「へこたれたらあかん!」母との別れ、コロナ禍……逆境に荒れる社長の心を奮い立たせた言葉

日本に靴を修理して履く文化を創りたい――。そんな志のもと、大阪の本店を中心に全国20店舗以上で靴の修理やクリーニングを手掛ける㈱靴商店インターナショナル(1990年創業)。靴に対する妥協なき仕事姿勢から「靴のクレイジー集団」とも呼ばれる同社ですが、このコロナ禍でかつてない苦しい状況に立たされたといいます。舌を噛むような日々、折れそうになった酒井宏明社長の心を支えたものは何だったのでしょうか。

本記事では、去る令和4年9月3日に東京・新宿で開催された「第11回 社内木鶏全国大会」〈木鶏会とは:『致知』をテキストにした勉強会〉で、酒井社長が当時を振り返り、振り絞るような声で語られた内容をお届けします。

人生の山と谷を越えて

私は昭和43年、大阪で生まれました。6畳一間に親子4人で川の字で寝るほど貧乏だったため、高校卒業後に会社員を経て、21歳で独立。靴が好きで靴の修理屋を始めたところ、バブル真っ只中で商売は絶好調、毎晩遊び歩くようになりました。

しかしそんな生活は長続きするはずもなく業績は悪化。鬱になり自殺を考えていた時に、同級生の菅沼さんに助けられ「ほんの少しでも世の中の役に立った」思って死にたいと考えるようになり、「靴を修理して履く文化を創る」という理念を掲げ、必死に働きました。その頃から、中村天風氏、安岡正篤氏、稲盛和夫氏など先人たちの本を貪り読むようになりました。

毎日朝7時から夜9時まで店を開け、その後深夜3時まで2,000枚のチラシをまき続けたかいあり、徐々にお客様は増えていきました。社員も増え、社員寮もつくりました。

そんなある日、寮の下駄箱の上に置かれていた一冊の雑誌に目が留まります。それが『致知』との出会いでした。

敬愛してやまない稲盛和夫氏が表紙の2012年10月号。稲盛氏の書籍はすべて読破していたにも関わらず、自分の知らない書籍が届いているのを見て、どうしても読みたくて無断で開けて貪り読み、直ぐに『致知』の購読を申し込みました。

現在の新潟店の店長が、お父様から「何をしても構わないが致知だけは読みなさい」と言われて購読していたものです。

仲間をもっと幸せにしたい、しかし

しばらくすると、致知出版社の担当者さんから一本の電話をいただきました。「木鶏会」を導入しませんか?

年中無休、毎日徹夜で働き続けていた私は興味もなくお断りしようと考えたものの、熱い心に動かされ「そこまでおっしゃるなら幹部でやってみます」と返答しました。

初の木鶏会では泣き出す社員が続出し、『致知』を全社員に配ると即決しました。この感動を韓国の社員にも体験してもらいたいと思い、韓国での木鶏会も実現しました。

そんな素晴らしい仲間にもっと幸せになってほしい、1円でも給与を上げたい、その思いからさらに365日一日も休まず働き続けました。

常に頭の中にあったのは稲盛さんの「誰にも負けない努力をする」という言葉です。体育会系の会社で朝早くから夜遅くまで働くのは当たり前。飲み会で夢を語り合いながら夢中で働き、おかげさまで日本、韓国、タイに72店舗、社員も約150人に増え、業界2位になりました。

一方で、会社の急成長に社内体制が追いつかず、社員は混乱し、技術レベルも低下、利益が激減していきました……。

そんな矢先、令和元年東日本台風が襲ったその日、母親が他界しました。

生前、「どんなことでもいいから日本一になりなさい」と言われた母親の言葉が心に沁みました。

社風は消え、社員は辞め……苦難の嵐の中で

そこに新型コロナウイルスが襲います。

「働き方改革」も相俟(あいま)って従来のやり方は通用せず、士気は落ち、業績が悪化。木鶏会も実施できず、社風は失われ、一人二人と社員が辞めていきました。溜まっていた不満が爆発したのです。

こんな時だからこそ背中を見せなければ。そう考え、夜中に一人で、多い時は1万枚のポスティングをするなど、今まで以上に必死に働きましたが振り返ると誰もついてくる者はいませんでした。

心の底から社員の幸せを願い、自分の家族をほったらかして20数年、いったい自分は何をやってきたのか、しんどくて、悔しくて、歩きながら涙が止まりませんでした。

そんな時に支えられたのが、藤尾(秀昭/㈱致知出版社)社長の言葉「へこたれない」です。

2020年9月号の『致知』に掲載されていたこの言葉に、ハッとしました。

資金は底をつきかけ、月末の支払い、給与の支払いなど不安は尽きません。社員にも絶対に不安を吐露できません。そんな中「へこたれたらあかん」「へこたれたらあかん」と、心の中で何千回、何万回とつぶやき続けました。

ただ、人に恵まれて

もう一つ転機になったのが社員の二人が「もう一度木鶏会を開催しましょう」と声を掛けてくれたことでした。二人の熱意のおかげで、最初の緊急事態宣言が明け営業を再開した頃から、木鶏会を再開しました。

以前は営業が終わった夜10時半から行い、集まるのは幹部を中心とした30名程度。しかしこれを機に、皆が参加しやすいよう、開店前の朝9時からに変更したところ、参加者が増加。また、社員からの発案で木鶏会以外に毎日の朝礼で一人、致知の感想を朝礼で発表することをルール化したところ、社員のベクトルが揃うようになり、『致知』から良い考え良い行動を学ぶ習慣が浸透し、社内の雰囲気が良くなっていきました。メインバンクからのご支援も重なり、業績は回復していきました。

 ▲㈱靴商店インターナショナルの社員の皆様によるパフォーマンス

私は本当に感謝しても感謝しきれないくらい人に恵まれてきました。決して自分の実力ではありません。

『致知』、木鶏会で人間学を学ぶことは、会社のみならず、万人の人生を豊かなものにしていただける唯一無二の宝物だと実感しています。

先行き不透明な時代ですが、致知から学ぶ不変の教えを噛みしめて、少しでも世の中のお役に立てるよう、今後も誰にも負けない努力をし続けます。


◉社員を幸せにしたい、1円でも給料を上げたい。そんな社長の思いとは裏腹に、離れていく社員の心、落ちていく売り上げ……。その逆境下で、尊敬する稲盛和夫さんの「誰にも負けない努力」、また「へこたれない」という『致知』の言葉のエネルギーを自らの糧とし、社員の皆さんの力を得て甦った靴商店インターナショナルの精神の軌跡をお届けしました。
 ▼社員の加藤さん、㈱致知出版社 代表取締役 藤尾秀昭と

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▼企業紹介
「社内木鶏会で再び会社に活力を」

~『「働き方改革」「コロナ禍」で今までのやり方は通用せず、士気は落ち込み、業績は悪化、一人二人と社員が辞めていきました。そんな時に、社員二人の熱意で再開された美点凝視の社内木鶏会が会社を救ってくれました。~

株式会社 靴商店インターナショナル
代表取締役 酒井 宏明 様

●業務内容:靴修理
●住所:大阪府大阪市天王寺区国分町8-11吉祥ビル2F
●社員数:130名
●導入歴:6年

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