2023年06月06日
2022年1月、松尾綜合法律事務所の共同代表社員に就任した菊間千乃さん。フジテレビのアナウンサーとして活躍後、最難関の司法試験に合格し、弁護士に転身した異色の経歴の持ち主です。そんな菊間さんに、アナウンサーになる覚悟を決めたある出来事、夢や目標を明確に描き、それを次々と叶えることができた秘訣をお話しいただきました。
人が動き出すきっかけをつくる
〈菊間〉
小学生の時にフジテレビのアナウンサーになると決意したものの、就職活動の時期を迎えると、なりたいと思ってなれる職業でもないという現実が見え始め、保険をかけるため他の業界の資料を集め始めていました。
その矢先にテレビで観たのが、骨髄バンクの特集番組です。そこに登場したのは白血病を患った私と同い年の女性で、骨髄バンクへのドナー登録を呼びかけていました。
免疫力が極度に低く、風邪をひくだけでも命取りになりかねない重篤な病であるため、病院の無菌室にいたほうが安全であるにも拘らず、敢えてリスクを冒して全国を飛び回っている。
彼女は自分の治療には間に合わないかもしれないことを覚悟した上で、一人でも多くの人にドナー登録をしてもらい、今後自分と同様に若くして白血病を発症した人が病を克服し、健常者と同様に豊かな人生を歩めるようになることを願って活動していたのです。
並々ならぬ思いに心を打たれ、初めてテレビ局に電話をして、ドナー登録の仕方を問い合わせ、翌日に登録を済ませました。
その帰り道、私に行動を起こさせたテレビの力の大きさを再認識しました。そして、それまで集めていた他の業界の資料を全部捨て、テレビ局一本に絞って就職活動をすることにしたのです。
自分がテレビを通じて何かを伝えることによって、人が動き出すきっかけをつくりたい。その思いを面接でお話ししたところ、フジテレビへの入社が叶ったのでした。
自分の心の声に耳を傾ける
〈菊間〉
いま二十代を生きる方々も、不自由のない環境にいるのであれば、先延ばしせず、やりたいことにどんどん挑戦してほしいと思います。
二十代のうちは失敗できる時間がたくさんありますし、失敗すればするほど、人は成長します。そのためには、いかに人よりも早く動くか、どれほど具体的な目標を立てられるかが鍵になります。
ただ、自分が何をやりたいのか分からないという方もきっと多いでしょう。
そういう方は、自分の喜怒哀楽を大事にしてみてください。感情が激しく揺れ動くところにその人の人間性が現れるもの。喜怒哀楽のスイッチが入るポイントを深掘りしていく。心の声に耳を傾け、自分の気持ちがワクワクするものに従って生きていくと、やりたいことが見えてくるはずです。
(本記事は月刊『致知』2022年6月号 連載「二十代をどう生きるか」より一部を抜粋・編集したものです)
◉この他にも、菊間さんには「入社2年目の葛藤と一大転機」「司法試験で合格を掴み取るまでの道のり」など、これまでの歩みを振り返っていただきながら、夢を実現するための二十代の生き方を語っていただいています。ぜひご覧ください。
◇菊間千乃(きくま・ゆきの)
東京都生まれ。平成7年早稲田大学法学部卒業。フジテレビ入社。4年目、番組の中継中に5階建てのビルから転落、腰椎圧迫骨折の重傷を負う。復帰後に司法試験の勉強を始め、19年フジテレビ退社。22年2度目の挑戦で合格、弁護士に。23年松尾綜合法律事務所に入所。令和4年同代表社員就任。著書に『私が弁護士になるまで』(文藝春秋)など。
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