【対談】米長邦雄×平沼赳夫——日本の外交・教育・政治にモノ申す!

中国公船の挑発行動、戦後最悪といわれる日韓関係。国内に目を転じれば、国力の低下や憲法改正といった難問が山積しています。「国難」とも言うべきこの状況をどう打破すればよいのでしょうか。2011年、日本の未来や政治問題を熱く語り合った平沼赳夫氏(たちあがれ日本代表=当時)と永世棋聖の米長邦雄氏の発言の中に、そのヒントが隠されているようです。

☆人間力を高める記事や言葉を毎日配信!公式メルマガ「人間力メルマガ」のご登録はこちら

南京大虐殺には反論すべき

(平沼)
中国や韓国が文句を言うから靖国神社にお参りしないという現状は非常にまずいですね。これは内政の問題で、外国からとやかく言われる筋合いのものではありません。

(米長)
あの尖閣諸島沖の事件(2010年9月7日)以来、中国や韓国の干渉に国民も少しずつ違和感を募らせてきているんじゃないでしょうか。

(平沼)
そうです。だから私はもっともっと訴えていきたいんです。例えば中国は、南京大虐殺で日本人が30万人虐殺したといっていますが、当時20万人しかいなかった南京で、そんなことは不可能なんです。

日本軍の装備からしても、1週間で30万人も殺すことは不可能です。原子爆弾が落とされた広島、長崎だって亡くなられた方は約10万人ずつ(推計=広島14万人、長崎7万4000人)なんですから。そういうことをもっと勇気を持って言っていかなければいかんのです。

(米長)
この状況を打開する一つの手立てとして、今年は辛亥(しんがい)革命が始まって100年ということに注目すべきだと私は思うんですよ。ある中国人とのつき合いで分かったんですが、彼らと親しくなるには「孫文先生を尊敬しています」と言えばいいんです。そう言われると中国人は機嫌がよくなるのです。

(平沼)
孫文のことは、中国共産党も台湾も、建国の父と言っていますからね。そしてその孫文を亡命中から支えたのは日本人なんです。頭山満(とうやまみつる)は犬養木堂(いぬかいぼくどう=毅)らと一緒に日本に亡命した孫文を厚遇したし、ある有名な財界人は巨額なお金を送金して、孫文はそれを辛亥革命の軍資金にしたのですからね。

歴史を正しく伝える必要性

(米長)
去年は日韓併合100周年ということで、また韓国がいろいろ言ってきましたが、そういう時にこっちは、百済滅亡1350年という物差しを出すべきではないかと私は考えるんです。

昔、朝鮮半島が高句麗、新羅、百済の3つに分かれていた時、日本と同盟関係にあった百済が滅ぼされた。そして我が国が、百済の人たちを助けに行って敗れたのが、663年の白村江(はくそんこう)の戦いです。

ですからその日を日本の敗戦記念にして、韓国が何か言ってきたらそれを持ち出す。先ほどの孫文の話も併せて持ち出すことで、中国や韓国から非難され続ける現状に歯止めをかけねばなりません。

そういう視点をもっと歴史教科書にも盛り込みたいですね。

(平沼)
いまの日本の危機は、戦後65年間、欠陥のある教育を続けてきた結果もたらされたということを、ここで改めて強調しておきたいと思います。

(米長)
同時に、日本はこのままではいけないと国民の多くが気づき始めたいまこそ、日本再生の絶好のチャンスだともいえます。そこで私は、学校とは別に、子供たちを集めて大人が話を聞かせる会をつくったらどうかと思うんです。

例えば、これまでの歴史を紐解き、素晴らしい先人の話を聞かせる。そういう話を誰もしてくれないから分からないわけで、これからはそういう機会をつくっていくべきだと私は思います。

