エアウィーヴを全国区の大ヒット商品に育て上げたPRの達人・笹木郁乃さんが大事にしている仕事のコツ

製品を売る前に、その認知度を上げることが大事

人や企業、製品などの認知度向上を支援するPRプロデューサーでIkunoPR社長の笹木郁乃さん。浅田真央選手や歌舞伎役者・坂東玉三郎さんをはじめ、高級旅館「加賀屋」などでも使用されているマットレスパッド「エアウィーヴ」のPRを務めた笹木さんは、いくつかの企業でPRや広報に携わった後、2016年に独立。現在は、PR塾やセミナーの主宰、経済界や中京テレビなど多くの企業のPRプロデュースに携わり、多忙な日々を送っています。

そんな笹木さんがPRに携わるようになったのは、2009年、大手機械メーカーからエアウィーヴに転職したことがきっかけだったといいます。

入社後は、営業担当として店舗を回るなど、売り子として店頭販売に取り組んだ笹木さんでしたが、当時はエアウィーヴの知名度が高くなかったこともあり、なかなか製品を売ることができなかったそうです。

しかし、ふと隣の有名メーカーの売り場を見ると、売り子が特に頑張っていないのに、勝手に商品が売れていく光景を目にします。そこで笹木さんは、製品を売る前に、その製品の認知度を上げていくことが大事だと気づくのです。

「入社後は、営業兼PR担当を任されて店舗を回ったり、売り子として店頭販売に携わりました。ただ、いくら頑張っても製品を買ってもらえず、物を売ることの大変さを痛感させられましたね。
 
ところが、ふと隣の有名メーカーの販売コーナーを見ると、売り子が頑張っていないのに、「これテレビで見たやつだ」と、お客様が勝手に購入していくんですよ。
 
それをきっかけに、営業が頑張るのも必要だけど、PRして製品の認知度を上げていくこともすごく大事なんじゃないかと思うようになって、そのことを社長に伝えたら、だからPRも頑張ってほしいと最初から言っていたんだよと」

PRには人間同士の信頼関係が大事

その後、プレスリリースを送ったり新製品の記者発表会を行ったりと、試行錯誤を繰り返す中で独自のPR手法を構築していった笹木さんですが、PRをする上で大事なことの一つは、人間同士の心が通った信頼関係だといいます。

「PRは営業と違って物の売り買い、お金のやり取りがないので、紹介してくださる雑誌社やテレビ局の方に直接メリットはないんです。ですから、相手にメリットを感じてもらえる人にならないとだめだということは常に意識していて、人に会う時にも、相手の方が喜ぶ情報を持った情報屋さんでいようと、できる限り事前のリサーチをして臨んできました。
 
また、PRを成功させるためには、相手の方と一緒にいて楽しいと感じてもらい、〝仕事を超えた関係〟を築いたほうがよい気がします。お金のやり取りがない中で相手の心を動かすのは、やっぱり『笹木さんが言うなら』と思わせる人間同士の信頼関係が必要です。」

その言葉の通り、笹木さんと接すると、その人柄の明るさ、前向きさにぐいぐい引き込まれ、すぐ打ち解けてしまいました。技術や知識ももちろん大切ですが、まず自分自身の人間性、人間力を養うことがPR活動の成功に繋がることを、笹木さんは教えてくれています。

【笹木さんのインタビュー
「自分の気持ちに素直に、真っ直ぐ生きる」の読みどころ】
・気持ちが動かなければよいPRはできない
・PRで人も会社も皆が幸せになれる
・自分に対して素直に生きる

(※本記事は『致知』2018年10月号「人生の法則」に掲載された記事の一部を抜粋・編集したものです。各界のリーダーたちもご愛読、人生や経営のヒントが満載、人間力を高める月刊『致知』の詳細・ご購読はこちらから)

 

 

 

 

◇笹木郁乃(ささき・いくの)
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昭和58年宮城県生まれ。山形大学工学部機械システム工学科を首席で卒業し、自動車部品メーカー・アイシン精機入社。平成21年寝具メーカーのエアウィーヴに転職、独自のPR戦略で会社の急成長に貢献する。その後、鍋メーカーのPR戦略に携わり、28年に独立。現在はPR塾やセミナーの主宰、中京テレビ、経済界、サンマーク出版など多くの企業の企画・立案、PRプロデュースに携わっている。

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