第
◆大事な時に力を発揮する選手の共通項
◆切磋琢磨し合うチームのつくり方
◆わが人生を貫く言葉・信条

 ▼詳細・お申し込みはこちら

◇大八木弘明(おおやぎ・ひろあき)
昭和33年福島県生まれ。52年高校卒業後、小森印刷(現・小森コーポレーション)入社。58年24歳で駒澤大学夜間部に進学。3度の箱根駅伝出場(2度の区間賞)を果たす。平成7年駒澤大学陸上競技部コーチに就任。14年助監督、16年監督に就任。令和3年箱根駅伝で13年ぶり7度目の優勝に輝く。令和4年度の大学3大駅伝で3冠達成。5年3月監督を勇退し総監督へ。コーチ時代も含め「大学3大駅伝」で通算27回優勝に導いた。著書に『必ずできる、もっとできる。』(青春出版社)など。

◇高原良明(たかはら・よしあき)
昭和54年福岡県生まれ。東海大学3年次に総理大臣杯優勝。卒業後、岡山国体を見据えた強化選手に選ばれ、Jリーグ加盟前のファジアーノ岡山でプレー。平成15年現役を続ける傍ら、岡山学芸館高校サッカー部コーチに就任。20年現役を引退し、22年同部監督に就任。24年初めてインターハイに出場。令和4年度の全国高校サッカー選手権大会にて初優勝を掴む。

▼『致知』2023年12月号 特集「敬、怠に勝てば吉なり」
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