忙しい人ほど「即決」!?  コシノジュンコ×一風堂・河原成美が語り合う成功の法則

パリやニューヨークなど世界を舞台に活躍を続けるデザイナー・コシノジュンコさん。ラーメン業界に革新を巻き起こしてきた人気ラーメン店「一風堂」の創業者・河原成美さん。常に業界の最前線を走り続けてきた二人の語り合いの中で、話は成功している人、そして一流の人に見られるある〝共通点〟に及びます。

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忙しい人ほど「即決」

〈河原〉
デザイナーとして歩んでいく中で、転機や逆境はありましたか。

〈コシノ〉
よくそういうことを聞かれるんだけど、ないんです。あるとしたら結婚です。病気も一回もしたことがないし。

〈河原〉
普通の人から見ればとんでもない困難を、コシノさんはそうと感じていないんですよ、きっと。

〈コシノ〉
終わったものは全部忘れちゃう。

〈河原〉
そうそう、それだ(笑)。苦労はあったけど、覚えてない。

〈コシノ〉
いまだに私のことを「独身」だと思っている人がいるのよ。「私の息子です」って紹介したら、多くの人が「え?」って(笑)。息子はもう38歳で、孫もいるんです。

〈河原〉
知ってはいても信じられない。

〈コシノ〉
子供ができた時は転機でしたけど、やはり、子供がいようが仕事は仕事。私は仕事が大好きだから。

いまは子供ができると、出産のために「仕事をストップする」という発想でしょう? 私の母はこんなにお腹が大きくなって「もう産まれる」というところまで仕事をしていました。

そういうものだと思っているから、私は出産後すぐ仕事に復帰しました。帝王切開だったから2週間は病院にいないといけなかったけど、その間もスタッフが病室のドアをトントンとノックして、「先生、これでいいですか」とジャンジャン仕事を持ってくる。ドアには「面会謝絶」と書いてあるのにへっちゃらで。だから、特別に子供が生まれたという感覚はなくて、普通に仕事をしていましたね。

〈河原〉
ああ、病室で仕事を。仕事をする上で特に心掛けてこられたことはありますか。

〈コシノ〉
さっきの河原さんの話にも通じますが、思ったことはすぐやる、後回しにしない。私、仕事を後回しにする人は嫌いです。

母もそうですし、尊敬するアサヒビールの社長などを務められた樋口廣太郎さん(故人)も、思ったことはすぐやる人でした。

明日にはまたきょうよりも重大なことが起こるんだから、忙しい人ほど即決ですよ。

それに時間が過ぎたら、取り組む気持ちが弱くなるではないですか。とにかく「いま」ということがものすごく大事。

〈河原〉
おっしゃる通りです。

一流の人は普通の人

〈河原〉 
コシノさんは、ご自身も第一線で活躍される一方で、たくさんの後進を育ててこられたと思うんですが、いつまでも成長していく人とそうでない人との違いはどこにあると思いますか。

〈コシノ〉 
やはり、伸びていく人、成功している人、一流の人は普通の人です。逆に焦っている人は自慢話ばかりしますよ。私は自慢する人が嫌いなんです。変に頑張っている人は、気負っているというか、「自分! 自分!」みたいなところがあるじゃないですか。だから余裕もない。本当に成功している人は、余裕があるから人のことも見ることができるんですよね。

〈河原〉
そう、一流の人は確かに普通の人ですね。そして優しい

僕自身はいつも成長の途中だと思っているし、何が一流なのか本当には分からないけど、ただ、「誠実であろう」「素直であろう」「感謝を忘れない」といった人間として当たり前のことが大事なんだろうと思ってきました。

〈コシノ〉 
あと、好奇心は絶対に一生あったほうがいいですね。いくつになっても好奇心がある人は元気だし、夢を実現する、しないに拘らず、生き生きしています。

〈河原〉 
好奇心は大切ですね。それに「成功する、しない」なんてことに囚われず、夢中になって好きなことに取り組んでいる人のほうがいい。

〈コシノ〉 
一流の典型は、上皇・上皇后両陛下ですね。もう近づけないような雰囲気もあるけど、実際にお話しさせていただくと、ふーっと自然体でのびやかで、何だろう、ただただ「素敵だな」と思いました。

〈河原〉 
ああ。

〈コシノ〉 
いま好奇心の話が出ましたけど、母は「好奇心かたまりの会」というのをやっていて、全国に11か所もあったんですよ。

〈河原〉 
全国に11か所も。

〈コシノ〉 
母が90歳の時には、「90人のボーイフレンド」とか言って、母がつくったタキシードを90人の男性が着てステージに上がるなんてこともしていました。

「いい商売したわね」などと言っていましたが、そこで商売をするというより、人が集まることが好奇心になるわけです。それに母はとにかく呑んべえでした。亡くなる最後の最後まで日本酒を呑んでいた。

