2017年08月13日
ニューヨーク・シティ・オペラで
正指揮者を永年務めるなど、
世界で認められるプロ指揮者
山田あつしさんが、村上和雄氏との
対談連載に登場されました。
───────「今日の注目の人」───
山田 あつし(指揮者)
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村上 和雄(筑波大学名誉教授)
※『致知』2017年9月号【最新号】
※連載「生命のメッセージ」P106
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【山田】
高校生たちには
音楽の話もするわけですが、
よく言うのが、指揮者というのは
再現芸術家と呼ばれて
いるんだよってことですね。
つまり、作曲家の思い描いたことを、
お客様に再現する芸術家ということです。
IT世代になると
もうラブレターなんて
書かないでしょうけど、
僕らの世代くらいだと
まだ書いてたわけですよ。
先生だって、
いっぱい書いてる、絶対(笑)。
【村上】
(笑)。
【山田】
でも、いくら
「愛している」って書いても、
それだけじゃ全然足りませんよね。
同じように五線譜には
たくさんのことが
書き込まれているけど、
やっぱりそれだけじゃ足りない。
楽譜の一番の欠点は、
その瞬間その瞬間の音楽の状態しか
表されていないことにあるんです。
それだけに指揮者として
楽譜に書かれていることは、
最低限、全部勉強しなきゃ
いけないんだけど、
それだけじゃなくて、その先に
「この作曲家は何を
書きたかったんだろうな」
っていうことも考える。
もちろん、そこにはこれが
正しいという正解はないんです。
それに指揮者を作曲家の
メッセンジャーだと考えると、
僕が営業でやっていたように、
「コンピュータが、いかにいいか」
「この保険が、いかにあなたにいいか」
ってことを伝えることと
全く同じなんです。
だからこそ、指揮者としては
作曲家の意図を汲む上で、
妥協があっちゃいけないと僕は思う。
もっと言えば、その作曲家が
当時どういう生活をしていて、
どこでどういうふうに書いたか
くらいのことまで知らないと、
本当の意味で曲には入っていけません。
【村上】
そこまで深く掘り下げる。
【山田】
僕は指揮者の仕事って……
※一度は病のために音楽の道を諦めるも、
被災地支援をきっかえに再起を果たし、
いまも多くの子供たちに夢や希望を
与え続けている山田さんの活動については、
本誌でお楽しみください。