入社した日から実践できる。「一流になる人」の仕事を楽しむ工夫術

ファンクショナル・アプローチ(FA)という問題解決手法を駆使し、10年間で2,000億円のコスト削減を実現──。横田尚哉さんは業界屈指の経営コンサルタントとして知られています。そんな横田さんは、大学卒業後入社した会社で様々な「工夫」を積み重ね、抜きん出た結果を出し続けてこられました。一見すると大したことのない心掛けの差が、未来の成功に繋がっていることを教えられる体験談です。(お相手は人財育成コンサルタントの里岡美津奈さんです)

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新人の「特権」を使い尽くす

〈里岡〉
横田さんはどういう理由でコンサルタントの道に進まれたのですか。

〈横田〉
私は大学生の時、土木の分野に力強さを感じましてね。橋梁とかダムとか、そういう大きな仕事に携わりたいなと。で、土木の分野で一番大きな会社はどこだろうと調べたら、パシフィックコンサルタンツという名前が挙がってきたんです。

当時はエンジニアの国家資格が17種類ありまして、すべてのエンジニアを有していた唯一の会社がパシフィックコンサルタンツでした。私はそこに魅力を感じて、入社したわけですね。昭和62年のことです。

先ほど里岡さんがゲーム感覚で資格を取得されたとおっしゃっていましたけど、私も新入社員時代、ゲーム感覚で楽しみながら仕事を覚えていきました。

〈里岡〉
ぜひ詳しく教えてください。

〈横田〉
とにかく最初は会社の様子が分からないので、どうやって馴染(なじ)もうかなといろいろ考えていましてね。で、私の中で決めたのがまず一番に出社しようということでした。

会社の鍵を開けているのは誰なのか。聞いてみると庶務の女性がいつも早く来ているらしい。庶務の女性にいつも何時に出社しているのかを尋ね、その5分前に来て鍵を開けるようにしたんです。

私が鍵を開けたら勝ち、庶務の女性が開ければ負け。このようにゲーム感覚で捉え、毎日を過ごすようになったんですね。すると、30~40人くらいの部署なんですけど、誰が何時に来るのかという行動パターンや一人ひとりの性格が分かるようになってきた。

〈里岡〉
なるほど。

〈横田〉
それと、もう一つやったのが電話を真っ先に取るということです。当時は電話が一人一台じゃなかったので、誰かが取って引き継ぎをしなきゃいけないんです。先輩は忙しいから電話を取らない。新入社員が渋々取る。どちらかというと電話番って嫌な役ですよね。

でも、私はそれをあえて誰よりも早く一番に取る、どんな状況であろうがワンコールで取るようにしていました。その理由は2つあって、一つは、「横田はいつも電話を取るやつだ」と思われることで、自分の存在を知ってもらいたい。もう一つは、どの部署に誰がいて、どんな会社の人から電話がかかってくるのか知りたかったんです。

朝一番に出社する、誰よりも早く電話を取る。この2つを1年間ずっと繰り返していると、社内のことが全部掌握できるようになりました。大したことじゃなくても、ちょっとした努力をいつも続けるだけでこんなにメリットがあるんですよ。

コピー取りも新入社員の仕事なんですけど、昔のコピー機はいまのようにソーター(自動原稿送り装置)がなくて、1枚ずつ手動でセットしなきゃいけないので何十枚とコピーを頼まれるとすごく時間がかかる。

そこで私は、コピー機が原稿を読み取っている間に次の原稿を手に取り、読み取りの光が戻ってくる間に蓋を開けて原稿を入れ替え、戻り終えたらスタートを押すという、最速の方法を編み出したんです(笑)。

〈里岡〉
全く無駄がない(笑)。

〈横田〉
与えられたものをいかに楽しくゲーム感覚でやるかということは常々考えていました。

〈里岡〉
素晴らしい創意工夫ですね。新人だからまだ業務的なところは先輩たちに敵わなくても、それ以外のところで人に先んじることで周りから認知してもらう。それをご自身で気づいてやっていらしたというのがすごいと思います。

〈横田〉
ある時、気づいたんですよ、新入社員には特権があるなって。

〈里岡〉
特権ですか。

〈横田〉
新入社員っていうだけで、分からないことがあれば教えてくれますし、ミスをしても許してもらえる。これは便利だなと思ったんですね。で、これは新入社員の間でしか使えないんだということにも同時に気づきました。

だったら、この1年間、この特権を使うだけ使おうと。新入社員でしかできないこと、新入社員だからできること。これを徹底してやりました。


(本記事は『致知』2017年11月号 特集「一剣を持して起つ」より一部を抜粋・編集したものです)


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【登場者紹介】
横田尚哉(よこた・ひさや)
昭和39年京都府生まれ。62年立命館大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ入社。GE(ゼネラル・エレクトリック)の改善手法をアレンジして10年間で総額1兆円分の公共事業の改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現。平成22年ファンクショナル・アプローチ研究所を設立。29年「ジミー・カーター経営功労賞」「最優秀論文賞」をダブル受賞。著書に『第三世代の経営力』(致知出版社)など多数。

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