脳の「仕組み」を知らずに負けるな! 脳医学者が競泳日本代表選手に伝えたこと

長年にわたって脳の研究や救命救急医療の最前線に立ち、五輪金メダリスト北島康介氏をはじめ、数多くのアスリートに「勝負脳」を伝授した脳神経外科医の林成之さん。自分自身の能力を最大限に発揮し、多大なプレッシャーのかかる勝負に打ち克っていくには、どのような考え方が必要なのでしょうか?

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自分の才能をいかに引き出すか

多くの人は「命懸けで頑張ります」と口で言いますが、命懸けで脳が働くシステムを使っていないのです。

勝負の最中、前回のアテネオリンピックではこうだった、昨日コーチにこう注意されたなどと考えながら勝負をする。これは作戦を考えながら戦っているので命懸けの戦いにならないのです。

命懸けの戦いとは、過去の実績や栄光を排除し、いま、ここにいる自分の力がすべてと考え、あらゆる才能を駆使して勝負に集中する戦い方をいうのです。

これには「素直」でないとできません。素直でない人、理屈を言う人はあれこれ考え、その情報に引っ張り回されます。素直な人は、過去も未来もない、いまの自分でどう勝負するかに集中できるのです。

それと同時に、勝負を好きになること、コーチ・監督や仲間を好きになることです。だから北京オリンピックでは、競泳日本代表選手の皆さんに言ったんです。「皆さんのコーチ・監督は、神様が皆さんに遣(つか)わした人たちですよ」と

私たち一人ひとりの人生の勝負は自分の才能をいかに引き出すかだと思います。だから、家族も、会社の社長や上司、学校の先生など、みんな神様が遣わしてくれた人だと思って好きになればいいのです。会社がつまらない、上司が嫌いだと言っていたら、本当は能力があっても、自分で自分の才能を閉じてしまうことになる。

ただ、人間ですから、どうしても合わない人や環境もあります。希望じゃない部署に配属になることもある。日常レベルでも、トラブルが起きたり、クレームがあったり、嫌なことを言われることもありますね。

その時は「競争相手は自分を高めるツールと思う」、あの考え方で、このひどい環境が、この経験が自分を磨くんだと思えばいいのです。

人間の脳は、海馬回だとか視床下部とか、それぞれが自分の機能を果たしながらも、連携をとりながら一つの脳として働いています。

逆に一つだけが傑出していても、連携が取れていなければ脳としては働きが悪いわけです。私たち人間もまた、自分の持ち場で精いっぱい役割を果たし、意見や立場の違いがあっても共に認め合って生きることが、結局は自己を生かす道だと思います。

そのためにも、脳の仕組みを知らずに勝負に負けたり、自分はダメだと思ってしまったらもったいない。人生の勝負に勝つために、自分自身の能力を最大限に発揮していただきたいと思っています。


(本記事は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』〈致知出版社刊〉より一部を抜粋・編集したものです)


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◇林成之(はやし・なりゆき)
1939年富山県生まれ。 脳神経外科医。 日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。 1993年、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任する。

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