2017年05月28日
数々の世界基準をつくるなど
肝臓外科の分野を長年
牽引してこられた幕内雅敏さん。
いかにして新しいアイデアを
生み出されたのでしょうか?
───────「今日の注目の人」───
幕内 雅敏(外科医)
※『致知』2017年6月号
※特集「寧静致遠」P40
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──幕内先生はどのようにして
新しい手術法を次々と
編み出されたのでしょうか。
それはもう、手術のことを
しょっちゅう考えるってことですよ。
それしかない。
どのくらいよく考えるかっていうと、
何か壁にぶつかった時なんかは
病院にいる時だけじゃなくて、
常に考えなくちゃいけない。
例えば、この年にもなると
「幕内先生もだいぶ呆けたな」
って言われるだけだろうけど、
僕は三十代、四十代の頃からよく
電車を乗り過ごしていたんですよ。
激しい時なんかは、戻ろうとして
また乗り過ごしていた(笑)。
──それほど集中して
考えられていたわけですね。
要は周りの情景なんて
ほとんど気にしないくらい、
どうしたらいいだろうかって、
ひたすら考えているわけ。
それくらい頭を使っていると、
ある日、漫画にあるように
パチッと電気が光る。
あとはそのアイデアを検証して、
実際に手術で活かしていく。
だから優れた外科医になるためには、
しょっちゅう手術のことを
考えるっていうのが一番大事かな。
もちろん、先ほど言ったように、
頭の中に臓器の立体構造が
クリアな画像として
入っていることも当然求められる。
(中略)
ただ、いま挙げたことはどれも
決して特別なことじゃないと思う。
人間には持って生まれた
能力の差なんていうのはなくて、
努力ができるかできないか
っていうところで差が
生まれるんじゃないのかな。
しょっちゅう考えて
いられるかどうかだって同じだよね。
要はどれだけバカに
なってやれるかどうか。
特に若い医者にはそこを
掴んでほしいですね。
※70歳を越えてなお外科医一筋に生きる
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