2021年06月22日
京セラ、KDDI、JALの再建……会社経営をしていく中で得た事業・人生発展の秘訣を、強い信念を持って語り続けてきた稲盛和夫氏。直面する数々の逆境、困難、そこから得た学びを哲学にまで高めた稲盛氏の言葉は、素晴らしい人生、仕事発展の要諦に溢れています。
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魂に響く言葉
◉反省と努力
ほとんどの人は心の大切さに気づかず、
心を立派にしようなどということに関心を
もたない。まずは、心を高めなければならない、
心を美しくしなければならない、
と思わなければならない。そうしても、我々は
煩悩、欲にまみれた人間であるから、なかなか
そうはなれない。なれないけれども、
「ならなければならない」と思い、反省する。
この反省があるから、また努力をしようと心がける。
この反省と努力が「心を高める」にあたり、
大切なのである。
◉チャンスをつかむ人
素晴らしいチャンスは、ごく平凡な情景の中に
隠れている。しかし、それは強烈な目標意識を
持った人の目にしか映らないものだ。
◉思いは必ず実現する
思いは必ず実現する。それは、
人が「どうしてもこうありたい」と強く願えば、
その思いが必ずその人の行動となって現れ、
実現する方向におのずから向かうからです。
ただそれには、強い思いでなければなりません。
漠然と思うのではなく、「何がなんでもこうありたい」
「必ずこうでなくてはならない」といった、
強い思いに裏打ちされた願望でなければ、
決して実現しないのです。
◉災難の考え方
災難に遭うことにより過去の業は消える。
そこで、「ありがたい。この程度の災難ですんでよかった」
と感謝し、明るい方向に考え方を変えていく。
災難さえも前向きに解釈することで、
運命をよい方向に変えることができる。
◉自然性の人
ものには、他からエネルギーを受けて燃えるものと、
それでも燃えないものと、そして自分自身で
燃えるものとがあります。つまり、火を近づけると
燃え上がる可燃性のもの、火を近づけても燃えない
不燃性のもの、自分で勝手に燃え上がる自燃性のものと、
物質は三つに分かれますが、人間も同様です。
ものごとを成そうとするには、自ら燃える者で
なければなりません。
◉強烈な願望を持つ
願望を成就につなげるためには、
並みに思ったのではダメだ。生半可なレベルではなく、
強烈な願望として、寝ても覚めても四六時中そのことを思い続け、
考え抜く。頭のてっぺんからつま先まで全身をその思いで
いっぱいにして、切れば血の代わりに「思い」が流れる。
それほどまでにひたむきに、強く一筋に思うこと。
そのことが、物事を成就させる原動力となる。
(本記事は月刊『致知』2021年4月号 特集「稲盛和夫に学ぶ人間学」の記事から一部抜粋・編集したものです)
◇稲盛和夫(いなもり・かずお)
昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ(現在は閉塾)。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』(いずれも致知出版社)など。
◇稲盛和夫さんから月刊『致知』へメッセージをいただきました◇
月刊『致知』創刊40周年、おめでとうございます。日本人の精神的拠り所として、長きにわたり多大な役割を果たしてこられたことに、心から敬意を表します。
『致知』は、創刊以来、人間の善き心、美しき心をテーマとする編集方針を貫いてこられました。近年、その真摯な姿勢に共鳴する読者が次第に増えてきたとお聞きしています。それは、私が取り組んでまいりました日本航空の再生にも似て、まさに心の面からの社会改革といえようかと思います。
今後もぜひ良書の刊行を通じ、人々の良心に火を灯し、社会の健全な発展に資するという、出版界の王道を歩み続けていただきますよう祈念申し上げます。
――京セラ名誉会長・日本航空名誉顧問 稲盛和夫