2017年06月13日
比叡山で最も過酷な行と呼ばれる
「十二年籠山行」を戦後
初めて満行した堀澤祖門さん。
今年米寿を迎えられる
堀澤さんのいまの心境とは
どのようなものなのでしょうか。
───────「今日の注目の人」───
堀澤 祖門(三千院門跡門主)
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宮本 祖豊(比叡山円龍院住職)
※『致知』2017年7月号【最新号】
※特集「師と弟子」P64
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【堀澤】
私は70年近く行を
続けてきたわけだけど、
行そのものには終わりはない。
ただね、終わりはないけれども、
いつまでも「まだまだ」じゃダメ。
不安感で覆われてしまうからね。
それを断ち切るには
どこかで「よし」という
気持ちを持たないといけない。
「よし」ということは
終わりじゃなくて、
自分で納得して
また新たに進んでいくということ。
進行形と、ゴールに既に
着いているということは
同時なの。
でも、自分で「よし」と
手応えを感じるまでには
50~60年かかったな。
【宮本】
50~60年ですか。
【堀澤】
80くらいになってやっと、
人間とか仏教とか
いろんなものが分かってきて、
人生が楽しくなってきた。
やっぱり高いところを
求めているから、
そう簡単に満足できませんわ。
出家した時に考えたのは、
私の師匠は確かに
叡南祖賢だけれども、
叡南祖賢だけじゃない。
そのバックにはお釈迦様がいる。
だから、お釈迦様のレベルまで
行かなきゃならない。
本当の師匠はお釈迦様だと。
そう考えると、
もうこれでいいとか、
もう行は終わったなんてことはない。
無窮って言葉があるように、
道を求めるというのは
そういうことなんだね。
【宮本】
本当の師匠はお釈迦様という
お話とも関連しますけれども、
私が師匠から教えてもらったことの中で、
特に印象に残っているのは
「縦と横の話」です。……
※お二人の修行人生については
誌面で詳しく紹介されています。