睡眠不足を解消する「3つの習慣」  お釈迦様のように寝そべると吉!?

仕事や家事・育児が忙しく、気がつけば寝不足になっている……。ついつい夜遅くまでスマホをいじってしまい、体内時計が乱れてしまった。いけないと分かっていても、体に染みついた生活習慣を整えるのは難しいもの。そこでおすすめなのが「安眠マッサージ」です。総合専門医の小野垣義男さんに、すぐに使える対処法を伝授していただきました。

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よい睡眠とは何か

〈小野垣〉
よい睡眠とはどのようなものを言うのでしょうか。必要な睡眠時間には個人差や年齢差がありますから、一日何時間寝なければならないといった通説にあまり囚われる必要はありません。そこで私は、

「毎日、一定時間、気持ちよくグッスリと寝ることができ、日中、眠気もなく活動できること」

 を、よい睡眠の定義と考えています。

ところが最近は、「布団に入ってもなかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」「朝が辛く、寝た気がしない」等々、睡眠に何らかの問題を抱えている人が成人の5人に1人を占めているといわれています。

なぜ、睡眠にまつわるトラブルが増えているのでしょうか。一番の要因がストレスであることに異論はないでしょう。しかし同時に問題なのは、ストレスを上手く解消する術を持っていない人が多いことです。とりわけ、社会で活躍する機会が急速に増えている女性にこの傾向をより強く感じます。

もう一つの要因は、夜遅くまで起きていることです。街の灯りは一晩中消えることなく煌煌と光り続け、帰宅してもテレビ、パソコン、スマホなどに囲まれて、人が就寝する時間は遅くなる一方です。こうした夜型社会では自ずと夜間に強い照明に体が晒されることになり、体内時計が乱れて布団に入っても眠れなくなるのです。

残念ながら現代社会は、決して睡眠によい環境とは言いがたく、不眠に悩む人が多いのも無理もない話なのです。

脚をさすりながら100まで数える

それでは、安眠マッサージの具体的な方法、注意点をご紹介しましょう。ポイントは①横向きに寝ること、②片足で反対の脚をさすること、③脚をさする動作を100まで数えること、の3点だけです。

①ベッドや布団で横向きに寝る

左右どちらが下でも構いません。お腹がベッドにつくくらい体を深く傾け、上の膝もベッドにつくように。ベッドについた膝を支点に脚を動かせるようにします。両手は枕の上に載せると負担がかかりません。下になった手で上の手を軽く握ると、安心感が増して眠りやすくなります。

②上になった足で下の脚をさする
気持ちよく感じるところならどこをさすっても構いませんが、ふくらはぎと足の裏は必ずさすりましょう。さすっている最中に疲れないよう、体の向きなどを適宜変え、安定して、楽に行えるようにしましょう。

③脚をさすりながら100まで数える
一往復ずつ1、2、3と100まで数えます。眠くなって間違えそうになっても、集中して100まで数えてください。

寝る時に仰向けになるのは人間ぐらいで、動物はみんな横向きか腹ばいで寝ています。それが自然な寝方だからです。2500年前のあの有名な方も横向き寝でした。そう、お釈迦(しゃか)様です。お釈迦様の涅槃(ねはん)像は体が横向きになっています。

安眠マッサージは寝て行う坐禅

一日の間に脚に溜まった疲労物質の中には、睡眠物質も含まれています。脚をさすることでこれが体を循環し、脳に行き、入眠効果が表れるのです。

脚をさする時に数を数えるのは、眠れない不安やイライラ、焦りなどの雑念を遮断するためです。人間の頭は同時にたくさんのことを考えられないので、脚をさすりながら数を数え、さらに呼吸にも意識を向ければ他のことはほとんど頭に入ってこなくなります。

不眠解消のための認知行動療法では、寝る前にものを考えないよう坐禅も導入されています。しかしこの安眠マッサージは寝て行う坐禅のようなものですから、わざわざ坐禅を行う必要はありません。

坐禅では数息観(すそくかん)といって、深い呼吸に合わせて数を数えることで禅定に入ります。安眠マッサージも、繰り返しているうちに頭が空になってストンと眠りに落ちるのです。もし100まで数えて眠れなければ、向きを変えてまた100数えます。私は少々ストレスの強い時でも、200を超す頃には大体深い眠りに陥っています。


(本記事は月刊『致知』2015年7月号 連載「大自然と体心」から一部抜粋・編集したものです)

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◇小野垣 義男(おのがき・よしお)
昭和15年秋田県生まれ。42年群馬大学医学部卒業。51年群馬県に小野垣医院を開業。医学博士、総合内科専門医、内科認定医、産業衛生コンサルタント、介護支援専門医。著書に『7分で眠れる超熟眠法』(マキノ出版)などがある。

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