人の3倍のアポを取る——伝説の営業ウーマン・和田裕美の結果の出し方

外資系英会話教室の営業職として、プレゼンテーションした見込み客の98%から成約を得た「女性営業のカリスマ」和田裕美さん。もともと引っ込み思案で、人見知りするタイプ。そんな彼女が大きく飛躍できた理由は、創意工夫を重ねながら人の3倍のアポイントを取るというシンプルな手法でした。

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チャンスは平等、結果は不公平

「英語教育の営業で世界第2位の販売実績を樹立」「成約率98% 奇跡の営業スキル」などといまでも紹介していただくことがありますが、私が営業の仕事、しかも完全歩合制という厳しい世界に転職をしたのは、「もっとお金を稼ぎたい」という単純な理由だけでした。

京都から上京してアパレルの仕事に就いたものの、高い家賃と食費などに毎月の給料は消えていく。内勤の仕事で名刺すら持たせてもらえなかった仕事に愛着はなく、求人広告でたまたま目にした「週給8万9000円」に目を奪われ、日本ブリタニカの会社説明会に足を運んだのがすべての始まりでした。

「チャンスは平等、結果は不公平」。いまこの説明会に参加している人たちは皆、日本ブリタニカへ入社できるというチャンスを手にしたけれど、入社してから結果を出せるかどうかは自分の努力次第。自然界に住む動物たちは、日々飢え死にするかもしれない危機に晒されているから必死になって獲物を狩っている。

それは人間も同じで、毎月の給料は自力で稼がなければいけないという環境に身を置くことで、初めてハングリー精神が掻き立てられる……。その説明を聞いて感電した私は、もっと自立して生きていく強さをここでなら身につけられると思い、勇気を出して完全歩合制の世界に飛び込んだのでした。

完全歩合制の競争社会を生き抜く

決意したからには即行動。説明会に参加した10日後には営業職としてデビューしていました。イキイキと活気ある社風でしたが、何よりも驚いたのが、皆が自発的に行動し、指示待ちの人が一人もいなかったことでした。

契約が取れなければ自分の給料がもらえないため、皆が必死になって創意工夫を重ねていたのです。逆に、指示待ち人間は3日でいなくなりましたし、1年以内に9割近くが完全歩合制という環境に適合できずに辞めていきました。

私はといえば、生来引っ込み思案で人見知りする性格。営業に行っても、「断られたら嫌だな」「厚かましく思われないかな」とうじうじして声を掛けられないような人間でした。しかし、契約が取れなければ食費がないどころか来月の家賃も払えません。その恐怖を思うと逃げるわけにはいかない。とにかく前に向かって動くしかありませんでした。

がむしゃらに行動していると少しずつ結果が出て自信を持つことができました。そしてより積極的に変わってきたのです。環境によって強制的に変革させられたようなものですが、人間は変われるものだとつくづく実感します。

結果が出る人と出ない人の差

当時、「成績でゼロをつくったらどうしよう」と不安を抱えていた私は、1年間、つまり「52週間ゼロなし」という自分のルールを定めました。毎週当たり前に結果を出せれば、「息を吸って吐くように結果を出す」ことができると思ったのです。

この自分で決めた目標を毎週達成していくことで徐々に自信がつき、好循環が生まれていきました。しかし、「52週間ゼロなし」というのはお盆も正月もないということです。

自分の得ではなく常に相手の得を考えて営業していると、自然とクロージング(契約締結)スキルが高まり、3人中1人契約を取れるのがアベレージ(平均)といわれていたところ、98%のお客様から成約を得ることができるようになったのです。

人の3倍のアポイントを取った上で、そのほとんどのお客様から契約を結んでいただいていたのですから、自然と成績が上がっていきました。そうして2年目の年末に、142支社中、何万人といた営業マンの中で世界第2位の成績を収めることができたのです。

(本記事は月刊『致知』2019年11月号 連載「二十代をどう生きるか」の記事から一部抜粋・編集したものです)

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◇和田裕美(わだ・ひろみ)
平成3年日本ブリタニカ入社。営業で世界142支社中2位の個人記録を達成。その実績が評価され20代で支社長となる。同社の日本撤退後に独立し「HIROWA」設立、ビジネスコンサルタントとして国内外で研修や講演を展開。著書に『YESの9割はフロントトークで決まる!』(日本経済新聞出版社)など。

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