失敗と躓きの数がその人の勲章


戦後の焼け跡で始めた古書店を、
67年経つ現在も営業し続ける坂本健一さん90歳

本をこよなく愛する坂本さんが、
読書や豊富な人生体験から培った、
市井(しせい)を逞しく生きる哲学を伺いました


※年齢は掲載当時のものです。



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「失敗と躓きの数がその人の勲章」
                  
        坂本健一(古書店「青空書房」店主)
         

 

        

『致知』2014年1月号

         特集「君子、時中す」より

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──いまもお元気で現役を貫かれている秘訣はなんでしょう。
一にも二にも本ですな。
本屋に対する愛情と、本が私に向けてくれた愛情。
その交流だけです。
本ってね、生きて甦って私の心の中に飛び込んできてくれる。
「本は生きている」と書いたら、
「そんなアホな。ただ紙に活字が印刷してあるだけや」
と言う人がいたけど、そんな人は既に死んでるわ。
本ってね、読んであげることによって
その作家の情熱や理想が伝わってくるんです。
どうしたら人に伝わるか、
自分のこの思いをどんな方法やったら
相手に伝えることができるか、
一所懸命考えて形になったものが本です。
──きょうまで歩んでこられて、
  人生で大事なことはなんだと思われますか。
自分を偽らんように、できるだけ自分に素直に生きること。
所詮世の中は嘘で固められているけど、
自分に対して嘘をついたらおしまい。
それから、人生辛いことも多いけど、
上司が悪い、世の中が悪いというのは通用せん。
全部自己責任。
どんな環境になっても、
病気で動けなくなっても、
それが自分の運命や。
私みたいに90になってまだ元気で
商いをさしていただけてるのは、
有り難すぎるほどの人生やから、心を尽くして、
人々にいままで受けてきたご恩、
受けてきたいろんな知識とか知恵を伝播していくのが
私の仕事やと思ってます。
これまでたくさん過ちや失敗を重ねてきたから、
それを伝えて若い人たちの参考になったらええやろ。
失敗と躓きの数がその人の勲章。
その数が多いだけ人生は豊かになる。
それが一番の貯金ですよ。
──勇気づけられる助言です。
失敗して自分は一番しょうもない人間やと
思うのと同じレベルで、
自分ほど強くて、真っすぐで、
負けないやつはおらんという二つの重心を持つこと。
片側だけやと転んでしまう。
そして地べたに放り出されても、
そこで負うた傷を勲章に変える。
人生はオセロゲーム。
真っ白の裏に真っ黒。
真っ黒の裏に真っ白がある。
真っ黒の真後ろに真っ白があることを忘れたらいかんですよ。



休みの日に張り出すポスター






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