2022年12月30日
各界のリーダーたちも愛読しており、購読者数11万5000人、全国1200社の企業が社員教育に採用している『致知』。しかし、書店に置いていない定期購読誌であるため、興味はあってもまだ手に取ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
平成23年に発刊された『人間学入門』は、『致知』の過去記事から人間学の真髄に触れられる8本を厳選。森信三氏、坂村真民氏、稲盛和夫氏、樋口武男氏、渡部昇一氏、三浦綾子氏、小野田寛郎氏、大塚初重氏、新井正明氏、豊田佐吉氏と、仕事と人生を極め、極限を生きた人々が登場します。人間学をこれから学び始める人、極めたいと願う人に広くおすすめする一書です。
本記事では『人間学入門』に寄せた発刊のことばを紹介します。人間学を探究し続けた『致知』ならではの極上のエッセンスに触れてください。
自分の命は唯一のもの
いま、時代は目まぐるしく変化しています。
こういう時代に生きていると、絶対に変わらない不変の真理などないように思えてきます。
しかし、いかに時代が変化しようとも、絶対に変わらない不変の真理は厳然としてあります。
いろいろないい方ができますが、ここでは4つのことを挙げます。
1つは、「人間は必ず死ぬ」ということです。
この世に生まれて死なない人は一人もいません。生者は必ず滅します。宇宙が始まって以来の絶対不変の真理です。
2つ目は、「自分の人生は自分しか生きられない」ということです。
子どもが病気になり苦しんでいる時、親は代わってやりたいと思います。しかし、その子の人生はその子にしか生きることができません。
第3は、「人生は一回限りである」ということ。
人生は繰り返すことができません。人生にリハーサルはありません。
幕末の儒者、佐藤一斎は
「百年再生の我なし。それ曠度すべけんや(百年後再び生まれてくる自分ではない。それ故、日々を虚しく生きてはいけない)」
といっています。
一斎はその思いを強く持って生きていた人であったから、後世に残る仕事ができたのだと思います。
第4は、「この悠久の宇宙の中で、自分という人間は過去にも未来にも一人しかいない」ということです。
これは本当にすごいことです。
150億年前にビッグバンが起こり、40数億年前に地球ができました。その地球に生命が芽生え、やがて人間が誕生します。以来、どれほどの人がこの世に生を受け、亡くなっていったか計り知れませんが、しかし、自分と同じ人間は一人もいなかったし、これからも生まれてこない。
私たちは実に奇跡のような生命を生きています。
「天上天下唯我独尊」
お釈迦様の言葉は、この事実を示しているのだと思います。
先知先達の生き方に学ぶ
過去にも未来にもたった一つしかない、この尊い命をどう生きるか――それを学ぶのが人間学です。
古来、先知先達の教えに心を磨き、自らの人格を高め、それを道しるべに、自分にしか生きられない、一回限りの人生を豊かに生き抜くべく努め励んだ、たくさんの人がいます。
私たちもそういうすぐれた先人たちの生き方に学び、このたった一つの尊い命を輝かせたいと思います。
本書「人間学入門」を発刊する所以です。
(本記事は『人間学入門』巻頭の「発刊に寄せて」の一文を編集したものです)
『人間学入門』
藤尾秀昭・監修 定価=952円+税
◉詳細・ご購入は画像(▲)をクリック!
『人間学入門』目次
[先達に学ぶ]
森信三(哲学者)「我が言葉の人間学」
坂村真民(仏教詩人)「念ずれば花ひらく」
「四書五経」って何?
[経営者魂に触れる」
稲盛和夫(京セラ名誉会長)「事業を興す その動機善なりや 私心なかりしか」
樋口武男(大和ハウス工業会長・CEO)「我が熱湯経営の歩み」
経営者たちの魂の言葉集
[人間を磨く道]
渡部昇一(上智大学名誉教授)「ヒルティに学んだ心術が支えとなった」
三浦綾子(作家)「希望は失望に終わることはない」
達人たちの金言集
[極限の運命を生きる」
小野田寛郎(小野田自然塾理事長)×大塚初重(明治大学名誉教授)
「不撓不屈―我が生を貫く―」
極限の運命を生きた人たちの名言集
[人間学対談]
新井正明(住友生命保険元社長)×豊田良平(コスモ証券元副社長)
「安岡正篤先生が遺した言葉」