言い訳の通じない宇宙開発の父・糸川英夫


「日本の宇宙開発の父」と
称された糸川英夫とともに
ロケット開発に携わった
垣見恒男さん。

垣見さんはどのような心構えで
師に仕えられたのでしょうか。

───────「今日の注目の人」───

垣見 恒男(垣見技術士事務所所長)

※『致知』2017年7月号
※特集「師と弟子」P46

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──糸川先生と一緒に仕事をする時、
  どのような心構えで
  臨まれたのですか。


糸川さんは私よりも16歳年上だから、
最初は「はい、はい」と
言うことを聞いていました。

ところが、だんだんと要求が
厳しくなるんですね。

時には喧嘩をしたり、
反対意見を言ったりもしましたが、
私はなぜか気に入っていただけたんです。
 
例えば、ペンシルの実験を
やっている段階で
糸川さんの頭の中には
次のベビーの構想があるんです。

ベビーに進むと、
次のカッパのことを考えている。

二人だけで討議した機体に
観測要求計器を積めるかなどを考え
設計するのが私の役割でした。
 
いまのような快速電車はありませんから、
各駅停車で東京の会社から
千葉の生研までは
優に2時間以上かかりました。

設計会議が終わるのが
夜の9時くらい。
そこから焼き蛤を食べて
会社に帰り着くのが
午前0時前後です。

徹夜で会議議事録を書き、
朝方各職員に配布し、
椅子を並べて仮眠して朝になると、

「昨日決めたことは
 うまくいきましたか」

と電話が掛かってくるんです。

「やっていません」

と答えると、

「何やっているんですか、君は」

と。

そんなこと言ったって、
睡眠も必要なわけでしょう。
そう言うと

「私は若い時は寝ていません」

とおっしゃるんですよ(笑)。
 
確かに戦争中は
月月火水木金金だったでしょうけど、
そんなことはもう流行らない。
だけど糸川さんに
言い訳は通用しないんです。
  

──で、どうされたのですか。


次の日に「まだやっていないのか」と
電話が掛かってくるのが
分かっていますので、
帰りの電車の中で
「ロケットの直径はこれだけ、重さはこれだけ」
と糸川さんに極秘の簡易グラフで計算しちゃう。


「これはうまくいきそうだ」とか
「ここはちょっと見直さなくてはいけない」ということを
2時間の間に考えるんですね。


それで次の朝、
電話が掛かってきた時にそのことを伝えるだけで、
安心されましたね。


――呼吸が次第に合ってきた。


そうですね。
家に帰ってからもすぐに寝るのではなく、
レポートを作成しました。


打ち合わせで出たアイデアは
富士精密のどの部門にお願いしてつくったらいいのか、
といったことを纏めて、
朝早く富士精密の生産技術課長の机に置いて
千葉の生研に向かう。
そこまでしたから協力的な関係ができていったと思うんです。

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