驚愕の事実! 認知症は30代から始まっていた?

認知症予防は30代、40代から始めるべき!

近年、認知症について新たな事実が明らかになったのをご存知ですか? 実は、認知症と診断される20~30年も前から、脳の病的変化が始まっているというのです。つまり、65歳で認知症と診断された方は、30代の時から、病気が始まっていたということ。

30代、40代の方の多くは「認知症はまだ自分には関係ない」と思っているでしょうが、決して他人事ではありません。健康管理や生活習慣の見直しなど、気をつけていただきたい問題が山積していると脳神経外科の専門医・藤本司先生は語ります。

「認知症患者は現在、全国に500万人、認知症の初期症状や疑いのある人も同数いると言われ、平均寿命が延びるに伴って、患者数も増加しています。手術をすれば治し得る脳腫瘍や脳血管障害などとは異なり、認知症は治療が困難ですが、30代、40代の早い段階から手を打ち、適度に運動し、意識的に脳を活性化させていれば、未然に防ぐことができる可能性があるのです」

脳を活性化させるシナプソロジー

2009年、手術漬けだった脳神経外科医を退職後に、藤本司先生がルネッサンスという全国に約100か所のスポーツクラブを運営する会社とともに開発したのが、脳活性化メソッド「シナプソロジー」です。これはじゃんけんなどの簡単な動作を組み合わせて、五感や認知機能(記憶・学習・注意・集中・思考・言語等)へ刺激を与え続ける運動療法で、情動面にもよい刺激となります。継続することによって脳が活性化し、心と身体を整えることができます。

本欄ではその中でも、「ボディータッチ」という2人以上で行うエクササイズをご紹介します。

基本動作は①頭を触る、②肩を触る、③腰を触る、④腿を触る、この四つです。参加者にこの基本動作を覚えてもらった後、指導者がランダムに①~④の数字を言います。「2」と指示を出されたら、参加者は「2」と口に出しながら、②の肩を触る動作をします。これは聴覚からの刺激です。

 

  • 記憶力の刺激

 次にレベルアップのために新しい刺激を加えましょう。先ほど覚えた数字を色に置き換えます。①が赤、②が青、③が黄、④が緑です。指導者が「黄色」と指示を出したら、参加者は「黄色」と復唱しながら③の腰を触る動作をします。指示の内容を覚え直すことで、認知機能の中の記憶を刺激することができます。

 

  • 視覚の刺激

 続いて指導者の指示を、言葉ではなく視覚情報に変更しましょう。例えば、指導者は赤・青・黄・緑の四色のお手玉を持ち、赤色のお手玉を見せたら、参加者は「赤」と発言しながら、①の頭を触る動作をするのです。ここでは指示を目で見て判断するため、視覚を刺激することができます。

 

  • 記憶力、思考力の刺激

 最後に、次の刺激を加えるとさらに難易度が上がります。

 指導者がお手玉を見せるまでは先ほどと同じですが、参加者は色から連想されるものを声に出して言いながら、先ほど覚えた色に関連づけられた動作をします。指導者が赤のお手玉を見せたら、参加者は赤から連想されるもの(ポストやリンゴなど)を声に出しながら、①の動作をすることになります。これによって、認知機能の記憶や思考を刺激することができるのです。

 

(本記事は『致知』最新号2018年8月号 連載「大自然と体心」より一部抜粋したものです。月刊『致知』にはあなたの仕事、人生を豊かにする記事が満載です!詳細・ご購読はこちら

 

◇藤本司(ふじもと・つかさ)

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昭和18年東京生まれ。44年東京医科歯科大学医学部卒業。54年東京医科歯科大学脳神経外科講師。56年昭和大学藤が丘病院脳神経外科准教授。平成6年同教授、12年同副院長。21年同定年退職。21年昭和大学名誉教授。現在、さがみリハビリテーション病院顧問、シナプソロジー医学顧問、アレクサンダー・テクニークBC医学顧問を兼任。

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