主張すべきことは主張する

(米長)
問題は、これから日本復活のために何をすべきかです。

(平沼)
私は3つに絞ってやるべきだと思います。ここまでお話ししてきた教育もその1つですが、やっぱり自主的に憲法をつくらなきゃいかんと思うんです。

第2は、日本は独立国なんですから、自国の安全と平和を自らの力で守る体制を創らなければダメです。それがないから尖閣の問題なんかが起きてしまうんです。アメリカ人が言うには、いかに日米安保条約があっても自分たちの国の若者の血は流させないと。

憲法の問題にも繋がってきますが、やはり集団的自衛権を行使できるようにしなければなりません。決して軍国主義になれということではなく、軍備、防衛について勇気を持って見直す必要があると私は思います。

そして3番目に教育です。これら3つの核からいろんなものが派生して、道が開けてくると私は考えるのです。

(米長)
この閉塞感を打開するためにも、そういう平沼さんの考えをもっと広く伝えていく必要があると私も思います。主張すべきことはちゃんと主張しないと、日本の立場がますます危うくなりますからね。

世論も平沼さんのような考えを支持する方向に向かっていると思いますから、これをもっと大きな流れにするためにも、しっかりした見識を持った政治家の皆さんには党派を超えて手を組んでいただきたいですね。

(本記事は月刊『致知』2011年2月号の対談「日本の政治はこれでいいのか」の一部を抜粋・編集したものです。あなたの人生や仕事の糧になるヒントが見つかる月刊『致知』の詳細・購読はこちら

◇米長邦雄(よねなが・くにお)
昭和18年山梨県生まれ。中央大学中退。13歳で佐瀬勇次名誉9段に入門。38年将棋のプロ棋士となり、54年9段。60年永世棋聖。平成5年第51期名人。6年史上4人目の1000勝棋士。17年から日本将棋連盟会長を務めた。2012年12月死去。

◇平沼赳夫(ひらぬま・たけお)
昭和14年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。日東紡績勤務を経て中川一郎代議士の秘書となる。55年初当選。運輸大臣、通商産業大臣、経済産業大臣などを歴任。平成17年郵政民営化法案に反対し無所属に。22年新党「たちあがれ日本」を結成。北朝鮮拉致救出議員連盟会長なども務めた。2017年10月、衆院選に立候補せず政界引退を表明。

1年間(全12冊)

定価14,400円

11,500

(税込/送料無料)

1冊あたり
約958円

(税込/送料無料)

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に1年購読 11,500円(1冊あたり958円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 31,000円(1冊あたり861円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは

人気ランキング

  1. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】ふるさと納税受入額で5度の日本一! 宮崎県都城市市長・池田宜永が語った「組織を発展させる秘訣」

  2. 人生

    大谷翔平、菊池雄星を育てた花巻東高校・佐々木洋監督が語った「何をやってもツイてる人、空回りする人の4つの差」

  3. 【WEB chichi限定記事】

    【編集長取材手記】不思議と運命が好転する「一流の人が実践しているちょっとした心の習慣」——増田明美×浅見帆帆子

  4. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】持って生まれた運命を変えるには!? 稀代の観相家・水野南北が説く〝陰徳〟のすすめ

  5. 子育て・教育

    赤ちゃんは母親を選んで生まれてくる ——「胎内記憶」が私たちに示すもの

  6. 仕事

    リアル“下町ロケット”! 植松電機社長・植松 努の宇宙への挑戦

  7. 注目の一冊

    なぜ若者たちは笑顔で飛び立っていったのか——ある特攻隊員の最期の言葉

  8. 人生

    卵を投げつけられた王貞治が放った驚きのひと言——福岡ソフトバンクホークス監督・小久保裕紀が振り返る

  9. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】勝利の秘訣は日常にあり——世界チャンピオンが苦節を経て掴んだ勝負哲学〈登坂絵莉〉

  10. 仕事

    「勝負の神は細部に宿る」日本サッカー界を牽引してきた岡田武史監督の勝負哲学

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

閉じる