〈河原〉 
お母様は夢を持ち続けた人生だったとも言えますね。

〈コシノ〉 
夢というか、「好奇心の塊」としか言えない。

あと、母は愚痴を言う人が嫌いで、誰かが愚痴を言うとすぐ「あんたはあかんわ、もう帰り!」と、いい年をしたおじさんが帰らせられるんです(笑)。とにかく、明るくて楽しいのが好きな人でした。

〈河原〉 
楽しい、は大切ですね。僕は嫌なことも辛いこともどんどん忘れるようにしています。

〈コシノ〉 
忘れていいんです。それに遊ぶことはすごくクリエイティブだし、エネルギーも要ることなんです。洋服だって、楽しい服で遊びに行きたいわけですよ。何もないと行きたくないでしょ?

一所懸命、真面目に仕事をするだけが人生じゃなくて、遊びの中にどれだけ仕事を見つけていけるか。そうすると仕事が遊びに、遊びが仕事になって、最終的に人生が潤ってくるなと私は思うの。

日本人に欠けているのはその部分で、もっと「遊びの精神」を大事にすれば、日本はより優雅で文化的な国になれると思います。


(本記事は月刊誌『致知』2019年8月号 特集「後世に伝えたいこと」から一部抜粋・編集したものです)

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◎『致知』2019年8月号には、日本を代表するデザイナーであるコシノジュンコさんと、人気ラーメン店「一風堂」をはじめ、ラーメン業界に革新を巻き起こしてきた力の源ホールディングス社長の河原成美さんの対談を掲載。共に道なき道を切り開いてきたお二人に、仕事を通じて得た人生の妙諦、何歳になっても溌剌として生きるヒントを語り合っていただいています。ぜひご覧ください。

◎コシノジュンコさん、河原成美さんは共に弊誌『致知』をご愛読いただいています。創刊45周年を祝しお寄せいただいた推薦コメントはこちら↓↓◎

対談や執筆のチャンスを度々頂いた『致知』45周年、おめでとうございます。

誌面を通して、登場の方々の貴重な本音や体験談に触れることは大変勉強になります。全国どこに行っても『致知』ファンがおり「見てましたよ」という一言に出合います。知性のある安心感でホッとします。これからもよろしくお願いいたします。

自分自身の器の小ささ、見識のなさを痛切に感じていた44歳の頃、「人間力を高める方法はないか」「よきリーダーとなるための指南書はないものか」と探し求める中で、月刊『致知』に出合いました。衝撃でした。人間とはこうも自らを高められるのか──これまで幾度決意を新たにしたことか。今も毎号、警策で肩を打たれるような刺激と感銘を受け、背筋が伸びる思いでページをめくっています。

45周年、おめでとうございます。50年、そして100年、世界を導く『致知』にならんことを!

◇コシノ ジュンコ
大阪府岸和田生まれ。1960年代より数々のグループサウンズの衣装で活躍。日本万国博覧会(大阪万博1970)にて生活産業館、ペプシコーラ館、タカラ館の3パビリオンのユニフォームをデザイン。1978年から22年間、パリコレクションに参加。1985年北京での中国最大のショウをきっかけに、ニューヨーク(メトロポリタン美術館)、ベトナム、キューバ、ポーランド、ミャンマーなどでファッションの枠を超えた日本文化を発信するショウを開催してきた。DRUM TAOの舞台衣装や琉球海炎祭、花火のデザインも手掛ける。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会文化・教育委員、2025年国際博覧会誘致特使。2017年文化功労者。文化庁 「日本博」企画委員。TBSラジオ「コシノジュンコMASACA」(毎週日曜17時~)放送中。

◇河原成美(かわはら・しげみ)
1952年福岡県生まれ。1979年にレストランバー「アフター・ザ・レイン」を開店。1985年「女性が集まる、おしゃれでかっこいいラーメン店」というコンセプトで「博多 一風堂」をオープン。1997年TVチャンピオンの「全国ラーメン職人選手権」優勝後、3連覇達成。ニューヨークを皮切りに世界各国に店舗を展開(2019年3月末現在国内外合わせて266店舗)。2010年全米の「TOP 10 Restaurants」(Yelp)で1位を獲得。2003年から小学生を対象にラーメンや餃子の作り方を教える「出前授業」にも取り組み、その数は700校を超える。『「7つの習慣」と「一風堂」』(PHP研究所)など著書多数。

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