光の芸術の第一人者・石井幹子さん

仕事論

きょうはクリスマスイブ。皆様の街も、
美しいイルミネーションで華やいでいることでしょう。
光の芸術の世界的第一人者が照明デザイナーの石井幹子さんです。
『致知』で紹介された石井さんのお話の一部を紹介します。
聞き手は筑波大学名誉教授の村上和雄さんです。


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石井 幹子(照明デザイナー)
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村上 和雄(筑波大学名誉教授)
※『致知』2017年8月号
※連載「生命のメッセージ」P110
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【村上】
石井先生は照明デザイナーの道に入られて、もうどれくらい経ちますか。

【石井】 
これがなんとですね、もう50年近く照明ばかりやってきました。
いまでこそ皆さんにご理解いただけるようになりましたけど、
最初の頃は照明デザイナーなんて言っても、
なかなか分かってもらえませんでしたね。

【村上】 
そういう言葉が、当時の日本にはまだなかったわけだ。

【石井】 
ええ。ですから、シャンデリアをデザインする人ですかとか、
舞台照明をやる人ですかと、よく言われていました(笑)。
 
私は建築空間の照明から入って、だんだんと範囲が広くなっていくうちに
都市空間の照明を手掛けるようになりましたけど、
私の仕事がどういうものかを知ってもらう上で、
一番分かりやすかったのは東京タワーでしょうね。
 
あまり人気のなかった東京タワーを平成元年に照明して以来、
すっかり人気スポットになりました。
東京タワーの照明が照明の効果を証明したと言われましたし、
実際のところ、東京タワーの夜景が見えるというだけで
すぐにマンションの借り手や買い手が現れるようになって、
港区内の地価がかなり上がったんですよ。



【村上】 
それはすごいな。

【石井】 
当時は東京タワー現象なんて呼ばれましたけど、
これがきっかけで夜景に価値があるということが、
やっと皆さんにも分かっていただけたと思います。

おかげさまで、その後はレインボーブリッジをはじめ
瀬戸大橋、明石海峡大橋など、当時盛んにつくられていた
大型橋梁の照明をほとんどやらせていただきました。
いま改めて数えてみると、だいたい30橋くらいですね。
 
それと夜景に関してもう一つ言えることは、
夜景を綺麗にすると、
その地域一帯における経済的波及効果が11倍にもなるんですよ。

【村上】 
それは大きいな。

【石井】 
夜景が綺麗になれば、その付近に一泊する観光客が増える。
一泊すれば、当然晩ご飯を食べて、お酒も飲む。
散歩に出たついでにお土産も買うし、翌日は朝食も食べるでしょう。

そうしたことが積み重なって、
それだけの数字になるということが地方都市でも
随分認識されるようになって、例えば市長選挙の時に候補者が公約の一つに、
夜景を整備して観光客を増やしますとおっしゃる方も出てきましたね。

【村上】 
どういった都市でお仕事をされてきたのですか。

【石井】 
例えば倉敷市や函館市、長崎市など日本各地でやらせていただきました。
お話をいただいたら、まずは夜景調査をして
闇の中に埋もれているお宝を探し出し、次に全体の景観照明の
構想を練るわけですが、最初に手掛けたのは横浜市でした。

当初は12か所を選んで照明しましたけど、
いまは50か所くらいに増えまして、非常に夜景が綺麗になりましたね。

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