2022年04月15日
温かな春の訪れを感じるのも束の間、突然襲ってくる目のかゆみや鼻水、くしゃみ、鼻づまりについ憂鬱な気分になった方も多いでしょう。毎年、春に飛散のピークとなる花粉の季節、花粉症の方にはつらい時期ではないでしょうか。花粉症対策の根本となる生活習慣の改善について、通算200回を超えた『致知』の長寿連載「大自然と体心」より、鍼灸カイロプラクティックふぁんふぁん院長の黄鎔秀(ファン・ヨンス)さんに伺いました。
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改善のカギは「生活習慣」
〈黄〉
多くの方は、病院で薬物治療を受けたり、市販薬を使って症状を緩和させていますが、症状によってはアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)エキスを投与するアレルゲン免疫療法の他、ステロイド注射を打ったり、レーザーや高周波ラジオ波を使った手術など、様々な方法で対処されているようです。
こうした患者さんたちの声を通して常々感じることは、「アレルギー性鼻炎は一生治らないもの」とか、「毎年薬を服用して、数か月間の花粉症の季節を耐えよう」と半ば諦めに似たような感情を抱いている方がとても多いということです。
私はそういった考えをお持ちの方に対して、決して治すことのできない〝難病〟ではないとご説明しています。
実は私自身、10年ほど前から花粉症に悩まされていたのですが、自分でいろいろな治療を施しただけでなく、仕事に追われて乱れがちだった生活習慣を一から見直すことによって、3年ほどで症状が緩和され、数年前に克服することができました。
自律神経を整え、免疫を正常化する
各種研究によると、交感神経や副交感神経が優位になり過ぎると、免疫過剰によりアレルギー症状となって現れることがあります。このため、アレルギー性鼻炎の緩和に限ったことではありませんが、常に交感神経と副交感神経のバランスを心掛けることが大切なのです。
それでは、自律神経を整える=免疫機能を正常化するにはどうしたらよいでしょうか。結論から言えば、ストレスを和らげるなど日々の生活習慣を見直すことです。以下、私の体験談を踏まえて、「食事」「睡眠」「運動」の3点に絞ってお話ししましょう。
【食事】
改めて言うまでもなく、和食がベストでしょう。主食は炭水化物を多く含むご飯、主菜はEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富な青魚、副菜の煮物や和え物からはビタミンやミネラルが期待できます。具がたっぷりの味噌汁、納豆、漬物、醤油といった発酵食品も腸内環境を整えてくれます。
体にいいものを摂ることだけでなく、不調に繋がりかねない食品を避ける視点も大事になります。私が心掛けていたのは、甘味をセーブすること。アレルギーにとって白砂糖などが多く含まれる甘いものは禁忌です。甘いものへの誘惑が勝るのか、体質を変えてアレルギー症状を抑えようという意思が勝るかはあなた次第です。
【睡眠】
1日6時間半とか7時間とか、一定の睡眠時間を確保することも大事ですが、それと共に眠りの質にも目を向けましょう。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、深い睡眠の時に分泌され、一説では22時頃から2時頃が多いともいわれていますが、はっきりしたことは分かっていないようです。いずれにせよ、日付が変わる前に布団に入るなど、日々の生活リズムを大切にしたいものです。
夕食の時間にも気を配りましょう。食事をしてから消化が落ち着くには3時間ほどかかります。睡眠時、胃の中にまだ食べ物があると脳や内臓は休むことなく働くことになるため、睡眠の質が低下してしまうことになりやすいので注意が必要です。
【運動】
食事や睡眠は毎日欠かすことのできない生活習慣ですが、運動はしなくても生きていくことは可能ですので、どうしても後回しにされがちです。しかし、本来は食事や睡眠と同等の位置づけにあると思っています。
人間は動物であり、狩猟採集の時代には大地を駆け巡っていたわけです。あえて、健康のために運動しようなどという発想は必要ありませんでした。ところが、現代人は運動量が極端に少なくなっていますので、それを補うために体を動かすことが必要なのです。
私はスポーツジムに定期的に通いましたが、1日1回の体操、エスカレーターやエレベーターを避け階段を使う、通勤通学時に歩行を取り入れるなど、できることから始めるとよいでしょう。
【その他】
食事、睡眠、運動の3点の他では、シャワーではなく湯船に浸かって体をよく温めること、そしてリラックスできるひと時をつくることもお勧めです。その上で強調しておきたいことは、日々の積み重ね、まさに生活習慣が大事であるということです。
貯金に例えるならば、5円でも10円でもいいので、「毎日続ける」こと。「たいして貯まらないなあ」と思うかもしれませんが、1年、3年、5年、10年と時を重ねていけば、しっかりとした〝財産〟、つまり体質は徐々に改善されます。思いついた時に一万円札を貯金に回しても効果がないことも自覚してください。
(本記事は『致知』2020年5月号 連載「大自然と体心」より一部を抜粋・編集したものです) ◎各界一流プロフェッショナルの珠玉の体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。あなたの人間力を高める、学び続ける習慣をお届けします。 たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら。 ≪「あなたの人間力を高める人間力メルマガ」の登録はこちら≫
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◇黄 鎔秀(ファン・ヨンス)
昭和52年埼玉県生まれ。早稲田医療専門学校・東洋医療鍼灸学科卒業、ロサンゼルスカイロプラクティック大学(LACC)臨床解剖研修コース修了。鍼灸師(国家資格)、カイロプラクター。専門は椎間板ヘルニア、自律神経失調症、めまい、花粉症などアレルギー疾患。平成22年東京都板橋区に「鍼灸カイロプラクティックふぁんふぁん」、30年文京区に分院を開院。