2017年08月16日
書や絵画、作陶、篆刻など
幅広い分野の美術作品を創作する
美術家の清水義光さん。
自然と人間ということを
強く意識した芸術感は、
とてもユニークです。
───────「今日の注目の人」───
清水 義光(美術家)
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高崎 正治(建築家)
※『致知』2017年9月号【最新号】
※特集「閃き」P58
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【清水】
僕もまた、自然と人間ということを
強く意識しながら仕事をしてきました。
随分前ですが、出光美術館で
中国の焼き物展を
見たことがあります。
焼き物を時代順に遡っていくと、
いろいろな発見がありました。
漢、唐時代の焼き物は
とても形状が豊かで、
戦国時代の青銅器となると
摩訶不思議な
雰囲気を醸し出している。
どれも大変素晴らしい作品でしたが、
一番最後に陳列されていた歴史上、
よく分かっていない
新石器時代の焼き物を見た瞬間、
僕は思わず抱きつきたくなるような
衝動に駆られたんです。
【高崎】
なぜですか。
【清水】
それが自分でも分かりません。
ただ、僕なりの表現をすると
焼き物ではなく、まるで
生き物のように映ったんですね。
僕はまだ二十代でしたが、
「生き者は生き物を
つくらなくてはいけない」
と強く思ったことを覚えています。
これが美術家としての
僕自身のテーマとなりました。
僕たちが住む地球の中心には
マグマというエネルギーがあります。
自分の赤い血を
マグマに変えてしまったら、
もっと新しい世界が
開けるのではないかという発想で
作品をつくり続けてきました。
僕の焼き物は昔ながらの
手捻りですが、
そういう思いで茶碗や
花器に取りかかると、
いつの間にか怪獣みたいな形に
仕上がっている(笑)。
もちろん、最初から怪獣を
つくりたいわけじゃないですよ。
上半身裸になって土を捏ねたり、
時に上から投げたり、
足で踏んづけて固めたりして、
もう何が起きるか分からない。
その中からパッと
自分が求めていた姿が
見えてくる瞬間があるんです。
【高崎】
考えもしなかった世界に
ぶつかるのですね。
【清水】
そう。この体が自分と
思っている世界を
超えた外の世界に入ると、
すごく楽しいんですよ。
自分を忘れて
何かに無心に
打ち込んでいる瞬間に……、
※芸術の道を追い求めてきた
清水さんが至った境地とは?
最新号で詳しくご紹介しています。