「最高の日本語を子どもたちに与えたい」——齋藤孝氏がこくご教科書に込めた思い

あの『にほんごであそぼ』の総合指導を務める、齋藤孝さんがつくった“理想の小学国語教科書”『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』。本書は現行の国語教科書の不足を補い、子どもたちの国語力の土台を大きくすることを目指し、制作に当たられました。本日は、本書巻末の「保護者の皆さまへ」から齋藤さんがこの教科書の刊行に込めた思いをご紹介いたします。

保護者の皆さまへ

いまの子どもたちは、学校の国語教科書に書かれていることよりも、もっとレベルの高い国語を望んでいます。子どもたちに教えていると、「もっとできる」「もっとできる」と言うのです。

彼らは情報化社会に生きていますから、非常に吸収力が高いのが特徴です。膨大な情報に接している子どもたちには、いまの学校の教科書だけでは物足りないのです。国語の教科書も、もっと進化していっていいと私は考えています。

この『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』は、そういう、もっと高いレベルに子供たちの能力を伸ばしていくためのテキストです。日本語のレベルというものは、小学校1年から伸ばしていく必要があります。

小学校1年生の時期が、一番大切なのです。小学校1年生で何と出合うのか。そのときに本物の日本語、レベルの高い日本語を学ぶことが大切なのです。ぜひ最高の日本語を子どもに与えてあげてください。最高のものには、子どもの心を惹きつける力があります。このテキストには、そんな最高レベルの日本語ばかりを集めてあります。学校の教科書にプラスして、このテキストもぜひもう一つの教科書として使ってみてください。

親子で楽しみながら学んでほしい

皆さんがテキストに目を通すと、一見、難しいと感じるかもしれません。しかし、江戸時代には子供が漢文を読むのは当たり前でした。ですから不安を感じる必要は全くありません。書くのは漢字配当表にあるものだけでいいかもしれませんが、ふり仮名をつければ難しい漢字でも読むことはできます。また、漢字で書いてあるほうがかえってわかりやすい場合もあります。ですから、この本では総ルビにして、上の学年で学ぶような漢字も読みだけはできるようにしてあります。

今後、世界は本格的なAI(人工知能)時代に突入していきますが、その時に最も大事な能力の一つは「読解力」だといわれています。文章を読み、正しく理解する力。この力がないと、これからの社会を生きる上で苦労をしてしまうことになるでしょう。そして読解力の根本となるのは「語彙力」です。つまり、どれだけ多くの言葉を知っているか。漢字をしっかり読めるか。それが問われるのです。早いに越したことはありません。

多少難しく感じても、親が一緒に取り組むことで、楽しみながら、勢いで乗り切ってみてください。勢いというのは大事です。小学校1年生のときに言葉というものが好きになれば、国語について一生苦労することがありません。ここは勝負どころです。親も一緒に勉強するという気持ちでやってみてください。子どもが読むのを嫌がったときには、一緒に読むとか、一行ずつ、あるいは一文ずつ、交替に読むというふうにしてください。

小学校1年生ですから、最初からすらすらとはなかなか読めないと思います。ですから、基本は親がまず一文を読んで、それを子どもが繰り返す復唱方式でやっていくといいでしょう。それを続けるうちに必ず、すらすら読めるようになります。

親が自転車の補助輪の働きをして、子どもがやる気になるような形で、助けてあげながら一緒に学んでみてください。そして、子どもたちに日本語の素晴らしさ、面白さをぜひ教えてあげてください。

齋藤孝
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さいとう・たかし―昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『楽しみながら1分で脳を鍛える速音読』『楽しみながら日本人の教養が身につく速音読』『国語の力がグングン伸びる1分間速音読ドリル』『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『日本人の闘い方』(いずれも致知出版社)などがある。

(本記事は致知出版社刊『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』を一部抜粋・編集したものです。あなたの人生、仕事の糧になる言葉、教えが見つかる月刊『致知』の詳細・購読はこちら

あの『にほんごであそぼ』総合指導・齋藤孝先生がつくった理想の小学国語教科書

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