2016年05月13日
齋藤孝先生が、
“日米資本主義の父”といわれる
二人の偉人の生き方を紐解き、
ビジネスと人生に共通する
成功法則を説いた新刊
『渋沢栄一とフランクリン』が
今月下旬、発売になります。
生まれた時代も、国も異なる二人の
生き方を合わせて読むことで、
時代を越えた不変の成功法則を
感じ取っていただけるものと思います。
本書発刊に込める思いを
著者の齋藤先生に
「まえがき」で
綴っていただきました。
────────[今週の一冊]─────
二人の偉人に学ぶ
ビジネスと人生の成功法則
『渋沢栄一とフランクリン』
齋藤孝・著
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世の中には、たった一人の人間をして
これだけのことが成し得るのかと、
驚嘆させられてしまう人物が存在します。
私の場合、その一人が渋沢栄一であり、
もう一人がベンジャミン・
フランクリンで、かねてより
二人の残した業績に対し、
深い敬意を抱いてきました。
渋沢栄一は、その生涯に
約五百もの企業の育成に携わるとともに、
約六百もの社会公共活動や民間外交に
力を尽くしたといわれています。
第一国立銀行(現みずほ銀行)や
東京証券取引所などの設立を始め、
東京瓦斯、東京海上火災保険、
王子製紙(現王子製紙・日本製紙)、
秩父セメント(現太平洋セメント)、
帝国ホテル、京阪電気鉄道、
キリンビール、サッポロビール、
東洋紡績、日本製糖……などなど、
その功績は枚挙に遑がありません。
一方、ベンジャミン・フランクリンは、
政治家、外交官、著述家、気象学者、
科学者、発明家など、
多種多様な顔を持ち、
しかもそれぞれの世界において
顕著な業績を残すという
超人的な仕事ぶりを発揮しています。
本国アメリカでは、
フランクリンの肖像画は
紙幣に用いられ、小学校の教科書にも
自伝が掲載されるなど、その人物像は
アメリカ人における
生き方のモデルとして
今日も人々の尊敬の的となっています。
ところが、そのフランクリンに
比肩し得るほどの業績を残した
渋沢栄一は、紙幣に用いられず、
また教科書にも大きく
取り上げられておらず、
その偉業と生き方が
国民に浸透しているとは言えない
状態です。
彼は他の明治期の実業家たちと異なり、
財閥をつくらなかったことも
その大きな要因になっているのでしょう。
渋沢栄一の肖像画が
紙幣に刷られる日が来ることを、
私は密かに夢見ています。
さて、この渋沢とフランクリンという
二人の偉人をなぜ並べて語ろうと
するのかの理由は本章に譲りますが、
これだけの圧倒的な仕事量をこなし、
かつ圧倒的な成果を挙げてきた二人を
突き動かしてきた原動力は
果たしてなんだったのでしょうか。
その超人的なバイタリティは
一体何に起因するものだったのでしょうか。
現代は何かと忙しく、ストレスフルな
社会であるといわれますが、
この二人は疲れ知らずで、
直面する数々の難題に
むしろ嬉々として対峙していたように
私には思えてならないのです。
その、ある意味で突き抜けた明るさは、
一体どこから来るものなのでしょうか。
生まれた国も、生きた時代も異なる
二人の軌跡を辿ってみることで、
ビジネスにも人生にも共通する、
普遍の成功哲学を
きっと感じ取っていただけることと
思います。
そしてそんな二人の生き方こそが、
これからの日本人にとっての
生き方のモデルにも
なってくれることを祈りつつ
本書を送り出します。
平成二十八年五月 齋藤 孝
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二人の偉人に学ぶ
ビジネスと人生の成功法則
『渋沢栄一とフランクリン』
齋藤孝・著
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