日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと(髙橋史朗)

 占領文書250万ページを読破して明らかになった驚愕の新事実――。髙橋 史朗氏・著『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』 には「教育勅語」が廃止された理由や日教組誕生秘話、ウォーギルドインフォメーションプログラムの全貌など、戦後史の盲点が詳細に記されてます。特に興味深いのは、日本文化論として名高い『菊と刀』の存在です。日本人には本性に根差す伝統的軍国主義・侵略主義があるとした同書の誤った認識が占領政策に絶大な影響を与えたというのです。日本文化論として名高い『菊と刀』が、なぜそのように指摘されているのでしょうか?
(本記事は弊社刊『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』から一部抜粋・編集したものです)

独自の解説が付けられた中国版『菊と刀』

中国の『菊と刀』ブームの他国に見られない特徴は、原著にある謝辞、用語解説や索引は無視され、原著にはない写真や挿絵、図解が勝手に挿入されていることです。いわば中国編集版の『菊と刀』が作られているのです。そして、新たに加えられた説明の中では、中国文明の影響を論じてきた従来の日本文化論に加えて、それとはまったく異なる翻訳者の世代のアメリカ経由の日本文化論が展開されています。それが、読者世代の大学生に少なからぬ影響を与えているのです。その一部を紹介してみましょう。

二〇〇七年に南海出版社から刊行された『菊と刀──民族性と文化の角度から戦後日本が速やかに台頭した真の原因を明らかにする』(全カラー挿絵本)には、「日本の戦争起因説 撮影日本 二十世紀四〇年代」という見出しを付けて、原著にはない戦争中の武器工場の写真が掲載され、次のように解説しています。

「これは戦時中のある武器工場である。婦女達もこの戦争に加わった。彼女達は機関銃の弾を検査している。彼女らは、自分達は世界の等級秩序のために戦うと考えている。なぜなら、日本は上から下への等級制をうち立てることのできる唯一の国家だからである」

これと同じ写真が葉寧楊訳『図解 君の知らない日本文化の美』(華威文化)にも掲載されていますが、そこには異なる説明文が付いています。

「男女問わず、日本人は全員天皇に忠を尽くさなければならない。男が忠を尽くす方法は軍隊に入って、積極的に日本の海外勢力を広げること。女が忠を尽くす方法は本職をきちんとやり、生産に努めること。写真は第二次世界大戦中ある武器工廠で働いている女性作業員が弾を製造しているところ」

女性が武器工場で働いているという写真の説明は似ていますが、そこに加えられる解釈がずいぶん違うことがわかります。これはつまり、翻訳者たちが共通に使用している写真集があり、それに翻訳者の解釈が勝手に追加されているのではないかと推察されます。翻訳者の解釈が勝手に追加されているのは写真だけではありません。たとえば、2009年に出版された葉寧楊訳『図解 菊と刀 解読日本人』(瀋陽出版社)には、原著にはない日本の女子高生の写真が掲載され、次のような説明文が付けられています。

「『精神力は物質力に勝つ』という考えはもう日本人生活のすべてに浸透している。これは女性の冬の服の広告宣伝ポスターである。我々は彼女たちが身に着けるものがこんなに少ないこと(このように薄着していること)に驚いている。それは日本人は小さい時から耐寒訓練を受けているからである。だからこそ、冬の街でさえも短いスカートと半ズボンを穿いている子供をよく見かける」

耐寒訓練が女子高生の薄着の原因という分析は的外れもいいところですが、この他にもコスプレ姿の若い女性の姿が複数掲載されていて、「自重」が求められた日本女性が大きく変化している点に注目し、それを強調しています。これらは原著の『菊と刀』とはまったくの関係ない翻訳者の分析です。

 

※本書には、その他にも、以下のような興味深い項目が掲載されています。

・占領文書250万ページを読破して明らかになった驚愕の新事実
・「教育勅語」が廃止された理由、日教組誕生秘話……
・ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの全貌
・日本のマスコミはなぜ反日世論を形成するのか
・歪曲した日本文化論を世界に広げる『菊と刀』の正体を暴く
・占領下の6年8か月でアメリカが日本に行ってきたこと

反響が続々と寄せられています

 ●これまで断片的には知られていたことも含め、膨大な情報が体系的にまとめられており、日本国民全員が知るべきことと思います。
──東京大学名誉教授・月尾嘉男氏

●日本人は、今こそこの本を読み戦後GHQ史観からの脱却を図るべきだと思う。一人でも多くの方に読んでいただきたい。そして、一人でも多く日本派日本人になってほしいと思います。 
──アマゾンレビューより

●戦後レジームからの真の脱却とは、こうした精神的なものを指すのではないか。ようやく東京裁判の呪縛から日本人全体が解き放たれようとしているように思えてなりません。
──私立高校教師より

 序 章 敗者を裁いた占領軍の目 第一章 中国の『菊と刀』ブームの実態と歴史的背景
第二章 「義眼」の原点にあったルース・ベネディクト『菊と刀』
第三章 ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム ──その源流と展開
第四章 今、日本の子供と親に何が起こっているのか
第五章 「義眼」からの脱却に向けて──親学の推進と転機
第六章  「日本再生」への取り組み──「義眼」から脱却するために
終 章 占領文書二百五十万ページ研究への挑戦と成果

『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』

 

 

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