〝そうじの力〟で500社を超える組織を改革してきた小早祥一郎さんが語る「伸びる会社の共通点」

そうじを通じて企業組織を強くする。この信念のもと、2009年(株)そうじの力を立ち上げ、累計500社を超える企業を支援してきた小早祥一郎さん。その実践の輪は確実に広がっており、「そうじの力全国大会」も2025年10月開催で11回を数えます。多種多様な企業の改革に従事する中で、小早さんが見出した伸びる会社の共通点とは何か。実例を交え、その真髄を伺いました。

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10年間 、問題を放置してきた会社が変わった

周囲からは、そうじで食べていけるのかと随分反対されました。実際、最初の5年間くらいはサラリーマン時代の貯金と退職金を切り崩し、アルバイトをしながら何とか食いつなぐ状態でした。

けれども私の中ではまったく不安はありませんでした。これは絶対に世の中に必要な活動だという確信をもとに、とにかくご縁づくりに邁進して支援先を1社ずつ増やしていったのです。

『致知』でお馴染みの鍵山秀三郎先生の掃除道を学ぶため、日本を美しくする会の活動にも参加しました。素手で便器を磨かれる鍵山先生の姿には衝撃を受け、そうじの概念を覆される思いでした。

「小早さん、頑張ってください」と先生が私の背中を押してくださり、会社の相談役に名を連ねてくださったことは、どれほど励みになったことでしょう。

しかし当初は、支援が思うようにいかない企業様もたくさんありました。面会の約束をすっぽかされたり、直前でキャンセルを喰らわされることもしばしばでした。

また、そうじはトップが率先して実践し、まず自らの意識を変えていくことが重要です。

しかし、そうじは下々がやるものであり、社長がやる仕事ではないという意識から脱することができず、結局活動をやめていかれる企業様もありました。

支援を依頼されたある石材会社様では、使うあてもなく10年以上も放置されていた大量の石材を処分することに、社長様がなかなか踏み切れずにいました。

それでも職場でそうじの実践を続けていただく中で、やはり処分すべきだと肚を固められ、すべて粉砕処分なさったのです。

社長様が捨てる決断をなさったことで、社員様にも本気が伝わり、会社のそうじ活動は一層活発化しました。

それに伴いミスや怪我、クレームが減って業績の向上に寄与すると共に、そうじの実践にずっと抵抗していた問題社員が会社を去り、会社のチームワークが大きく向上したのです。

こうした様々な体験を通じて実感するのは、伸びる会社には、先入観に囚われることなく、まずやってみようという、素直で積極的な姿勢があるということです。

そうじをすれば、売り上げが必ず何%伸びるという保証はありません。けれども社員の意識が変わり、組織の中で潜在的にあった問題が浮き彫りになることで、会社に様々なよい効果がもたらされることは確かです。

足踏みをしていても現状は何も変わりません。少しでも見込みのあることならまずやってみる。この素直な姿勢こそが会社を伸ばすことを私は実感しています。

 


(本記事は月刊『致知』2023年2月号 特集「積善の家に余慶あり」より一部を抜粋・編集したものです)

◉本記事には、「本質を明らかにし究める」「『転原自在』依存人格から自立人格へ」「そうじを通じてにこにこサイクルを回す」 など、小早さんがそうじの力を通して掴んだ企業発展の要諦が詰まっています。本記事の【詳細・購読はこちら

 

〈致知電子版 〉でも全文お読みいただけます。

◇小早祥一郎(こはや・しょういちろう)
昭和43年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、日産自動車㈱に入社。制度改革のプロジェクトリーダー等を歴任。平成21年㈱そうじの力を設立。累計500社以上の支援先で組織変革に貢献。全国で現場指導や研修、講演活動を展開。著書に『〝そうじ〟をすると、なぜ会社がよくなるのか』(セルバ出版)『8割を捨てて2割に集中する捨てる経営』(スタンダーズ)がある。

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