京都大学元総長・平澤興が20歳の元旦に誓ったこと

世界的な脳神経解剖学者で京都大学総長も務めた平澤興先生が大正10(1921)年元日、20歳の時に墨書した「座右之銘」。

「常に人たることを忘るること勿(なか)れ
 他の凡俗に倣(なら)ふの要なし
 人格をはなれて人なし 
 ただ人格のみ永久の生命を有す」

の一文で始まる決然たる意志、自身に対する叱咤と激励が込められた若き日の墨書です。この座右之銘は、元日未明に起床、天地神明を拝して墨書し、元日の祝膳につく前に祖先の霊に供え、その実行を誓ったものといわれます。平澤先生は長さ1・6メートルにも及ぶ書を手に、京都・八坂神社に参拝し、学問の道に生きることを誓いました。本日はその一部をご紹介いたします。

座右之銘

座右之銘
大正十年一月一日

常に人たることを忘るること勿れ他の凡俗に倣ふの要なし人格をはなれて人なし ただ人格のみ永久の生命を有す

常に高く遠き処に着目せよ

汝若し常に小なる自己一身の利害目前の小成にのみ心を用ひなば必ずや困難失敗に会へて失望することあらん 然れども汝もし常に真によく真理を愛し学界進歩のため人類幸福のため全く小我をすててあくまで奮闘し努力するの勇を有さば如何なる艱難も如何なる窮乏も汝をして失望せしむるが如きことなからん

真之大業真に生命ある事業はここに至ってはじめて正しき出発点を見出したりといふべし

進むべき
道は一筋
世之ために
いそぐべがらず誤魔化すべからず

頑健なる身体強固なる意志及不断の努力は成功の三大要素なり汝は常に節制を重んじ健康に注意すべし汝の一身如何はやがて世界人類の幸福学界進歩の如何に関す真に強固なる意志の所有者は何時如何なる場合にも挫折するが如きことなく常に困難或は失敗をして成功の暗示たらしめ動機たらしむ

the word “impossible” is only to be found in a fool’s dictionary. といへしNapoleonの意気 何ぞそれ壮なる身をすててEnamelの発明に努力し奮闘し遂にその初志を貫徹せるpalissyの意気に見よ或は又その主義のために不惜身命の大勇猛心を以て最後まで奮進し猛進せる日蓮が意気に鑑みよ 能はざるにあらず為さざるなり。

汝の身はすでに学界にささげたる身なり汝は汝が最後の一息まで汝が目ざす大理想大目的に向って突進せよ直進せよ 努力奮闘を措きて目的に達する近道なし 能はざるにあらず為さざるなり

大なる愛を有せざるものに大なる事業なし涙なきは人にあらず

京都大学元総長・平澤興の原点『経本折 平澤興「座右之銘」真筆』

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