2020年10月16日
人は何のために生きるのか。
私たちはどう生きるベきなのか――。
いま、生きる意味を問うすべての人に贈る。
『致知』創刊40周年記念出版として、発売からわずか1か月で5,000部が完売となった『人生の法則』。本書には『致知』の特集テーマを概括する一文として紡がれてきた総リード204本が収録され、大きな反響を呼びました。その後も「購入したかったけど手に入らなかった」「友人や社員にプレゼントしたい」などのご要望を数多くいただき、このたび増刷が決定いたしました。
いつの時代にも問われる人間の生き方から、経営、マネジメント、リーダーシップの在り方、先哲の箴言、宇宙や生命の神秘に至るまで、人間学の精髄がこの一冊に集約されているとも言えるスペシャル版。ご自身の座右に、大切な方へのプレゼントに、ぜひご活用ください。204篇収録される文章のうち、一篇をご紹介します。
心を高める 運命を伸ばす
『致知』は本号(2012年10月号)をもって創刊34周年になる。随分と多くの方にお会いさせていただいた。長い歳月の実感である。
それぞれの世界でそれぞれの一道を切り拓いてこられた方々の話は多岐にわたり、
実に魅力に富んでいたが、その人たちが共通して言われることがあった。
伸びる人の条件である。
「どういう人が伸びますか」という質問に、職業のジャンルを越え、その道の頂点を極めた人たちが一様に答えたのは、
「素直な人が伸びる」
というシンプルな言葉だった。即ち、素直な人でなければ運命を伸ばすことはできないということである。
『生き方の流儀』(小社刊)という本がある。上智大学名誉教授の渡部昇一氏と
日本将棋連盟会長の米長邦雄氏が、それぞれの道を通じて得た人生の極意を存分に語り合った好著である。その出版記念会の席でお二人が語られた運についての言葉が鮮烈に残っている。
渡部氏は運命を高めるための心得として、幸田露伴の説いた「惜福」を挙げた。自分に舞い込んできた福を使い切ってしまわず一部をとっておく。そういう心掛けの人に幸運の女神は微笑む、ということである。
露伴はこの「惜福」とともに、「分福」(自分の福を分け与える)、「植福」(福を新たに植える)を運命発展の三要諦と説いている。厳しい勝負の世界を戦い抜いてこられた米長氏は、運命を伸ばす核に心のあり方を置いているのが印象的だった。氏は言われた。「ねたむ、そねむ、ひがむ、うらむ、にくむ。そういう気持ちを持っている人に運はついてこない」それぞれの道を極めた人の言葉は、心を高め、運命を伸ばす妙諦を簡潔に衝いて示唆に富む。
セイコーの創業者、服部金太郎の若い頃の逸話がある。金太郎が奉公していた商店が破産しかかった。すると、金太郎は自分の預金を全部、主人の前に差し出して言ったという。
「これはお店からいただいた給金の残りですから、自分で勝手に使ってはいけないと思い、貯めていたものです。それがお店のお役に立てていただけるなら、この上の喜びはありません」
この心のありようには気高いものさえ覚える。この気高さが金太郎の人生を大きく発展させた礎になったことは確かである。本号にご登場の稲盛和夫氏が一貫して説いてこられたのも、「心を高めない限り、経営は伸びない」ということである。その哲学は「才能を私物化してはならない」という一語に顕著である。
才能は天から与えられたものだから公のために使うべきで、私のために使ってはならないというのである。稲盛哲学の真骨頂である。心をその高みに置くことで、氏は今日の偉業を果たしたのだ。
それ境は心に随って変ず 心の垢るるときは即ち境濁る(『性霊集』巻第二)
環境・運命は心に随って変わる。心が垢れれば、環境・運命も濁る。弘法大師もそう言っている。心のありようがいかに大きな人生の差異となるか。そのことを肝に銘じ、自らの心を高め、運命を伸ばしたいものである。
『人生の法則』3つの魅力
【1】総リードをそのままに再現!
「『致知』掲載時のままの形で総リードを読みたい」という愛読者の多くのご要望から生まれた本書。判型も『致知』本誌と同じB5判です。
【2】豪華装幀の永久保存版!
特製箱付き。高級感があり、座右の書となる一冊です。
【3】17年分、204本を完全収録!
(2001年11月号から、2018年10月号までを網羅)
『人生の法則』~『致知』総リード特別篇~
(藤尾秀昭・著)
定価=本体10,000円+税
※10月29日以降の発送となります。