干支に学ぶ2019年の運勢——SBIホールディングス社長・北尾吉孝が読み解く

SBIグループを率いる経営者であると同時に、『論語』や『易経』などの東洋古典にも造詣が深い北尾吉孝さん。2019年を迎えるに際して、干支によってどのようにその年を読み、ビジネスに生かすか、そのヒントを教えていただきました。

運命は変えられる

干支により、来たる年の年相を知れば、それにより注意すべきこと、成さねばならない事等々を早々に実践的行動に移さなければなりません。 

例えば、私は東日本大震災(2011年3月11日)が起きた年の1月の当社の年賀式で2011年の年相を発表しました。その時に「過去の辛卯の年をみると、自然災害など天変地異の異常や予期せぬ出来事が起きやすい。特に注意すべきは地震です。

地下に蓄えられたエネルギーが地上に向かって動き出すのです」と申しました。このように年相から何かを予知したら、直ぐに何らかの行動を取り、予知したことに備えることが必要なのです。

干支学は中国古代人から現在に至るまでの何千年にも及ぶ自然から学んだ知恵と歴史的観察の集積であり、統計上の確率や蓋がい然ぜん性に基づいて帰納的に生み出されたものであります。

我々はこの過去からの貴重な遺産である干支を活用し、自分の運命や社運、国運といった組織体の運命をより良きものとしなければなりません。決して通俗的な占いではないのです。この点では易学と同じことです。

運命というものを多くの人はどうにもならない、持って生まれた定められたものと考えておられるように思います。しかし、どうにもならないのは「宿命」です。例えば日本に生まれるとか日本人に生まれるとかいったことはどうしようもないものですから、宿命に当たります。

 しかし、運命は我々が変えられるものなのです。運命とは何かということを少し話しておきましょう。運命とは読んで字のごとく「命」を「運」ぶと書きます。では「命」とは何かですが、「命」は人間の自由、わがままを許さない必然とか絶対とかいう意味を持っています。つまり天地自然を通ずる造化の働きの絶対性を表すものが「命」なのです。

 「命」という造化の働きの中に「数」という原因、結果、因縁、果報の複雑かつ微妙な関係を表すものがあります。したがって運命の中に含まれている命数を明らかにすれば、運命に乗じて運命を切り拓いていく、すなわち立命していけるのです。

そもそも「易」という字は「易(かわ)る」という意であり、変化するのです。昔から「易の三義」と言われているように易には三つの意味が含まれています。それらは変易・不易・簡易と言われるものです。

「変易」は、万物は常に創造変化するということです。「不易」とは、万物の創造変化には必ず一定の理・法則性が存在するということです。変わらぬということがなければ変わるということもありません。「簡易」とは、その変化と一定の理を明らかにすれば変易へと導くことが出来るということです。

安岡正篤先生は、これら三義に加えて、次のような意義を加えられています。

 一つは、易の変化に基づいて不易の「数」を研究して、我々の認識や自覚の上の誤りを正し、人生をつくり上げていく、すなわち「修める」「治める」という義です。もう一つは、我々の誤りを修め、正すことにより我々の生命を延ばしていくことが出来るので「伸びる」「延ばす」という義です。すなわち変化してやまない中に、変化の原則を探究して自主的に変化していくことが出来るということです。

以上のように、干支も易と同じで、自分の運命、社運、国運等々を良き方向へ切り拓いていく一つの手段と言えましょう。

2019年はどういう年か

◆2019年 己亥【きがい・つちのとい】

己は物が形を曲げて縮まっている象で、外物に対して自身、すなわち「おのれ」を意味します。また、「己は紀なり、皆定形ありて紀識する」と中国古典にあるように、梢の先の新芽が出てきて「起こる」という意と、糸偏をつけた紀に通じ、紀と同じく「己を正す」ことを本義としています。

他方、『釈名』に「亥は核である。百物を収蔵す」とか「物皆堅核と成る」意と説明されています。つまり亥は核であって秋の終わりに植物が実となり、十月になって堅い「たね」がその実の中に出来る様子であります。そしてその「たね」の中にエネルギーが凝縮・蓄積している状態ということです。

そこで己亥の年には、先ず何よりも己を正すことが必要です。『荘子』(「繕性篇」)にも「己を正すのみ。小識は徳を傷(やぶ)り、小行は道を傷る」(小さな計らいは徳を傷つけ、小さな行いは道を傷つけるだけで、己を正すことにより自己の本来の性に立ちかえり、至し楽らくの境地が実現し、「志」を得るということになる)とあります。

己を正し道筋をはっきり通した上で、亥が起爆性エネルギーを秘めていることに留意しなければならない年です。

60年前の1959年の出来事を振り返ってみますと、日本は岩戸景気の真っ只中で景気拡大局面を迎え華やかに見える一方で、3月には日米安保条約改定阻止国民会議が結成され、翌年の安保闘争へとつながっていきます。また、9月には伊勢湾台風により死者5041人、被害家屋57万戸という明治以後最大の台風被害がもたらされました。

世界に目を転じてみましても、キューバ革命やチベット蜂起が起こりました。また、ソ連のフルシチョフ首相が中国の北京を訪問し、毛沢東と会談するものの共同声明は出されず、中国とソ連の対立が表面化した年でもありました。

歴史をさらに遡りますと、1779年には桜島が噴火しています。

(本記事は致知出版社刊『強運をつくる干支の知恵』(北尾吉孝著)に収録内容の一部を抜粋したものです。北尾吉孝氏もご推薦、仕事や生き方のヒントが満載の月刊『致知』の詳細・ご購読はこちら

☆北尾吉孝さんの『致知』へのメッセージ☆

致知出版社の出版物のほとんどの書物と毎月刊行される雑誌『致知』から小生は今日までどれだけ多くのことを学ばせて戴いたかを考えると感謝に堪えない。小生は、こうした出版物を通して読書尚友という『孟子』の中に出てくる言葉通り、古に遡って賢人を友とすることが出来た。また、中江藤樹の言に「天下得がたきは同志なり。」とあるが、小生は『致知』を通じて道を同じくする多くの「道友」にめぐり合うことが出来た。そうした人達から、勇気づけられたり、励まされたりした。これからも致知出版社の出版物が我が人生の指南書となって導いてくれると信じ、頼りにしている。

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